ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
『刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機』
女真族の襲来と軍事貴族たちの台頭

『ほねがらみ』芦花公園 カクヨム発で書籍化されたホラー小説

芦花公園の第一作 2021年刊行作品。作者の芦花公園(ろかこうえん)は生年不明の覆面作家。『ほねがらみ』がデビュー作となる。 ほねがらみ 作者:芦花公園 幻冬舎 Amazon 幻冬舎文庫版は2022年に刊行されている。一年で文庫化って早くない? もともとは小説…

『廃遊園地の殺人』斜線堂有紀 廃園に追い込まれたテーマパークで再び起きる惨劇

廃墟を舞台とした殺人事件 2021年刊行作品。作者の斜線堂有紀(しゃせんどうゆうき)は2017年のメディアワークス文庫『キネマ探偵カレイドミステリー』がデビュー作。以後、コンスタントに作品を上梓してきたが、2020年の『楽園とは探偵の不在なり』が、この…

『なんて素敵にジャパネスク7<逆襲編>』氷室冴子 瑠璃姫最大のピンチからの逆転劇

新年あけましておめでとうございます(←遅い)。今年もよろしくお願いいたします。 恒例の年間ベストは、2024年に読んだ本の紹介がひととおり終わってからページを作成する予定なので、もうしばらくお待ちを。 瑠璃姫VS帥の宮、ついに佳境に 1991年刊行作品…

『アイアムハウス』由野寿和 高級住宅地で起きた殺人事件と家族の絆

今回も著者の由野寿和(ゆうやとしお)さまより、ご著書をご恵投いただきました。感想を書くのが遅くなってしまい申し訳ないです。 由野寿和の第二作が登場 2024年刊行作品。幻冬舎メディアコンサルティングから発売されている。作者の由野寿和は2022年の『…

『法廷占拠 爆弾2』呉勝浩 スズキタゴサクを裁く法廷が何者かに占拠されたら!?

『爆弾』の続篇が登場 2024年刊行作品。呉勝浩(ごかつひろ)の14作目。 2023年版の「このミステリーがすごい」、「ミステリが読みたい」でいずれも1位を獲得した『爆弾』の続篇である。 ミステリ系ランキングの結果はこんな感じ。『爆弾』に比べるとランキ…

『裏世界ピクニック8 共犯者の終り』宮澤伊織 空魚と鳥子の関係性に決定的な変化が

「裏世界ピクニック」シリーズの八作目! 宮澤伊織(みやざわいおり)による「裏世界ピクニック」シリーズの第八弾である。2021年の12月に発売された第七巻からは少し刊行間隔が空いて、こちらは2023年の1月発売。 また、表紙及び本文中のイラストはshirakab…

『同志少女よ、敵を撃て!』逢坂冬馬 セラフィマの銃口はわたしたちをも狙っている

本屋大賞!アガサ・クリスティー賞大賞&直木賞候補作、衝撃のデビュー作 2021年刊行作品。作者の逢坂冬馬(あいさかとうま)は1985年生まれ。本作『同士少女よ、敵を撃て!』で、第11回のアガサ・クリスティー賞の大賞を受賞して作家デビューを果たしている…

『なんて素敵にジャパネスク6<後宮編>』氷室冴子 逆襲の瑠璃姫、後宮に潜入!

瑠璃姫が後宮へ乗り込んだ! 1990年刊行作品。ナンバリング的には「6」だけれとも、シリーズ的には八冊目。何度も書いているけど、読む順番的には1→2→アンコール→続アンコール→3→4→5→6の順で読んでいただきたい。 この巻では、カラー口絵に加えて「後宮編人…

『残月記』小田雅久仁 月はそれぞれの人間の心の闇に昇ってくる

日本SF大賞受賞作 2021年刊行作品。双葉社の小説誌「小説推理」に2016年~2019年にかけて、散発的に掲載されていた三編の作品をまとめたもの。 作者の小田雅久仁(おだまさくに)は1974年生まれの小説家。2003年に『影舞(未刊)』が、第15回日本ファンタジ…

『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』南海遊 道連れの魔女と密室殺人の謎

今週のお題「読んでよかった・書いてよかった2024」に参戦! 館×密室×タイムループ 2024年刊行作品。作者の南海遊(みなみあそゔ)は1986年生まれの小説家。小説投稿サイトである「小説家になろう」出身。「小説家になろう」に投稿されていた、『傭兵と小説…

