ネコショカ

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『方丈記(全)』鴨長明・武田友宏編
角川のビギナーズ・クラシックスで古典を読む

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年に読んで面白かった小説10選

今年ギリギリになってしまったが、恒例の年間ベスト企画、昨日のマンガ編に続いて小説編をお届けしたい。「2020年に出た作品」ではなく、「2020年に読んだ本」が対象なのでその点は注意。また、特に順位などはつけていない。 このページに関してはネタバレな…

2020年に読んで面白かったマンガ9選

恒例の「〇〇年に読んで面白かった」シリーズ。今年はマンガ編からスタートである。コロナ禍のおかげで、今年はネットカフェに籠ることがほとんど出来ず、結果として影響を受けたのがマンガ本の読了減少であった。その分、一般書籍の読了数は増えたのだけど…

ゴーストハント(悪霊)シリーズ新旧読み比べ(4)『悪霊はひとりぼっち』と『ゴーストハント4』

ゴーストハント(悪霊)シリーズ新旧読み比べ四回目! 小野不由美のゴーストハント(悪霊)シリーズを、旧作、新作両方読んだ上でレビューするシリーズ。本日ご紹介するのはシリーズ第四作『悪霊はひとりぼっち(ゴーストハント4)』である。 『悪霊はひと…

『さようならアルルカン/白い少女たち』氷室冴子の初期作品集 幻の四編を初収録

最初期の氷室冴子作品が読める! 2020年刊行作品。氷室冴子デビューの契機となった「小説ジュニア青春小説新人賞」佳作入選作の「さようならアルルカン」に、初文庫作品『白い少女たち』、更に集英社の若年層向け小説誌「小説ジュニア」(雑誌「Cobalt」の前…

『新本格魔法少女りすか』西尾維新 魔法少女×ミステリの魅力

※2020/12/26追記 最終巻を読むために、一巻から再読をしています。なにせ十数年ぶりなので。とりあえず一巻を読み切ったのでレビューを刷新!二巻以降も随時レビューを修正していくのでしばらくお待ちを 西尾維新が描く”魔法少女” 2004年刊行作品。「ファウ…

『阿修羅ガール』舞城王太郎 第16回三島由紀夫賞受賞作

三島由紀夫賞受賞作 2003年1月刊行作品。『煙か土か食い物』『暗闇の中で子供』『世界は密室でできている。』『熊の場所』に続く、舞城王太郎五作目の作品となる。講談社以外から出版された始めての作品でもある。 阿修羅ガール 作者:舞城 王太郎 メディア: …

『さらわれたい女』歌野晶午 脱新本格の流れの中で

角川⇒講談社⇒角川と版元が変わった作品 本作に関しては、まず最初に、1992年にカドカワノベルズ版(←懐かしいレーベル!)が刊行されている。 さらわれたい女 (カドカワノベルズ) 作者: 歌野晶午 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1992/01 メディア: 新書 …

『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』辻真先 『たかが殺人じゃないか』の前日譚

那珂一兵登場作品 2018年刊行作品。作者の辻真先(つじまさき)はアニメーション作品の脚本家として知る方が多いだろう。『鉄腕アトム』時代からの生き残りだから業界最古参。しかも、現在でも『名探偵コナン』の脚本を手掛けるなど、未だに現役で活躍してい…

『俺が近所の公園でリフティングしていたら』矢田容生 2ちゃんねらー感動の熱血サッカー小説

2ちゃんねる発のサッカー小説 2006年刊行。2ちゃんねるの国内サッカー板に連載されていた作品を加筆修正の上で商業出版化したもの。作者の矢田容生(やたひろお)は1971年生まれ。2020年現在、著作は本作のみであるようだ。ちなみに文庫化もされていないが…

『トネイロ会の非殺人事件』小川一水、初のミステリ作品集!

