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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

2019-01-01から1年間の記事一覧

『白銀の墟 玄の月』小野不由美 十二国記シリーズ18年ぶりの長編新作

泰麒と驍宗のその後が遂に描かれる 『白銀の墟 玄の月(しろがねのおか くろのつき)』は2019年刊行作品。『魔性の子』『月の影 影の海』『風の海 迷宮の岸』『東の海神 西の滄海』『風の万里 黎明の空』『図南の翼』『黄昏の岸 暁の天』『華胥の幽夢』『丕…

2019年に読んで面白かったマンガ11選

新書編 に続いて、マンガ編。こちらも2019年に出たマンガではなく、「2019年に読んだマンガ」が対象なので、その前提で。マンガに関してはアンテナ感度が鈍く、レイトマジョリティなので、既視感あるランキングかもだけど、その点はご容赦を! 長編作品なら…

『近頃、気になりませんか?』新井素子、四冊目のエッセイ作品

新井素子、25歳から34歳時代のエッセイ 1994年刊行作品。単行本版は廣済堂出版から。 主として廣済堂出版の「クロスワードクラブ」に掲載されていたエッセイをまとめたもの。一番古い記事はなんと1985年。最新の記事で1994年なので、けっこう執筆年代には幅…

『西の善き魔女1 セラフィールドの少女』荻原規子 版がいろいろある人気シリーズ

荻原規子の『西の善き魔女』全8巻の連続感想記事の第一弾。 中公ノベルス版、中公文庫版、愛蔵版、角川文庫版の違いについても簡単にまとめました。 コミック版、アニメ版についても触れています。

「十二国記」最新刊『白銀の墟 玄の月』を報道はどう伝えたか

『白銀の墟 玄の月』関連の各社報道をまとめてみた 『白銀の墟 玄の月』以前から、既に大ヒット作であった「十二国記」シリーズだが、それはあくまでも読書人の間にだけで、一般層への認知はいま一つだったのではないだろうか。今回の『白銀の墟 玄の月』は…

『銀盤カレイドスコープ Vol.9 シンデレラ・プログラム』海原零 圧巻の最終滑走

「銀盤カレイドスコープ」最終巻 2006年刊行。遂に最終巻である。Vol.8との同時発売。バンクーバー五輪フリープログラム+α編。 最後だからということもあるのだろうけど、脇役の至藤、ドミニク、ステイシー、キャンドルにもちゃんと感動的な見せ場が用意さ…

『西の魔女が死んだ』梨木香歩のデビュー作にして代表作

梨木香歩はこの作品から始まった 1994年作品。最初の単行本版は楡出版より刊行されている。 西の魔女が死んだ 作者:梨木 香歩 出版社/メーカー: 楡出版 発売日: 1994/04 メディア: 単行本 続いて、小学館による新装版が1996年に登場。 西の魔女が死んだ 作者…

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 小説アンソロジー』ファンなら買いの一冊

ワタモテ初の小説アンソロジー 2019年刊行作品。人気マンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の小説アンソロジーである。執筆陣は、まず原作の谷川ニコ自身が初の小説執筆に挑戦。加えて、超ベテラン作家の辻真先、更にミステリ作家の、青崎有…

『そして粛清の扉を』黒武洋 第一回ホラーサスペンス大賞受賞作

ホラーサスペンス大賞、最初の大賞作品 2001年刊行作品。黒武洋(くろたけよう)のデビュー作である。第一回ホラーサスペンス大賞の大賞受賞作。 新潮文庫版は2005年に登場している。 そして粛清の扉を (新潮文庫) 作者:黒武 洋 出版社/メーカー: 新潮社 発…

『銀盤カレイドスコープ Vol.8 コズミック・プログラム』海原零 いよいよ残り二冊!