『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ 本当の意味で自分と向き合うということ

フランスで110万部売れたベストセラー作品 2022年刊行作品。加藤かおり訳。オリジナルのフランス版は2020年に発売されていて原題は『L’Anomalie』。作者のエルヴェ・ル・テリエ(Hervé Le Tellier)は、1957年生まれのフランス人作家。ジャーナリスト、数学者…

『負けヒロインが多すぎる!2』雨森たきび マケイン第二巻は焼塩檸檬編!

『負けヒロインが多すぎる!』シリーズの二冊目 2021年11月刊行作品。雨森(あまもり)たきびによる『負けヒロインが多すぎる!』シリーズの第二作。第一巻の刊行が2021年の7月なので僅か四カ月での新作だ。わたし的にライトノベルを常時読まなくなって久し…

『彼女は死んでも治らない』大澤めぐみ 個性的な文体が冴える「コージーミステリー」

大澤めぐみ作品が光文社から登場 2019年刊行作品。2016年に『おにぎりスタッバー』で商業デビューして以降、『ひとくいマンイーター』『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』『君は世界災厄の魔女、あるいはひとりぼっちの救世主』と、角川スニ…

『死んだ山田と教室』金子玲介 第65回メフィスト賞受賞作品

金子玲介のデビュー作 2024年刊行。第65回のメフィスト賞を受賞した作品。作者の金子玲介(かねこれいすけ)は1993年生まれの作家。本作にて作家としてのデビューを果たしている。 初出は講談社のWeb小説誌『メフィスト』2023年WINTER特別号。単行本の表紙を…

『星虫』岩本隆雄 第1回ファンタジーノベル大賞最終候補作 1990年代に書かれたジュブナイルエスエフの良作

岩本隆雄のデビュー作 1990年刊行作品。かれこれ35年近く前の作品になってしまった。岩本隆雄(いわもとたかお)のデビュー作だ。元々は新潮社主催の第1回ファンタジーノベル大賞の最終候補作だった。残念ながら選には漏れたものの、新設された(二年で消え…

『カント・アンジェリコ 』高野史緒 カストラートの歌声と、絶対王政時代のハッキングバトル

高野史緒の第二作 1996年刊行作品。第6回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『ムジカ・マキーナ』に続く、高野史緒(たかのふみお)の第二作。 カント・アンジェリコ 作者:高野 史緒 講談社 Amazon 単行本版の刊行から二十年近く、長期にわたっ…

『なんて素敵にジャパネスク5<陰謀編>』氷室冴子 瑠璃姫VS帥の宮、第一ラウンドの結果は?

遂に帥の宮と直接対決 1990年刊行作品。ナンバリング的には「5」だけれとも、シリーズ的には七冊目。お約束の注意事項。読む順番的には1→2→アンコール→続アンコール→3→4→5と進んでいただきたい。 この巻からカラー口絵付きに!これは当時のコバルト文庫とし…

『コンビニなしでは生きられない』秋保水菓 第56回メフィスト賞受賞作品

秋保水菓のデビュー作 2018年刊行作品。筆者の秋保水菓(あきうすいか)は1994年生まれのミステリ作家。本作『コンビニなしでは生きられない』で、第56回のメフィスト賞を受賞し、作家としてデビューしている。 講談社ノベルス版の表紙イラストはukiが担当。…

『禁忌の子』山口未桜 現役の医師が書いた医療ミステリ×本格ミステリ

山口未桜のデビュー作 2024年刊行作品。作者の山口未桜(やまぐちみお)は1987年生まれの現役医師。本作『禁忌の子(きんきのこ)』で第34回の鮎川哲也賞を受賞し、作家デビューを果たしている。 医師で作家といえば、最近で有名なのは知念実希人(ちねんみ…

『まだ終わらないで、文化祭』藤つかさ 自分らしさって本当に必要なの?