小川一水はミステリも書く! 2012年刊行作品。光文社の小説誌「小説宝石」に2009年~2011年にかけて掲載された三篇を収録したもの。エスエフ作家として知られる小川一水(おがわいっすい)としては珍しいミステリ作品集である。 トネイロ会の非殺人事件 作者…

『島津奔る』池宮彰一郎 島津家視点で描いた関ヶ原合戦

現在では入手困難な作品 1998年刊行作品。池宮彰一郎(いけみやしょういちろう)としては六作目の作品。 池宮彰一郎は1923年生まれ。脚本家として映画、テレビドラマの世界で活躍。1992年の映画化もされた『四十七人の刺客』から小説家としても活躍を開始し…

『九杯目には早すぎる』蒼井上鷹 ショボイ動機にせせこましい犯罪

短編小説の名手、蒼井上鷹のデビュー作 2005年刊行。蒼井上鷹は双葉社が主催する、小説推理新人賞を2004年に受賞してデビューした方。個人的には短編小説の良い書き手という印象の作家さんである。著作の中でも、短編作品の占める割合がかなり多い。 名前は…

『ブルー・ハイドレード』海原零、未完の第二作

海原零の第二作 2004年刊行。熱血スポ魂フィギュアスケート小説『銀盤カレイドスコープ』が有名な海原零(かいばられい)の二つ目の作品。第一巻のサブタイトルは「融合」である。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(最大★5つ) 『銀盤カ…

『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月 第31回メフィスト賞受賞作

辻村深月のデビュー作 2004年刊行。第31回メフィスト賞受賞作品。同賞では、初の試みとして上・中・下の3分冊で6月~8月の三か月にかけて連続刊行された。 2007年の文庫化に際して、上下巻の二巻構成に改められている。 作者の辻村深月(つじむらみづき)は198…

『少年名探偵虹北恭助の冒険』はやみねかおるの講談社ノベルス初登場作品

虹北恭助シリーズの一作目 2000年刊行作品。講談社の文芸誌「メフィスト」の1999年5月号から2000年の5月号にかけて掲載された4編に、書き下ろし1編を加えて講談社ノベルズにて上梓されたのが本作。イラストはやまさきもへじが担当。 少年名探偵 虹北恭助の冒…

『ダブ(エ)ストン街道』浅暮三文 第8回メフィスト賞受賞作品

浅暮三文のデビュー作 1998年刊行作品。第8回のメフィスト賞受賞作である。 最近のメフィスト賞作品は、ソフトカバー形態で刊行されるケースが多い。しかし初期のメフィスト賞作品では、ノベルス形態で登場することが多かった。 ただ、本作に関してはそのい…

『愚か者死すべし』原リョウ 九年ぶりの新作(当時)

超遅筆作家、原リョウの五作目 2004年刊行。リョウと表記しているが、実際には「僚」のにんべんがない「つくり」の部分だと思って欲しい。正確な漢字は機種依存文字なので表示出来ないのであしからず。 愚か者死すべし 作者:原 リョウ 発売日: 2004/11/25 メ…

『家守』テーマは"家"、歌野晶午の短編集を読む 

歌野晶午の短編集 2003年刊行作品。カッパ・ノベルスからの登場。 1998年から2003年にかけて「メフィスト」「ジャーロ」に発表された作品をまとめたもの。”家”をテーマにした短編集である。 家守 (カッパ・ノベルス) 作者:歌野 晶午 発売日: 2003/11/18 メデ…

『私が大好きな小説家を殺すまで』斜線堂有紀 共依存の行きついた果ては?

