ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

桜庭一樹 初の一般向け作品『少女には向かない職業』

ブレイク目前の桜庭一樹、初のミステリ作品 2005年刊行。2003年のファミ通文庫『赤×ピンク』、2004年の富士見ミステリー文庫『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と、ライトノベルの世界でただものではない凄みを見せつけた桜庭一樹が、一般向けのミステリ作品…

野村啓介『ナポレオン四代』二人の皇帝、二人の息子

四人のナポレオンの生涯をたどる 2019年刊行。筆者は1965年生まれ。東北大学大学院国際文化研究科の准教授。 副題に「二人のフランス皇帝と悲運の後継者たち」とあり、更に帯の惹句には「栄光と没落 偉大な父とその影を追った息子」とある。ナポレオン一世や…

西尾維新『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』

今週のお題「平成を振り返る」に本日も便乗。平成屈指の売り上げを誇ったコミック作品と言えば『DEATH NOTE』である。夜神月VSエルの壮絶な頭脳戦に痺れた読者は多いのではないだろうか。 当ブログでは毎週火曜日に西尾維新作品の感想レビューをお届けしてい…

三津田信三『スラッシャー 廃園の殺人』ホラーなのかミステリなのか?

三津田信三のサ行シリーズ 2007年刊行。わたし的には本作がファースト三津田信三作品だった。 三津田信三は2001年にデビュー。作家本人と同姓同名の三津田信三が登場するシリーズと、作家刀城言耶が活躍するシリーズ、そして探偵の弦矢俊一郎が活躍する死相…

秋山瑞人全作品紹介!全6作14冊+2編

秋山瑞人作品全作品6作(15冊)の紹介と解説。『EGコンバット』『鉄コミュニケイション』『猫の地球儀』『イリヤの空 UFOの夏』『ミナミノミナミノ』『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 』詳細感想へのリンク付き。文庫未収録の二作品についても紹介。

乙一のミステリーランド作品『銃とチョコレート』

乙一ひさしぶりの新作(当時) 2006年刊行。2003年に登場した『ZOO』以降、乙一はしばらく新刊が出ない時期があって、本作は三年ぶりの作品だった。 で、久しぶりの新刊は講談社のミステリーランドからの登場である。このシリーズは異常なまでに装丁に手間暇…

グイン・サーガ続篇142巻『翔けゆく風』当面は五代ゆうが単独執筆

宵野ゆめ病気療養のため降板 2018年刊行。あれ、偶数巻なのに五代ゆう?と思われた方は鋭い。 2017年の4月に五代ゆうによる141巻『風雲のヤガ』が出てから、この年はまったく続巻が出ず、どうしたのかと思っていたところ、本巻のあとがきにより宵野ゆめの病…

トマス・H・クック『石のささやき』家庭内で起きた悲劇

現代を舞台としたクック作品 2007年刊行。クックお得意の回想型ミステリ。原題は『The Murmur of Stones』。 クック作品と言えば、20世紀前半~中盤くらいを舞台とした話が多かった印象である。本作では珍しく物語の舞台が現代なので、これまで読んできた作…

『太陽の塔』森見登美彦は最初からすごかった

森見登美彦のデビュー作 第15回の日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作品。2003年刊行。今は説明の必要もないほどの人気作家、森見登美彦のデビュー作が本作だ。当時の森見登美彦は現役の京大生。在学中にこれほどの快作を書きあげていたとは恐るべなのであ…

西尾維新『真庭語(まにわがたり)』初代真庭忍群の物語

『刀語』シリーズの外伝的な作品 2008年刊行。その前年に一年間毎月一冊刊行され、計十二巻で完結した『刀語』シリーズのスピンアウト作品である。タイトル名『真庭語』は「まにわがたり」と読む。「まにわご」ではないので注意したいしたい。 作中では全編…

