ネコショカ

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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『凌辱の魔界』友成純一 繰り広げられる魔宴の日々

アダルトレーベルから出ていた伝説のホラー作品 1985年刊行作品。もともとはマドンナ文庫から刊行されていた作品である。作者の友成純一(ともなりじゅんいち)は1954年生まれの小説家。 マドンナ文庫というのはいわゆるアダルト系のレーベルなのだが、そも…

『隣り合わせの灰と青春』ベニー松山 「ウィザードリィ」の世界を完全再現

ファミコンゲーム「ウィザードリィ」のノベライズ 30年以上前に刊行された作品だが、未だ色褪せないゲームノベライズの先駆にして、その域をはるかに超えてしまった大傑作がベニー松山の『隣り合わせの灰と青春』である。作者のベニー松山は1967年生まれの小…

「卓球場シリーズ」野村美月の初シリーズ全四作をまとめてご紹介

以前バラバラに配信していた、野村美月の「卓球場シリーズ」全四作を一つの記事に統合しました。 野村美月の卓球場シリーズ! 「卓球場シリーズ」は野村美月(のむらみづき)のデビュー作である『赤城山卓球場に歌声は響く』から始まる、全四巻のシリーズ作…

『invert II 覗き窓の死角』相沢沙呼 城塚翡翠シリーズの三作目

翡翠ちゃんシリーズの三冊目! 2022年刊行作品。サブタイトルの『覗き窓の死角』には「ファインダーのしかく」とルビが振られている。「のぞきまどのしかく」ではないので気をつけたい。 表紙イラストは、前作、前々作に引き続き、ヒットメーカー遠田志帆(…

『沈黙のフライバイ』野尻抱介 国産ハードSF小説の良短編集

「ベストSF2007」国内第三位の作品 2007年刊行作品。作者の野尻抱介(のじりほうすけ)は1961年生まれのエスエフ作家。「ベストSF2007」の国内第三位作品。1998年から2006年にかけて「SFマガジン」「SFオンライン」に発表された四編に書き下ろし一編を加えて…

『変な絵』雨穴 あなたにはこの絵の「謎」が解けますか?

9枚の「図絵」がからみあうスケッチ・ミステリー 2022年刊行作品。前作『変な家』が40万部超の大ヒットとなった雨穴(うけつ)の第二作である。本作『変な絵』も発売早々に、発行部数20万部を超える売り上げをたたき出しており、雨穴は僅か一年で、ヒットを連…

『フリーランチの時代』小川一水 『時砂の王』外伝を含む、第二短編集

ヴァラエティに富んだ内容の短編集 2008年刊行作品。SFマガジン等に掲載された作品群をまとめた小川一水(おがわいっすい)の第二短編集。第一短編集である『老ヴォールの惑星』のスケールの大きさに較べるとやや小粒かな。 おススメ度、こんな方におススメ…

『此の世の果ての殺人』荒木あかね 終末の世界、女性バディモノ✖ロードノベルの魅力

史上最年少、選考委員満場一致の乱歩賞受賞作 2022年刊行作品。作者の荒木あかねは1998年生まれのミステリ作家。本作『此の世の果ての殺人(このよのはてのさつじん)』で第68回の江戸川乱歩賞を受賞し、作家としてのデビューを果たしている。受賞当時23歳は…

『Twelve Y.O.』福井晴敏 第44回江戸川乱歩賞受賞作

最初に刊行された福井晴敏作品 1998年刊行作品。第44回の江戸川乱歩賞受賞作品である。ちなみにタイトルの『Twelve Y.O.』は「とぅえるぶ わい おー」と読む(そのまんまだ)。 作者の福井晴敏は1968年生まれ。ちなみに同時受賞は池井戸潤の『果つる底なき』…

『楽園とは探偵の不在なり』斜線堂有紀 二人殺せば地獄行きの世界で連続殺人は可能か?

