ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『家守』テーマは"家"、歌野晶午の短編集を読む 

歌野晶午の短編集 2003年刊行作品。カッパ・ノベルスからの登場。 1998年から2003年にかけて「メフィスト」「ジャーロ」に発表された作品をまとめたもの。”家”をテーマにした短編集である。 家守 (カッパ・ノベルス) 作者:歌野 晶午 発売日: 2003/11/18 メデ…

『私が大好きな小説家を殺すまで』斜線堂有紀 共依存の行きついた果ては?

斜線堂有紀の第四作 2018年刊行作品。メディアワークス文庫からの登場である。 斜線堂有紀(しゃせんどうゆうき)としては、『キネマ探偵カレイドミステリー』『キネマ探偵カレイドミステリー 〜再演奇縁のアンコール〜』『キネマ探偵カレイドミステリー 輪…

『海を見る人』小林泰三 初のエスエフ短編集

以下は昨年12月投稿記事の加筆修正版となる。 小林泰三逝去 昨晩(2020年11月25日)のTwittrタイムラインに、以下の一報が流れた。 小説家の小林泰三さんが11月23日午前5時56分に逝去されました。奥様はネット環境になく、田中さんに公表してもらえと…

『しゃばけ』畠中恵 シリーズの記念すべき一作目

第13回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞 2001年刊行。第13回の日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。ちなみに大賞は『クロニカ』 粕谷知世(かすやちせ)が受賞している。 しゃばけ 作者:畠中 恵 メディア: 単行本 新潮文庫版は2004年に刊行。 し…

『2』野崎まど 初期六部作の完結編!

『2』それは究極の作品 2012年刊行作品。『[映] アムリタ 』『舞面真面とお面の女』『死なない生徒殺人事件』『小説家の作り方』『パーフェクトフレンド』に続く、野崎まどとしては六作目の作品である。本作を含め、野崎まどの初期六部作を構成している。 …

小川一水のデビュー作『まずは一報ポプラパレスより』シリーズ全二作を読む

実は乙一と同期だった小川一水 本日は『まずは一報ポプラパレスより』シリーズを二作まとめてご紹介したい。 本作は、エスエフ作家、小川一水のデビュー作だが、デビュー当時は河出智紀という筆名で刊行されていた。今は亡き新書サイズの「JUMP jBOOKS」レー…

『王妃の離婚』佐藤賢一 うらぶれたオッサンが頑張る話に昂る

佐藤賢一の直木賞受賞作 1999年刊行作品。佐藤賢一の五作目。第121回の直木賞受賞作である。ちなみに同時受賞タイトルは、桐野夏生の『柔らかな頬』であった。 1994年に書かれた佐藤賢一のデビュー作、『ジャガーになった男』は戦国時代にスペインに渡った一…

『フォーマイダーリン―月夜は無邪気に竜退治』野村美月の第二作品。

野村美月の第二作 2002年刊行作品。『赤城山卓球場に歌声は響く』に続く、野村美月(のむらみつき)の二作目である。 デビュー作の『赤城山卓球場に歌声は響く』が2002年の2月。そして本作は2002年の3月。そして第三作である『天使のベースボール』は2002年4…

『閻魔堂沙羅の推理奇譚 A+B+Cの殺人』木元哉多 沙羅ちゃんが語る人生の真理

「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズの七作目 2020年刊行作品。木元哉多の「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズ全巻読破、ようやく最新巻に追いついた。ドラマ版が始まる前に読み終えたかったけど、さすがにちょっと無理だったかな。 木元哉多(きもとかなた)と…

『なんか島開拓誌』原岳人 第三回日本ファンタジーノベル大賞、優秀賞受賞作

原岳人唯一の作品 1991年刊行作品。第三回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作。ちなみにこの年の、大賞は佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』である。 最終候補作には恩田陸の『六番目の小夜子』と沢村凛の『リフレイン』があがっており、両作は選に漏…

『また、同じ夢を見ていた』住野よる 人生と幸せの意味

住野よる作『また、同じ夢を見ていた』のあらすじ、考察、ネタバレ感想。人生と幸せの意味を考えてみました。

『黒い仏』殊能将之 終盤の超展開に瞠目せよ!!

殊能将之作品の懐の深さを知る一作 先日、『樒 / 榁』の感想を書いたので、もうすこし殊能将之(しゅのうまさゆき)作品の紹介を続けてみる。 『黒い仏』は2001年刊行作品。第13回メフィスト賞受賞作となった『ハサミ男』で衝撃的なデビューを飾った、殊能将…

『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』乙野四方字 二つの作品が繋がる瞬間のカタルシス!

映画化決定!二作同時刊行された並行世界モノ 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』両作は、2016年6月の同時刊行である。 作者の乙野四方字(おとのよもじ)は1981年生まれ。第18回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》を受賞した、2012年の『ミ…

星雲賞受賞作「ネプチューン」も収録!新井素子『今はもういないあたしへ…』

星雲賞受賞作「ネプチューン」を収録した作品集 1988年作品。今は亡き大陸書房からの刊行。 「ネプチューン」と「今はもういないあたしへ…」の中編作品が二作収録されている。解説は新井素子を見出した一人ともいえる星新一が書いていて、タイトルは「十年た…

『氷結の魂』菅浩江 和製ファンタジーの隠れた名作

再刊されていない可哀そうな作品 1994年刊行作品。かれこれ四半世紀以上も前の作品である。菅浩江(すがひろえ)作品としてはこれが十作目。 ノベルス版で出て、それっきりの不憫な作品である。文庫にもなっていない。 徳間書店は1990年代前半、デュアル文庫…

『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎 仕掛けに全然気づかなかった!

伊坂幸太郎の第五作 2003年刊行。このミス2004、国内部門第二位の作品。東京創元社のミステリレーベル「ミステリ・フロンティア」枠からの刊行であった。伊坂幸太郎(いさかこうたろう)としては、五作目の長編作品ということになる。 アヒルと鴨のコインロッ…

『すみれ屋敷の罪人』降田天 「回想の殺人」を描いた良作ミステリ

降田天の三作目 2018年刊行作品。降田天(ふるたてん)は、萩野 瑛(はぎのえい)と鮎川颯(あゆかわそう)の両名で構成される合作作家のペンネームである。 このコンビ作家の活動歴は長い。鮎川はぎ名義で刊行された「横柄巫女と宰相陛下」シリーズで2007年…