2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧
2022年のミステリ界を席巻! 2022年刊行作品。作者の白井智之(しらいともゆき)は1990年生まれのミステリ作家。デビュー作は2014年の『人間の顔は食べづらい』。同作は第34回の横溝正史ミステリ大賞の最終候補作のひとつであった。 『名探偵のいけにえ』は…
青春は気まずさでできた密室 2019年刊行作品。集英社の小説誌「小説すばる」に2016年~2018年にかけて掲載されていた作品をまとめたもの。「エピローグ」部分は単行本刊行時の書き下ろしとなっている。第73回日本推理作家協会賞の、長編および連作短編集部門…
高里椎奈による「密室本」 2002年刊行作品。講談社ノベルズ20周年企画「密室本」の一冊である。高里椎奈(たかさとしいな)と言えば、薬屋探偵シリーズが定番だったが(当時)、本作は初の非薬屋シリーズ作品だった。 その後『お伽話のように』『左手をつな…
覆面作家、氷川透のデビュー作 2000年刊行作品。第15回のメフィスト賞受賞作品である。氷川透(ひかわとおる)の最初の作品。この作家、東京大学文学部卒であることは開示されているのだが、それ以外のプロフィールがまったく不明と言う覆面作家である。性別…
魅惑の異色短編アンソロジー 2022年刊行作品。編者にして翻訳を担当しているのは、岸本佐知子(きしもとさちこ)と、柴田元幸(しばたもとゆき)の両名。 本書は、柴田元幸が編集長を務める文芸誌「MONKEY」の第23号で企画された特集「ここにいいものがある…
浅暮三文による「密室本」 2002年刊行作品。1998年に『ダブ(エ)ストン街道』で第8回のメフィスト賞を受賞した浅暮三文(あさぐれみつふみ)としては6作目の作品となる。 なお、文庫化はされていない。 作者の浅暮三文は1959年生まれ。作家になる前はコピーラ…
山之口洋のデビュー作 1998年刊行作品。第10回日本ファンタジーノベル大賞の大賞受賞作品である。ちなみにこの年の優秀賞は沢村凛の『ヤンのいた島』と涼元悠一の『青猫の街』である。 作者の山之口洋(やまのぐちよう)は1960年生まれ。本作がデビュー作と…
第28回電撃小説大賞、銀賞受賞作 2022年刊行作品。作者の東崎惟子(あがりざきゆいこ)は、本作『竜殺しのブリュンヒルド』がデビュー作となる。数々の人気作家を世に送り出してきた、電撃小説大賞の銀賞受賞作品だ。続篇としては『竜の姫ブリュンヒルド』が…
新人&女性刑事のバディもの 2003年刊行作品。近藤史恵(こんどうふみえ)初の警察小説。本作がこれで16作目。最初に出たのはトクマ・ノベルズ版だった。 狼の寓話―南方署強行犯係 (トクマ・ノベルズ) 作者:近藤 史恵 徳間書店 Amazon 徳間文庫版は2007年に刊…
当ブログは原則としてネタバレありでお届けしているが、本作については佐々木丸美の「館」シリーズについても軽度のネタバレを含んでいる。未読の方はご注意ください! 最後期の佐々木丸美作品 1983年刊行作品。佐々木丸美(ささきまるみ)としては15作目の…
浅田次郎、初の歴史小説 2000年刊行作品。もともとは「文藝春秋」誌に1998年~2000年にかけて連載されていたもの。タイトルの『壬生義士伝』は「みぶぎしでん」と読む。 日本を舞台とした歴史小説は、浅田次郎(あさだじろう)としては初めての作品となる。…
舞城王太郎の「密室本」 2002年刊行作品。『煙か土か食い物』『暗闇の中で子供』に続く、舞城王太郎(まいじょうおうたろう)の三作目にあたる作品。 浅暮三文の『殺しも鯖もMで始まる 地底の密室!』や高里椎奈の『それでも君が』と同様に、講談社ノベルズ2…
神吉拓郎の短編集が復刊 作者の神吉拓郎(かんきたくろう)は1928年生まれ。NHK出身の放送作家、小説家。1983年に『私生活』で直木賞を受賞。1994年に物故されている。 本日ご紹介する『曲り角』は、もともとは1985年に文藝春秋から刊行されていた作品。 曲…
何度もタイトルを変えて復活した中町信のデビュー作 作者の中町信(なかまちしん)は1935年生まれ。出版社勤務を経て1989年から専業化。90年代に数多くのミステリ作品を発表した作家であるが、残念ながら2009年に他界されている。 2005年刊行の作品だが、本…
ミネット・ウォルターズの三作目 オリジナルの英国版は1994年刊行で、原題は『The Scold's Bridle』。邦訳版は1996年に登場している。 鉄の枷 作者:ミネット ウォルターズ 東京創元社 Amazon わたしが読んだのは2002年に刊行された創元推理文庫版である。 作…
「隣り合わせの灰と青春」に続く、ウィザードリィ小説の2作目 今は亡きゲーム雑誌「ファミコン必勝本」。かつて宝島社(当時はJICC出版)から出版されていたこの雑誌はなぜか異常なまでに「ウィザードリィ」という特定のRPGをプッシュしていて、コミックが連…
森山赳志、唯一の作品 2005年刊行作品。タイトルは「もっかのだいしょう」と読む。第33回のメフィスト賞受賞作品である。メフィスト賞には珍しい国際謀略モノだ。作者の森山赳志(もりやまたけし)は1971年生まれ。本作がデビュー作だが、残念ながらこれ以降…
恩田陸のミステリ短編集 1999年刊行作品。主として祥伝社の小説誌『小説NON』に掲載されていた一連の作品をまとめて書籍化したもの。『光の帝国 常野物語』の次、『木曜組曲』の前に出た作品で、恩田陸の第六作となる。 象と耳鳴り 作者:恩田 陸 祥伝社 Amaz…
メフィスト賞受賞後、初の作品 2001年刊行作品。『煙か土か食い物』で第19回のメフィスト賞を受賞した舞城王太郎(まいじょうおうたろう)の第二作。「奈津川サーガ」と呼ばれる一連のシリーズの二作目でもある。 全貌が判りにくい「奈津川サーガ」 奈津川家…