ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

『アイランド』葉月堅 第八回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作

葉月堅のデビュー作にして唯一の作品 1996年刊行作品。第八回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。ちなみにこの年の大賞受賞作は該当なし。始まったばかりの頃のファンタジーノベル大賞は、どういうわけか奇数回に実力作が集まる傾向があった。その…

『ミミズクとオリーブ』芦原すなお 香川県の料理が超美味そう!

「ミミズクとオリーブ」シリーズの一作目 作者の芦原すなおは1949年生まれ。もはや大ベテランの域に達している作家である。直木賞を取り映画化もされた『青春デンデケデケデケ』が特に知名度が高いだろうか。 本作は1996年刊行。その後1998年の『嫁洗い池』…

『ドゥームズデイ・ブック』コニー・ウィリスの名作タイムトラベルSF

ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞、三冠に輝いた名作 オリジナルのイギリス版は1992年刊行。原題は『Doomsday Book』。 日本では1995年に単行本版が登場。 ドゥームズデイ・ブック (夢の文学館) 作者:コニー ウィリス 出版社/メーカー: 早川書房 発売日…

『西の善き魔女外伝3 真昼の星迷走』荻原規子 シリーズ最終巻!

「西の善き魔女」シリーズ最後の作品 2003年刊行作品。時間軸的には本編5巻の後のお話。つまり一番最後に読むべきなのがこの巻ということになる。 西の善き魔女外伝〈3〉真昼の星迷走 (C・NOVELSファンタジア) 作者:荻原 規子 出版社/メーカー: 中央公論新社…

『ブラバン』津原泰水 ビターな味わい吹奏楽部小説の名作

津原泰水の吹奏楽部小説『ブラバン』のあらすじとネタバレ感想。楽曲音源リンクあり。 20年ぶりにかつての吹奏楽部を復活させようとする主人公が直面する、懐かしい面々とビターな現実。 高校時代を40歳の現代を行きつ戻りつしながら、描かれる青春の残響が…

『竜と祭礼—魔法杖職人の見地から—』筑紫一明 第11回GA文庫大賞、奨励賞受賞作

筑紫一明のデビュー作 2020年刊行作品。第11回GA文庫大賞の奨励賞受賞作。作者の筑紫一明(つくしいちめい)は1998年生まれで、本作がデビュー作となる。 ちなみに、GA(じーえー)文庫大賞はSBクリエイティブが主催する公募新人賞。歴代の著名作品としては…

『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信 「小市民」シリーズの二作目

米澤穂信の「小市民」シリーズ第二弾 2006年刊行作品。東京創元社の文芸誌『ミステリーズ!』に掲載された「シャルロットだけはぼくのもの」「シェイク・ハーフ」に書き下ろしとなる短編四作を加えて上梓されたもの。 『春期限定いちごタルト事件』に続くシリ…

『蒲生邸事件』宮部みゆき 普通の人間がまっとうに生きていくことで生まれる感動

SFにしてミステリ、宮部みゆきの20年過ぎても色褪せない名作 1996年作品。『蒲生邸事件』は「がもうていじけん」と読む。「サンデー毎日」に連載されていたもの。第18回(1997年)の日本SF大賞受賞作品。単行本版は毎日新聞社から。 蒲生邸事件 作者:宮部 み…

『聖遺の天使』三雲岳斗 探偵の名はレオナルド・ダ・ヴィンチ

三雲岳斗、初の一般レーベル作品 2003年刊行作品。双葉社のミステリ雑誌「小説推理」誌の2002年7月号から2003年4月号にかけて連載されていた作品を加筆修正の上で単行本したもの。 三雲岳斗(みくもがくと)って、電撃文庫や、角川スニーカー文庫みたいな、…

『関ヶ原連判状』安部龍太郎 直木賞作家の出世作

安部龍太郎のブレイク作品 1996年刊行作品。作者の安部龍太郎(あべ りゅうたろう)は1955年生まれ。1987年にデビューして、ほぼ一貫して歴史小説の書き手として活躍している。2012年には織豊政権下で活躍した絵師、長谷川等伯の生涯を描いた『等伯』で直木…

『西の善き魔女外伝2 銀の鳥プラチナの鳥』荻原規子 アデイルメインの外伝エピソード

「西の善き魔女」シリーズの外伝二巻目 2000年刊行。「西の善き魔女」シリーズは本編五冊+外伝三冊で成り立っていて、本作は外伝の二作目である。 西の善き魔女 外伝2 銀の鳥 プラチナの鳥 (C★NOVELSファンタジア) 作者:荻原規子 出版社/メーカー: 中央公…

『アシャワンの乙女たち』牧野修 まさかの『超人バロム・1』パロディ

牧野修による最後のソノラマ作品 2004年刊行作品。牧野修はソノラマ文庫から作品を三冊刊行している。一冊目が、1995年の『プリンセス奪還―トウキョウ・バトル・フリークス』。二冊目が、2003年の『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』。そして最後の…

『悪魔の布 縞模様の歴史』ミシェル・パストゥロー ストライプをめぐる文化論

縞模様好き必読の一冊 1993年刊行。オリジナルのフランス版の原題は『L' étoffe du diable』で1991年刊行。筆者のミシェル・パストゥローは1947年生まれのフランス人研究者。紋章学を主要な研究ジャンルとしているが、幅広い分野で活躍をしている人物である。…