「銀盤カレイドスコープ」ラスト二冊は同時刊行 2006年刊行作品。このシリーズも遂に完結目前。ラストのVol.8はVol.9と合わせての二冊同時刊行であった。 いよいよ次が大ラスの最終巻かと思うとなんだかしみじみしてしまう。 目次を見る限りでは、前巻のVol.…

『雪が白いとき、かつそのときに限り』陸秋槎 雪の密室、青春の蹉跌と絶望

陸秋槎の第二作 2019年刊行作品。オリジナルの中国版は2017年刊行で原題は『当且僅当雪是白的』。 作者の陸秋槎(りくしゅうさ)は1988年生まれ。2016年の『元年春之祭』がデビュー作で(日本版は2017年刊行)、本作が第二作ということになる。 あらすじ 雪…

『銀盤カレイドスコープ Vol.7 リリカルプログラム』海原零 最終章前のインターミッション回

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの七作目 2006年刊行作品。熱血フィギュアスケート小説の第七巻。 刊行当時、世の中的にはトリノが終わったばかりなのだが、「銀盤カレイドスコープ」の世界では早くも2009年。前巻のあとがきでは次のバンクーバー編で最後…

BenQ「MindDuo」レビュー、アラフォー以上の読書家ならデスクライトにはこだわりたい

アラフォー読書家の目はいたわりたい 日常的に本を読まれているアラフォー以降の世代の読書家の皆さん。以前は何時間でも本が読めたのに、最近は小一時間、本を読むだけで目が疲れて辛い。以前のようにバリバリ読めなくなったなんてことはないでしょうか? …

『銀盤カレイドスコープ Vol.6 ダブル・プログラム』 ライバルから見たヒロイン像

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの六作目 2005年刊行作品。シリーズ六作目。今回はまたしても視点が変わって、かつてのライバルたちが主人公となる。複数の視点を取り入れながら、主人公タズサのキャラクタを立体的に描き出していこうという趣向である。 …

『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』嵯峨景子 少女小説50年の歴史を振り返る

少女小説50年の歴史を振り返る 2016年刊行。筆者の嵯峨景子は1979年生まれ。社会学、文化研究を専門とする研究者で、現在は明治学院大学の非常勤講師、及び文化学園大学文化ファッション研究機構の共同研究員を務めている方である。 近著としては、『氷室冴…

『理由あって冬に出る』似鳥鶏 「市立高校シリーズ」一作目

表紙イラストが変更された作品 2007年刊行。第16回鮎川賞佳作入選作である。作者の似鳥鶏(にたどりけい)は1981年生まれ。本作が最初の作品である。その後七作目まで続いている「市立高校シリーズ」の第一作目でもある。 現在は以下の表紙(イラストレータ…

『丕緒の鳥』小野不由美 十二国記シリーズ二冊目の短編集

「十二国記」シリーズの第八作 『丕緒(ひしょ)の鳥』は2013年刊行作品。『月の影 影の海』『風の海 迷宮の岸』『東の海神 西の滄海』『風の万里 黎明の空』『図南の翼』『黄昏の岸 暁の天』『華胥の幽夢』に続く「十二国記」シリーズ、八作目の作品である…

『ネガレアリテの悪魔』大塚已愛 登場した絵画も併せてご紹介します

角川文庫キャラクター小説大賞受賞作 2019年刊行作品。KADOKAWA主催による、第四回角川文庫キャラクター小説大賞の大賞受賞作。『鬼憑き十兵衛』でファンタジーノベル大賞を受賞した、大塚已愛(おおつかいちか)の第二作でもある。 特徴のある画風だから、…

『銀盤カレイドスコープ Vol.5 ルーキー・プログラム』海原零 明快で分かり易いプロレス的なカタルシス

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの五作目 2005年刊行作品。シリーズも五作目で、本作で折り返しポイントである。 今回は15歳のジュニアスケーター、キャンドル・アカデミアが登場。タズサ視点とキャンドル視点が切り替わりながらの展開となっている。 あら…

『銀盤カレイドスコープ Vol.4 リトル・プログラム』海原零 今回はノービス編!

