ネコショカ

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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

小川一水

『アース・ガード ローカル惑星防衛記』「小川一水」としてのデビュー作

「小川一水」名義で書かれた最初の作品 1998年刊行作品。1996年に第6回ジャンプ小説大賞で大賞を受賞した、河出智紀名義の『まずは一報ポプラパレスより』に続く二作目の作品である。 本作から筆名が小川一水(おがわいっすい)に変わっている。つまり小川一…

『フリーランチの時代』小川一水 『時砂の王』外伝を含む、第二短編集

ヴァラエティに富んだ内容の短編集 2008年刊行作品。SFマガジン等に掲載された作品群をまとめた小川一水(おがわいっすい)の第二短編集。第一短編集である『老ヴォールの惑星』のスケールの大きさに較べるとやや小粒かな。 おススメ度、こんな方におススメ…

『時砂の王』小川一水 時をめぐる大いなる戦いの果てに

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行作品。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水(おがわいっすい)はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓してお…

『こちら、郵政省特別配達課!』小川一水 郵政民営化前に書かれたお仕事小説!

本日は小川一水の『こちら、郵政省特別配達課!』シリーズ、全二巻をまとめてご紹介したい。1999年~2001年にかけて、まだ郵政民営化が行われる前に世に出た作品。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(最大★5つ) 公務員の主人公が、内外の…

『イカロスの誕生日』小川一水 人が空を飛べるようになったらどうなるの?

小川一水の第5作品 2000年刊行作品。『まずは一報ポプラパレスより(河出智紀名義)』、『アース・ガード』『マリアロード・ストーリー』『こちら、郵政省特別配達課』に続く、小川一水の五作目にあたるお話。 相変わらずソノラマのカバーデザインは渋い(と…

『疾走!千マイル急行』小川一水 列車砲、装甲列車が登場する冒険活劇

超豪華特急を舞台とした架空世界モノ 2005年刊行作品。夢の超豪華特急を舞台とした架空世界モノ。この手の架空世界の設定造りがこの作家はホントに大好き。 本作は19世紀のイギリス的な世界観をベースに、故国を失った少年少女たちが、国の命運をかけて大国…

『グレイ・チェンバー』小川一水 ジャンプジェイブックスレーベルでの刊行作品

ジャンプジェイブックス時代の小川一水作品 小川一水(おがわいっすい)は、河出智紀名義で1996年10月に『まずは一報ポプラパレスより』を上梓していて実質的にはこれがこの作家のデビュー作。続いて『まずは一報ポプラパレスより2』 が1998年の4月に出てお…

『老ヴォールの惑星』小川一水 硬軟取り混ぜた第一短編集

小川一水の初期作品集 2005年刊行。ベストSF2005国内部門第一位の作品。小川一水(おがわいっすい)としては、初の短編集となる。 初出は「ギャルナフカの迷宮」が同人誌「Progressive25」。「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱船」が「SFマガジン」。最後の…

『導きの星』小川一水 異種文明を見守る公務員が主人公、全四巻を一気に紹介

小川一水作品はここからガチ 2002年刊行作品。ハルキ文庫のヌーヴェルSFシリーズからの登場。全四巻の『導きの星』シリーズを、「1目覚めの大地」「2争いの地平」「3災いの空」「4出会いの銀河」と、順に紹介していきたい。 本作刊行に至るまで、ライトノベ…

『復活の地』小川一水 大震災からの復興物語

小川一水による大都市災害復興シミュレーション 本日は小川一水(おがわいっすい)による『復活の地』全三巻の感想を一気にお届けしたい。『復活の地』は2004年刊行。ベストSF2004国内部門第三位の作品である。 『復活の地』はエスエフ仕立ての大都市災害復…

『ポストコロナのSF』コロナ後を見据えたSF作家19人の想像力

エスエフ作家の想像力が試されている 先日、はてなのアノニマスダイアリ(通称増田)にこんな投稿があがっていた。 SF的想像力で扱われるパンデミックってだいたい「感染者の9割が死ぬようなヤバいウイルスが蔓延して人類文明崩壊」みたいな話ばかりで、 新…

『天涯の砦』小川一水 遭難した宇宙船に残された10人のサバイバル

ベストSF2006国内部門第三位 2006年刊行。ベストSF2006国内部門第三位の作品。ハヤカワSFシリーズ・Jコレクションレーベルからの登場であった。 天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 作者:小川 一水 早川書房 Amazon ハヤカワ文庫版は2009年に刊行…

『ハイウイング・ストロール』小川一水 年上の女性との冒険行

ソノラマ文庫時代の小川一水作品 2004年刊行作品。 1996年に『まずは一報ポプラパレスより』でデビューした小川一水は、その後ゼロ年代の前半までは、朝日ソノラマのソノラマ文庫を主要な作品発表媒体としていた。本作はそのうちの一作である。 ハイウイング…

『トネイロ会の非殺人事件』小川一水、初のミステリ作品集!

小川一水はミステリも書く! 2012年刊行作品。光文社の小説誌「小説宝石」に2009年~2011年にかけて掲載された三篇を収録したもの。エスエフ作家として知られる小川一水(おがわいっすい)としては珍しいミステリ作品集である。 トネイロ会の非殺人事件 作者…

小川一水のデビュー作『まずは一報ポプラパレスより』シリーズ全二作を読む

実は乙一と同期だった小川一水 本日は『まずは一報ポプラパレスより』シリーズを二作まとめてご紹介したい。 本作は、エスエフ作家、小川一水のデビュー作だが、デビュー当時は河出智紀という筆名で刊行されていた。今は亡き新書サイズの「JUMP jBOOKS」レー…

『ファイナルシーカー レスキューウイング』小川一水 レスキューの最高峰、航空自衛隊救難飛行隊の活躍を描く

航空自衛隊救難飛行隊が舞台 2006年刊行作品。小川一水初のMF文庫作品。この時期の小川一水作品に多かった、公務員がとにかく頑張る系のお話である。サブタイトルは「レスキューウィングス」。 恥ずかしながらよく知らなかったのだが、本作はアニメの『よみ…

『強救戦艦メデューシン』小川一水 絶望的な状況で孤軍奮闘するナースたちの物語

ソノラマ文庫時代の小川一水作品 上巻が2002年、下巻が2003年に刊行。小川一水お得意の架空世界モノ。全六章構成で、各編だけを取ってみてもいちおう読める体裁になっている。 小川一水は近年の大活躍もあって、ゼロ年代に発表された旧作品の復刊活動が盛ん…