斜線堂有紀の第四作 2018年刊行作品。メディアワークス文庫からの登場である。 斜線堂有紀(しゃせんどうゆうき)としては、『キネマ探偵カレイドミステリー』『キネマ探偵カレイドミステリー 〜再演奇縁のアンコール〜』『キネマ探偵カレイドミステリー 輪…

『海を見る人』小林泰三 初のエスエフ短編集

以下は昨年12月投稿記事の加筆修正版となる。 小林泰三逝去 昨晩(2020年11月25日)のTwittrタイムラインに、以下の一報が流れた。 小説家の小林泰三さんが11月23日午前5時56分に逝去されました。奥様はネット環境になく、田中さんに公表してもらえと…

『しゃばけ』畠中恵 シリーズの記念すべき一作目

第13回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞 2001年刊行。第13回の日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。ちなみに大賞は『クロニカ』 粕谷知世(かすやちせ)が受賞している。 しゃばけ 作者:畠中 恵 メディア: 単行本 新潮文庫版は2004年に刊行。 し…

『2』野崎まど 初期六部作の完結編!

『2』それは究極の作品 2012年刊行作品。『[映] アムリタ 』『舞面真面とお面の女』『死なない生徒殺人事件』『小説家の作り方』『パーフェクトフレンド』に続く、野崎まどとしては六作目の作品である。本作を含め、野崎まどの初期六部作を構成している。 …

小川一水のデビュー作『まずは一報ポプラパレスより』シリーズ全二作を読む

実は乙一と同期だった小川一水 本日は『まずは一報ポプラパレスより』シリーズを二作まとめてご紹介したい。 本作は、エスエフ作家、小川一水のデビュー作だが、デビュー当時は河出智紀という筆名で刊行されていた。今は亡き新書サイズの「JUMP jBOOKS」レー…

『王妃の離婚』佐藤賢一 うらぶれたオッサンが頑張る話に昂る

佐藤賢一の直木賞受賞作 1999年刊行作品。佐藤賢一の五作目。第121回の直木賞受賞作である。ちなみに同時受賞タイトルは、桐野夏生の『柔らかな頬』であった。 1994年に書かれた佐藤賢一のデビュー作、『ジャガーになった男』は戦国時代にスペインに渡った一…

『フォーマイダーリン―月夜は無邪気に竜退治』野村美月の第二作品。

野村美月の第二作 2002年刊行作品。『赤城山卓球場に歌声は響く』に続く、野村美月(のむらみつき)の二作目である。 デビュー作の『赤城山卓球場に歌声は響く』が2002年の2月。そして本作は2002年の3月。そして第三作である『天使のベースボール』は2002年4…

『閻魔堂沙羅の推理奇譚 A+B+Cの殺人』木元哉多 沙羅ちゃんが語る人生の真理

「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズの七作目 2020年刊行作品。木元哉多の「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズ全巻読破、ようやく最新巻に追いついた。ドラマ版が始まる前に読み終えたかったけど、さすがにちょっと無理だったかな。 木元哉多(きもとかなた)と…

『なんか島開拓誌』原岳人 第三回日本ファンタジーノベル大賞、優秀賞受賞作

原岳人唯一の作品 1991年刊行作品。第三回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作。ちなみにこの年の、大賞は佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』である。 最終候補作には恩田陸の『六番目の小夜子』と沢村凛の『リフレイン』があがっており、両作は選に漏…

『また、同じ夢を見ていた』住野よる 人生と幸せの意味

住野よる作『また、同じ夢を見ていた』のあらすじ、考察、ネタバレ感想。人生と幸せの意味を考えてみました。

『黒い仏』殊能将之 終盤の超展開に瞠目せよ!!

殊能将之作品の懐の深さを知る一作 先日、『樒 / 榁』の感想を書いたので、もうすこし殊能将之(しゅのうまさゆき)作品の紹介を続けてみる。 『黒い仏』は2001年刊行作品。第13回メフィスト賞受賞作となった『ハサミ男』で衝撃的なデビューを飾った、殊能将…

『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』乙野四方字 二つの作品が繋がる瞬間のカタルシス!

映画化決定!二作同時刊行された並行世界モノ 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』両作は、2016年6月の同時刊行である。 作者の乙野四方字(おとのよもじ)は1981年生まれ。第18回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》を受賞した、2012年の『ミ…