ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

大人の夏休み?『夏の朝の成層圏』池澤夏樹

池澤夏樹、最初の長編作品 1984年刊行作品。翻訳家、詩人として既に活動していた池澤夏樹が、初めて送り出した長編小説が本作である。 中公文庫版は1990年に刊行されている。 夏の朝の成層圏 (中公文庫) 作者: 池澤夏樹 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日:…

戯言シリーズ完結『ネコソギラジカル 下 青色サヴァンと戯言遣い』西尾維新

戯言シリーズの最終巻(いちおう) 2005年刊行。戯言シリーズ最終三部作の第三弾。遂にこれでシリーズ完結。今回の表紙はウェディングドレス姿の玖渚友である。 講談社文庫版は2009年に登場している。 ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い (講談社…

『バラバの方を』退廃感漂う飛鳥部勝則らしい一作

アンモラル感漂う「らしい」作品 2002年刊行。飛鳥部勝則7作目の長編作品。トクマ・ノベルズより。残念ながら文庫化はされていない。 いつもながら退廃感漂いまくりの飛鳥部勝則作品である。人間失格寸前のエキセントリックな登場人物たち。性的モラルが完全…

中公新書『マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女』がメチャメチャ面白い

「マグダラのマリア」の受容史 2005年刊行。筆者の岡田温司(おかだあつし)は1954年生まれの西洋美術史の研究家。現在は京都大学大学院教授。 これは面白い!本書は名前だけは知っていても、あまり日本人には縁が薄い「マグダラのマリア」さんについての考…

奏でる喜び、合わせる喜び、佐藤多佳子『第二音楽室』音源付き!

School and Musicシリーズ一作目 2010年刊行作品。2005年から2009年にかけて、「別冊文芸春秋」「飛ぶ教室」に掲載されていた作品を単行本化したもの。学校音楽をテーマとしたSchool and Musicシリーズの一冊目である。 第二音楽室 作者: 佐藤多佳子 出版社/…

養毛剤から始まる人類滅亡『BH85』森青花

日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞作品 1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。作者の森青花(もりせいか)は1958年生まれ。 表紙イラストは吾妻ひでお。インパクト強いなあこの表紙は。新井素子の懐かしの名作『絶句』(旧…

野村美月の初期作品『天使のベースボール』

『天使のベースボール』シリーズ概略 本日お届けするのは野村美月の初期作品である。野村美月といえば「文学少女」シリーズでブレイクしてからの活躍ばかりが目立つが、それ以前にもいくつか作品を残している。必ずしも名作!とは正直言い難い作品も多いのだ…

赤神諒『大友二階崩れ』義と愛どちらを選ぶべきか?

第9回日経小説大賞受賞作 2018年刊行作品。第9回の日経小説大賞の受賞作である。作者の赤神諒(神は旧字)は1972年生まれ。本名は、越智敏裕。上智大学法科大学院の現役教授で、弁護士。 赤神諒の恐ろしいところは、デビュー後の異常な量産ぶりである。本作…

戯言シリーズもあと二冊!『ネコソギラジカル 中 赤き征裁VS.橙なる種』西尾維新

戯言シリーズ最終章の二作目 2005年刊行作品。戯言シリーズ最終三部作の第二弾である。 表紙は誰だよこいつと一瞬思ったけど、想影真心さんらしい。ビジュアル的には女だけど、話し方は男。この作品であまり性別を気にしても仕方が無いのかも知れないけど、…

浦賀和宏『彼女は存在しない』どの「彼女」が存在しないのか?