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの四作目 2005年刊行作品。シリーズ四作目。一作目と二作目で女子シングルスの世界を描き、三作目ではなんとペアスケーティングに挑戦!フィギュアスケートの世界を、多角的に描いていく本シリーズだが、今回はなんとノービ…

『華胥の幽夢』小野不由美 十二国記初の短編集

「十二国記」シリーズの第七作は初の短編集 『華胥(かしょ)の幽夢(ゆめ)』は2001年刊行作品。『月の影 影の海』『風の海 迷宮の岸』『東の海神 西の滄海』『風の万里 黎明の空』『図南の翼』『黄昏の岸 暁の天』に続く「十二国記」シリーズ、七作目の作…

『銀盤カレイドスコープ Vol.3 ペア・プログラム』海原零 ペアスケーティング編!

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの三作目 2004年刊行。シリーズ三作目。パートナーであったピートを失い、トリノ五輪での活躍を終えてからのタズサの物語である。 あらすじ トリノオリンピック後の世界選手権で二位。世界のトップスケーターへの仲間入りを…

『パラダイス・クローズド』汀こるもの 第37回メフィスト賞受賞作

こるものさんのデビュー作 2008年刊行。第37回メフィスト賞受賞作品。汀(みぎわ)こるものの第一作にして、タナトスシリーズの一作目でもある。 twitterやってる人間としては、汀こるものと言うよりは、「こるものさん」で認識しているので、フルネームで書…

『黄昏の岸 暁の天』小野不由美 「十二国記」エピソード6

『白銀の墟 玄の月』の3巻、4巻が出る前に「十二国記」シリーズの既刊を再読しておきたい!企画もようやく先が見えてきた。今回は『黄昏の岸 暁の天』をご紹介したい。 「十二国記」シリーズの第六作 『黄昏の岸 暁の天』は2001年刊行作品。『月の影 影の海…

『銀盤カレイドスコープ Vol.2 フリー・プログラム』海原零 トリノ五輪編に突入!

「銀盤カレイドスコープ」シリーズの二作目 2003年刊行。海原零による、「銀盤カレイドスコープ」シリーズの第二作である。 現実を先取りして(当時)、今回はトリノ五輪編である。この時点で作中では2006年の設定になっていた。 あらすじ オリンピック日本…

『図南の翼』小野不由美 「十二国記」エピソード5

『白銀の墟 玄の月』の3巻、4巻が出るまでに、「十二国記」の既刊を全て再読してしまいたい(←まだ言ってる)。ということで、本日は、「十二国記」のエピソード5『図南の翼』をご紹介しよう。 「十二国記」シリーズの第五作 本作は1996年刊行作品。『月の影…

『銀盤カレイドスコープ Vol.1 ショート・プログラム』海原零 熱血スポ根フィギュア小説

長らく毎週火曜日は西尾維新作品の感想をあげてきた。しかしさすがにそろそろネタ切れ気味なので、今週からは別作家のシリーズ作品感想をアップしていきたい。西尾作品の感想を楽しみにされていた方スミマセン。いずれまたやるので、ちょっと待ってね。 海原…

『風の万里 黎明の空』小野不由美 「十二国記」エピソード4

新作が出るまでに、「十二国記」の既刊を全て再読してしまうつもりだったけど、とうとう新刊『白銀の墟 玄の月』が出てしまった……。 ともあれ、既刊を全て再読するまで新刊はお預け。本日は、「十二国記」のエピソード4『風の万里 黎明の空』をご紹介しよう…

グイン・サーガ続篇146巻『雲雀とイリス』 マリウスとオクタヴィアの再会

>>グインサーガ147『闇中の星』の感想も書きました。 続篇グインサーガ16冊目! 2019年刊行作品。2019年はグインサーガ40周年であり、栗本薫の没後10年にあたるメモリアルイヤーである。 2013年から始まった続篇グインサーガは五代ゆうと宵野ゆめの二人執…

『ドッペルゲンガー宮《あかずの扉》研究会流氷館へ』霧舎巧 第12回メフィスト賞受賞作

霧舎巧のデビュー作 1999年刊行作品。第12回のメフィスト賞受賞作品である。本作はメフィスト賞にしてはけっこう普通に本格ミステリしている作品で、刊行当時新鮮な印象を受けた記憶がある。 作者の(きりしゃたくみ)は1963年生まれ。ペンネームの名付け親…