『悪霊なんかこわくない』小野不由美、最初期の作品をご紹介

X文庫時代の小野不由美作品のレビューを書いてみる 先日、帰省した際に実家の本棚を片づけていたところ、初期の小野不由美作品を多数発見した。これは手元に置いておくべきだろうと、自宅に持ち返って来た。1980年代後半から、1990年代に刊行された作品群で…

木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』はピカレスク歴史小説の良作

木下昌輝のデビュー作 作者の木下昌輝は1974年生まれ。『宇喜多の捨て嫁』がオール讀物新人賞を受賞してデビュー。本作は2014年刊行で、第152回直木賞候補作(西加奈子『サラバ!』が受賞した)。その他に、歴史時代作家クラブ賞、舟橋聖一文学賞、高校生直…

川口俊和『コーヒーの冷めないうちに』演劇作品から生まれたベストセラー

オリジナルは演劇作品だった 2015年刊行。もともとは戯曲として書き下ろされていた作品を、小説として書き直したもの。2017年の本屋大賞では第10位にランクインしている。 コーヒーが冷めないうちに1110プロヂュース主宰の川口俊和が2010年に当時、演劇ワー…

グイン・サーガ続篇141巻『風雲のヤガ』ブランの受難は続く

2017年の続篇グインはこれ一冊のみ 続篇グインも11冊目。2017年の4月に刊行された本作だが、実はこの年のグインサーガは一冊しか刊行されなかった。このあたりの事情は、142巻で説明されるので次週までお待ちを。 あらすじ 囚われの身となっている、フロリー…

遠藤由実子『うつせみ屋奇譚』魅惑のライト民俗学ミステリ

妖怪、判じ絵、そして忘れられた神々の物語 2019年刊行。遠藤由実子のデビュー作。大変失礼なことに、Twitterで感想を書いた時ははお名前の漢字を間違えていた。遠藤由実子さんなのであります。申し訳ありませんでした。 あらすじ 父親の仕事の都合で転校す…

菅浩江『歌の降る惑星』『うたかたの楽園』「センチメンタル・センシティブ」シリーズ

菅浩江版ダーティペア?「センチメンタル・センシティブ」シリーズ 本日は平成初期のライトノベル作品をお届けしよう。 菅浩江の「センチメンタル・センシティブ」シリーズは1990年~1991年にかけて、角川スニーカー文庫から刊行された作品群である。『歌の…

これで完結!西尾維新『刀語 第十二話 炎刀・銃』

講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"遂に完結 2007年刊行。毎月刊行。全十二巻シリーズの大河小説も遂に最終巻だ。 なにはともあれ企画倒れにせずに、毎月一冊刊行という過酷なスケジュールをこなした作者とイラストの人に拍手を。なんだかんだ言って全部揃…

サラ・ウォーターズ『荊の城』は読み始めたら止まらない徹夜必至本

『半身』に続く二年連続「このミス」海外部門第一位の作品 2004年刊行。オリジナルの英国版は2002年刊行。「このミス2005」海外部門第一位の作品である。 サラ・ウォーターズは「このミス2004」では『半身』で一位を取っているのでなんと二年連続一位の大偉業…

書評Blogを200エントリくらい書いてみるとどうなるか

ご覧いただいている皆さまありがとうございます。ぬぬにです(珍しく名乗る)。 昨日のエントリで200冊目の本紹介が出来たので、振り返り記事を残しておこうと思います。前回100エントリ目の時の振り返り記事はこちら。 普段の文章は「である」調なのに、振…

今村昌弘『屍人荘の殺人』ミステリランキング三冠の問題作!