初の非講談社系作品 2001年刊行作品。作者の浦賀和宏は1978年生まれ。1998年の『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞してデビューしている。メフィスト賞デビューの同期生としては、乾くるみ『Jの神話』、積木鏡介『歪んだ創世記』がある。 本作は浦賀和…

面倒でも土地の登記はしっかりと!『人口減少時代の土地問題』吉原祥子

全国の土地の2割は所有者がわからない 2017年刊行の中公新書。筆者の吉原祥子は1971年生まれ。民間のシンクタンク東京財団の研究員。 帯の惹句にもあるとおり、「持ち主がわからない土地が九州の面積(国土の2割)を越えている」。日本では2011年以降、少子…

悪霊シリーズ新旧読み比べ(2)『悪霊がホントにいっぱい!』と『ゴーストハント2』

更新遅れてスミマセン 第二弾は五月中に!とかなんとか言いつつ、結局六月になってしまった。ゴメンナサイ。小野不由美の悪霊シリーズを、旧作、新作両方読んだ上でレビューするシリーズの二回目。今回はシリーズ第二作『悪霊がホントにいっぱい!』(ゴース…

グイン・サーガ外伝26巻『黄金の盾』円城寺忍デビュー作

栗本薫亡きあとのグインサーガ外伝四作目 栗本薫亡き後の「グインサーガ」は、まず外伝作品からリスタートした。久美沙織による『星降る草原』、牧野修による『リアード武俠傳奇・伝』、宵野ゆめによる『宿命の宝冠』と続いて、本日ご紹介するの円城寺忍によ…

1960年代のノワール小説『ポップ1280』ジム・トンプスン

2001年版「このミス」海外部門第1位 1964年に書かれた作品。原題は『Pop. 1280』である。 ジム・トンプスンは1906年生まれのアメリカ人作家。スティーブ・マックイーン主演の映画『ゲッタウェイ』の原作・脚本担当として有名かな。 ゲッタウェイ 日本語吹替音…

『50歳からの孤独入門』満たされない承認欲求にどう向き合う?

アラフィフになったら読んでみよう 2018年刊行作品。筆者の齋藤孝は明治大学文学部の教授で、作家、教育学者。著作としては『声に出して読みたい日本語』が有名かな。 昔は四十にして惑わずなどと言ったものだったが、現代では四十代はまだまだ働き盛り。平…

終盤戦突入!『ネコソギラジカル 上 十三階段』西尾維新

戯言シリーズ最終章スタート 2005年刊行。戯言シリーズ最終三部作の第一弾である。 表紙は哀川さんらしいのだが、イラストレータの竹の画風はこのあたりから変わり始めていて、初見時は一瞬誰だか判らなかった。本編中のキャラクター挿絵もシャープな部分が…

馥郁たる闇の香り『アラビアの夜の種族』古川日出男

古川日出男の出世作 2001年刊行作品。ゲームボーイソフト『ウィザードリィ外伝2・古代皇帝の呪い』のノベライズ版として刊行された『砂の王』(ログアウト冒険文庫/未完)を下敷きに、全く別の物語として再構築し直したのが本作である。 砂の王〈1〉 (ログア…

凝った構成の本格ミステリ『安達ヶ原の鬼密室』歌野晶午

週刊文春&本格ミステリ・ベスト10でそれぞれ20位 2000年刊行作品。この年の「週刊文春ミステリーベスト10」及び、「本格ミステリ・ベスト10」でそれぞれ第20位に入っている。 講談社文庫版は2003年に登場している。 安達ヶ原の鬼密室 (講談社文庫) 作者: 歌…

乾いた喪失感『MISSING』本多孝好のデビュー作

五編を収録した初作品集 1999年刊行作品。作者の本多孝好は1971年生まれ。 冒頭に出てくる「眠りの海」が1994年の第16回小説推理新人賞受賞作で一番最初の作品である。残りの四編についても全て「小説推理」に掲載されたもの。1999年になってようやく単行本…

演奏会のお知らせ(6/2川口リリア音楽ホール)

いきなりですがコンサートのお知らせです! こんばんは。ぬぬにです。唐突ですが、参加している音楽団体の告知をさせてください(こういう時だけデスマス調)。 わたしは、高校時代から合唱をやっているのですが、ここ十五年程はこちらの団体にお世話になっ…