藤つかさの第二作 2023年刊行作品。作者の藤(ふじ)つかさは1992年生まれのミステリ作家。デビュー作である『その意図は見えなくて』に続く、第二作が本作『まだ終わらないで、文化祭』である。表紙絵は前作に引き続き、イラストレータの中野カヲルが担当し…

『ハムレット狂詩曲(ラプソディー)』服部まゆみ 演劇の世界を舞台としたミステリ

服部まゆみの六作目 服部まゆみは1948年生まれ。第7回の横溝正史賞を『時のアラベスク』で1987年に受賞。以来、著作数は少ないながらも常に水準以上の良作を送り出してきた作家。『この闇と光』が1998年の第120回直木賞の候補にもなり、各方面でも高評価を受…

『負けヒロインが多すぎる!』雨森たきび すべての恋愛の敗者たちに捧げる

雨森たきびのデビュー作 2021年刊行作品。作者の雨森(あまもり)たきびは、2020年の第15回小学館ライトノベル大賞にて、『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』でガガガ賞を受賞。同作を『負けヒロインが多…

『ユージニア』恩田陸 複数の視点から組み上げられていく事件のかたち

日本推理作家協会賞、受賞作品 2005年刊行作品。「KADOKAWAミステリ」2002年8月号~2003年5月号、及び「本の旅人」2003年7月号~2004年9月号にかけて連載されていた作品を加筆修正の上で単行本化したもの。掲載誌が途中で変わってしまったのは「KADOKAWAミス…

『なんて素敵にジャパネスク4<不倫編>』氷室冴子 煌姫がついに本領を発揮してきた!

瑠璃姫VS煌姫 1989年刊行作品。この年の1月に昭和が終わっており、本作からは平成時代の刊行作品となる。ナンバリング的には「4」となっているものの、シリーズ的には六冊目。毎回書いているような気がするけど、読む順番的には1→2→アンコール→続アンコール→…

『ひとりぼっちのソユーズ』七瀬夏扉 今日から、あなたは私のスプートニクになるの

SFジュブナイルの佳品が完全版で帰って来た 2017年刊行作品。もともとは小説投稿サイト「カクヨム」に掲載されていた作品を、改稿のうえで文庫化したもの。KADOKAWA系列のライトノベルレーベル、富士見L文庫からの発売だった。表紙および扉絵のイラストはア…

『少女小説家は死なない!』氷室冴子 少女小説冬の時代と少女小説の再定義

少女小説作家って怖ろしい? 1983年の11月に刊行された作品。氷室冴子の作品としては13冊目。ちなみに『シンデレラ迷宮』と『シンデレラミステリー』の間に刊行された作品である。 表紙及び、本文中のイラストは『ざ・ちぇんじ! 』に引き続き、峯村良子が担…

『どうせ、この夏は終わる』野宮有 人類最後の夏をあなたならどう過ごす?

野宮有の10作目! 2023年刊行作品。作者の野宮有(のみやゆう)は、第25回の電撃小説大賞で『シルバー・ブレット -SILVER BULLET-』が選考委員奨励賞を受賞。改題されて電撃文庫から2019年に発売された『マッド・バレット・アンダーグラウンド』がデビュー作と…

『すみれ屋敷の罪人』降田天 「回想の殺人」を描いた良作ミステリ

降田天の三作目 2018年刊行作品。降田天(ふるたてん)は、萩野 瑛(はぎのえい)と鮎川颯(あゆかわそう)の両名で構成される合作作家のペンネームである。 このコンビ作家の活動歴は長い。鮎川はぎ名義で刊行された「横柄巫女と宰相陛下」シリーズで2007年…

『ここはすべての夜明けまえ』間宮改衣 わたしのかぞくのはなし

間宮改衣のデビュー作 2024年刊行作品。作者の間宮改衣(まみやかい)は大分県出身で、1992年生まれ。第11回ハヤカワSFコンテストに、本作『ここはすべての夜明けまえ』にてエントリし、特別賞を受賞。作家としてのデビューを果たしている。 表紙イラストは…

『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』青柳碧人 昔話世界ならではの特殊設定ミステリが面白い!

昔話×ミステリの第四作 2022年刊行作品。双葉社のミステリ小説誌「小説推理」で、2021年~2022年にかけて掲載されていた四作に、書下ろし一作を加えて単行本化したもの。 表紙イラストは今回も、五月女(そおとめ)ケイ子が担当している。五月女ケイ子の「濃…