昨年9月から毎日更新を始めたが、本日で200日目、紹介冊数でも200冊目となる。いつもご覧いただいている皆さまありがとうございます。200エントリ目の振り返り記事は、近いうちに上げる予定です。 2017年を代表するミステリ作品 2017年刊行。今村昌弘のデビ…

グイン・サーガ続篇140巻『ヤーンの虜』今回もグインだけが働き過ぎ

ケイロニア国土を縦横無尽に疾駆する豹頭王 2016年刊行。続篇グイン・サーガとしては遂に本巻で十冊目。宵野ゆめ版のグインとしてはこれが五作目にあたる。138巻に続いて、陰謀渦巻くケイロニア情勢を描く。 あらすじ アンテーヌ選帝侯アウルス・フェロンの…

秋山瑞人の文庫未収録作品「おれはミサイル」「海原の用心棒」

ライトノベルの軛から解き放たれた秋山瑞人作品 先日の『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 02』で秋山瑞人の全6作14冊の作品レビューを終えた。しかし、秋山瑞人には文庫に収録されていない作品が二つある。本日この二作についてご紹介したい。 秋山瑞人はこれまで、ラ…

消費者金融の手口と実態を知る、須田慎一郎『下流喰い』

消費者金融の実態に迫る一冊 2006年刊行。当時なにかと話題であった消費者金融の実態に迫った一冊である。この時期は大手消費者金融の不祥事軒並み明るみに出ていて、メチャクチャ叩かれていた頃である。実にタイムリーなタイミングでの刊行であった。 筆者…

次回で完結!西尾維新『刀語 第十一話 毒刀・鍍』

講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"も残り一冊に! 2007年刊行。十二ヶ月連続刊行の十一作目。長らく続いてきたこのシリーズもいよいよ次がラストである。 あらすじ 奇策士とがめと虚刀流の遣い手鑢七花は新・真庭の里を目指していた。それは毒刀・鍍を手に…

『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』ふろむださんの初書籍

社会人のたしなみとして知っておきたい「ハロー効果」 2018年刊行。人気ブログ「分裂勘違い君劇場」のふろむださんの初書籍。 美男美女に生まれるだけで人生の難易度は下がる。有名大学を卒業しているだけで「デキル男」だと思われてしまう。思考の錯覚は、…

歌野晶午『さらわれたい女』脱新本格の流れの中で

角川⇒講談社⇒角川と版元が変わった作品 まず最初に、1992年にカドカワノベルズ版(←懐かしいレーベル!)が刊行されている。 さらわれたい女 (カドカワノベルズ) 作者: 歌野晶午 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1992/01 メディア: 新書 この商品を含むブ…

佐伯有清『高丘親王入唐記』~『航海記』と共に読みたい一冊

数少ない高丘親王研究本 2002年刊行。筆者の佐伯有清(ありきよ)は1925年生まれの歴史学者。北海道大学、成城大学の教授を歴任。2005年に他界されている。 『高丘親王入唐記』の入唐は(にっとう)と読む。「入⇒にふ」の促音化なのか?、当時の中国語の音を…

五代版と宵野版が交差する、グイン・サーガ続篇139巻『豹頭王の来訪』

五代ゆうサイドにもグインが登場 2016年刊行。続篇グイン・サーガとしては九冊目。五代グインとしては本作が五作目にあたる。 あらすじ ミロクの聖地ヤガ。その最深部に潜入したブランは、高僧ソラ・ウィンに出会う。そして<新しきミロク>の信徒たちが切望…

佐藤賢一『赤目のジャック』~フランス中世最大の農民反乱の顛末

単行本から文庫になる際にタイトルが変わっている 1998年刊行。『ジャガーになった男』『傭兵ピエール』に続く佐藤賢一の三作目。 1997年~1998年にかけて雑誌「鳩よ!」に連載されていた作品が『赤目 ジャックリーの乱』というタイトルでマガジンハウスから…

職人が教える日本伝統建築の魅力、原田多加司『屋根の日本史』

屋根職人のエキスパートが教えてくれる 2004年刊行。中公新書。筆者は1951年生まれ。地方銀行勤務から実家の檜皮葺師への道に入り十代目原田真光を襲名している。国宝、重文級の建築物の修復を数多く手がけてきた屋根職人のエキスパートである。 内容はこん…