ジャンヌダルクの忌日に読みたい『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』牧野修

先日、グインサーガ外伝として、牧野修による『リアード武俠傳奇・伝』をご紹介した。しかしながら牧野修オリジナルの作品を、まだ当Blogでは紹介していなかった。よって、本日はこちらの作品をお届けしたい。 乙女で軍曹?異形のジャンヌダルクの物語 2003…

無茶なサッカーバトルが笑える『聖女チェレステ団の悪童』ステファノ・ベンニ

イタリアのベストセラー作品 1995年刊行作品。原題「Compagnia dei Celestini」でオリジナルのイタリア版は1992年刊行。作者のステファノ・ベンニ(Stefano Benni)はイタリア人作家で1947年生まれ。邦訳されている作品は少ないながらも、本国では相応の実績…

西尾維新『ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹』戯言シリーズ五作目 

リヴァーシブルカバーに注目! 戯言シリーズも本作で五作目。2003年刊行作品。 デフォルト状態が拘束衣というインパクト十分の新キャラ匂宮兄妹が登場。いつものことながら、この作家はキャラを立てるのがメチャクチャ巧い。 リバーシブルな表紙カバーがネタ…

いにしえのPC98ユーザ感涙『青猫の街』涼元悠一

1998年刊行作品。作者の涼元 悠一は1969年生まれ。1992年の集英社コバルト文庫『あいつはダンディ・ライオン』がデビュー作。本作で第十回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞を受賞している。ちなみに大賞は山之口洋の『オルガニスト』である。 その後はゲ…

2003年このミス海外部門第1位『飛蝗の農場』 ジェレミー・ドロンフィールド

ジェレミー・ドロンフィールドのデビュー作 オリジナルの英国版は1998年刊行。日本での刊行は2002年となっている。「このミステリーがすごい!」2003年版海外部門で一位を獲得している作品である。 作者のジェレミー・ドロンフィールドは1965年生まれのイギ…

『帝都東京・隠された地下網の秘密』全二作が胡散臭いけど面白い

本日ご紹介するのはこちらの二冊。ややもするとトンデモ系に分類されてしまいそうな作品だが、素材としては面白い。普段は見ることが出来ない地下の世界だけに、妄想は深まるのである。 帝都東京の地下には秘密がある! 2002年刊行作品。筆者は1956年生まれ…

グイン・サーガ外伝25巻『宿命の宝冠』宵野ゆめデビュー作

栗本薫亡きあとのグインサーガ外伝第三作 先々週の久美沙織による『星降る草原』、そして先週の牧野修による『リアード武俠傳奇・伝』に続いて、本日は宵野ゆめによるグインサーガ外伝『宿命の宝冠』をご紹介しよう。 2013年刊行作品である。 本作は栗本薫の…

『さみしさの周波数』乙一、最後のスニーカー文庫作品

「白い方」の乙一作品集 2003年作品。乙一としては10作目の作品である。せつない系の短編群が集められた初期白乙一を代表する作品の一つと言える。 4編目の『失はれた物語』のみ書き下ろしで、それ以外は「ザ・スニーカー」に2001年から2002年にかけて掲載さ…

積木鏡介『歪んだ創世記』第6回メフィスト賞受賞作

乾くるみ、浦賀和宏との同時受賞作 1998年刊行作品。この作品も既に二十年も前の作品となってしまった。メフィスト賞の歴史も、既にけっこうな歳月になってきているよね。 積木鏡介は1955年生まれ。第六回メフィスト賞受賞となった本作が最初の作品となって…

西尾維新『サイコロジカル 兎吊木垓輔の戯言殺し/曳かれ者の小唄』戯言シリーズ四作目 

シリーズ四作目は上下巻の大長編 2002年刊行作品。『クビキリサイクル』『クビシメロマンチスト』『クビツリハイスクール』と来て今回は『サイコロジカル』ようやくタイトルが「クビ」から離れたね。 サブタイトル、上巻は「兎吊木垓輔(うつりぎがいすけ)…