斜線堂有紀、初のハードカバー作品? 2020年刊行作品。作者の斜線堂有紀(しゃせんどうゆうき)は1993年生まれ。『キネマ探偵カレイドミステリー』で電撃小説大賞の「メディアワークス文庫賞」を受賞し、2017年に作家デビューを果たしている。 当初はメディ…

『オクシタニア』佐藤賢一 異端者と異端審問官になった夫婦の物語

13世紀の南フランスを舞台とした歴史小説 2003年刊行作品。長いよ長いよの書き下ろし2,400枚。フツウの長編小説六冊分である。積読すること四年。ようやく読めた。 サトケンお得意のフランスモノ。今回のテーマははアルビジョア十字軍。相変わらず渋すぎるテ…

『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』コニー・ウィリス 時間モノの傑作

ヒューゴー賞・ローカス賞ダブル受賞作 2004年刊行作品。作者のコニー・ウィリス(Connie Willis)は1945年生まれのアメリカ人エスエフ作家。 オリジナルの米国版は1998年に刊行されている。原題は『To Say Nothing of the Dog』。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞…

『その意図は見えなくて』藤つかさ 安楽椅子探偵には解決できないことがある

藤つかさのデビュー作 2022年刊行作品。作者の藤(ふじ)つかさは、1992年生まれのミステリ作家。2020年の「見えない意図」(単行本収録時に「その意図は見えなくて」に改題されている)が、第42回の小説推理新人賞を受賞し作家デビューを果たす。 本書『そ…

「グイン・サーガ」40年目の到達点!あの人はどうなった?

栗本薫「グインサーガ」のキャラクターがその後どうなったか、シリーズ40年分のネタバレまとめ。 五代ゆう、宵野ゆめによる続篇については全話感想を掲載。 リタイア組も、継続組の方も是非ご覧ください。

グインサーガ続篇148巻『トーラスの炎』(最新刊) イシュトヴァーンの闇堕ちが止まらない

続篇グイン・サーガ2年4カ月ぶりの新刊 2022年刊行作品。続篇グイン・サーガとしては、なんと2年4カ月ぶりの新刊である。もう出ないのでは?打ち切りなのでは?と思っていた読者も多いはず(ちょっと思っていたわたし、スミマセン)。 続篇グイン、もう一人の…

『朝日のようにさわやかに』恩田陸 14編を収録した第二短編集

14編を収録したバラエティに富んだ短編集 2007年刊行作品。『図書室の海』に続く恩田陸の第二短編集である。この当時、既に恩田陸の刊行ペースは相当に早く、ほぼ毎月なにかしら作品が出ている状態であった。この時期の多作ぶりはホントに凄かった。デビュー…

『銀河帝国の弘法も筆の誤り』田中啓文 「バカSF」をとことん楽しめる一作

SF

第33回星雲賞受賞作を含む短編集 2001年刊行作品。SFマガジン1997年8月号、2000年2月号、、SFマガジン1999年9月臨時増刊号に掲載された作品に加え、表題作を含む書き下ろし二作を加えたSF短編集である。表題作である「銀河帝国の弘法も筆の誤り」は第33回星雲…

『煙か土か食い物』舞城王太郎 第19回メフィスト賞受賞作

舞城王太郎衝撃のデビュー作 2001年刊行作品。第19回のメフィスト賞受賞作品である。舞城王太郎(まいじょうおうたろう)最初の作品である。舞城王太郎は1973年生まれで、福井県出身。しかし、それ以外の経歴は一切公表されていない覆面作家である。 本作は…

『#真相をお話します』結城真一郎 想像を超えた「真相」に震撼せよ!

日本推理作家協会賞、受賞作を収録 2022年刊行作品。作者の結城真一郎(ゆうきしんいちろう)は1991年生まれのミステリ作家。2018年に『スターダスト・ナイト』(刊行時のタイトルは『名もなき星の哀歌』)が第5回新潮ミステリー大賞を受賞し作家としてのデビ…

『魔導物語'98』『真・魔導物語外伝』『真・魔導物語』織田健司 懐かしの『魔導物語』ノベライズ三作をまとめて紹介

本日は1998年~2001年にかけて刊行されていた、ゲーム『魔導物語』に関する、一連のノベライズ作品ご紹介した。古いネタでごめんよ。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(最大★5つ) ゲーム『魔導物語』をプレイしたことがある方。ほんわか…

『殺人喜劇の13人』芦辺拓 第1回の鮎川賞受賞作

芦辺拓のデビュー作 1990年刊行作品。作者の芦辺拓(あしべたく)は1958年生まれ。本作がデビュー作となる。東京創元社による公募新人賞、鮎川哲也賞の第一回目の受賞作品である。ちなみに、この時の佳作入選が二階堂黎人の『吸血の家』であった。 芦辺拓に…