『春期限定いちごタルト事件』米澤穂信 「小市民」シリーズの一作目

米澤穂信「小市民」シリーズの一作目。あらすじ、各編ごとのネタバレ感想を収録。小鳩くんと小佐内さんが食べたスイーツのリスト。マンガ版の解説もあります。

『ふわふわの泉』野尻抱介 某超有名SF作品へのオマージュ

タイトルはふわふわしているけど内容はハードSF 2001年刊行作品。最初の文庫版はライトノベルレーベルのファミ通文庫から登場。 2002年星雲賞の日本長編部門を受賞。ハヤカワのベストSF2001国内部門の6位にランクインしている。 その後、入手困難な時期が続…

『子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育』2020年度・小学校でプログラミング教育が必修化

プログラミング教育がどうして必要なのかがわかる 2018年刊行。筆者の石嶋洋平は1981年生まれ。Web系のプロデュース、コンサル、マーケティング業での多くの実績を残し、現在は子ども向けのプログラミング学習塾の経営を手掛けている。 監修者として入ってい…

『ネクロポリス』恩田陸 聖地アナザーヒルでは死者と再会できる

恩田陸最長クラスの大長編 2005年刊行作品。「小説トリッパー」の2001年冬季号から2005年春季号にかけて連載されていた作品を大幅に加筆修正の上で単行本化したもの。上下巻構成で総ページ数785ページは恩田作品中でも最長クラスの大ボリュームである。 恩田…

『西の善き魔女外伝1 金の糸紡げば』荻原規子 いちばん初めの物語

「西の善き魔女」シリーズの外伝作品 2000年刊行。『西の善き魔女』シリーズ一冊目の外伝作品である。 本編は第五巻である「闇の左手」でいちおうの完結を見ているのだが、「西の善き魔女」シリーズその後、三作の外伝が書かれている。 西の善き魔女 外伝1 …

『名探偵木更津悠也』摩耶雄嵩 メルカトル鮎じゃない方

木更津悠也が登場する短編集 2004年刊行作品。光文社のミステリ専門誌「ジャーロ」等に掲載されていた作品をまとめたもの。麻耶雄嵩(まやゆたか)作品における名探偵木更津悠也の活躍を描く。 作者の麻耶雄嵩は1969年生まれ。1991年の『翼ある闇 メルカトル…

『いまさら翼といわれても』米澤穂信 古典部シリーズの六作目

六年ぶりの古典部シリーズ 2016年刊行作品。KADOKAWAの文芸誌、『野性時代』『文芸カドカワ』に掲載されていた短編作品をまとめたもの。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』に続く、古典部シリー…

『氷室冴子とその時代』嵯峨景子 多彩な活動に光を当てたファン必読の一冊

圧倒的な熱量を感じる氷室冴子評論本 2019年刊行。筆者の嵯峨景子は1979年生まれのフリーライターで、専門は社会学、文化研究。2016年の『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』に続く第二作である。 内容はこんな感じ 『クララ白書』『なんて素敵にジャパネス…

『しょぼい起業で生きていく』えらいてんちょう リスクを取らない起業スタイル

えらいてんちょうの一作目 2018年刊行。筆者の「えらいてんちょう」こと矢内東紀(やうちはるき)は1990年生まれ。慶大卒の高学歴者だが、朝起きるのが苦手なばかりに就職活動を諦め、計画も経験もないままなし崩し的に起業。初の実店舗であるリサイクルショ…

『戒(かい)』小山歩 第14回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作

小山歩のデビュー作にして唯一の作品 2002年刊行作品。第14回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作である。 作者の小山歩(おやまあゆみ)は宮城県気仙沼市出身で、東北学院大学文学部史学科で、専攻は民俗学。しかしながらこの作家、結局これ一冊きりで…

『われはフランソワ』山之口洋 詩人フランソワ・ヴィヨンの一代記

山之口洋の第三作 2001年刊行作品。『オルガニスト』で第10回日本ファンタジーノベル大賞の大賞を受賞した山之口洋(やまのぐちよう)の三作目。 単行本のみで文庫化はされていない。 あらすじ 15世紀初頭。フランス。ジャンヌ・ダルクが焼かれた年に生まれた…

『西の善き魔女5 闇の左手』荻原規子 ひとまず本編は完結

「西の善き魔女」シリーズの五作目 1999年に中央公論社版C★NOVELSファンタジア版が登場。これが一番最初の版。 シリーズ第五巻。ノベルズ版ではこれが本編の最終巻である。当時はこの第五巻に続いて外伝が三冊刊行された。 西の善き魔女5 闇の左手 (C★NOVEL…

『わが名はレッド』シェイマス・スミス 復讐譚を暗黒小説で

2002年「このミス」海外部門第二位 2002年刊行作品。2002年の「このミス」海外部門で第三位に入っている作品。原題は『Red Dock』。作者のシェイマス・スミスはベルファスト生まれのアイルランド人。 プロフィールがかなりユニークなので引用しておこう。 ア…

『僕僕先生』仁木英之 ニートな僕と美少女仙人の物語

第18回日本ファンタジーノベル大賞、大賞受賞作 2006年刊行作品。第18回日本ファンタジーノベル大賞、大賞受賞作品。何故かソフトカバーなんですけどどうして?ちなみに僕僕先生のオリジナルというか元ネタは中国の昔話集「広異記」にあるらしい。 なお、こ…

『フレームアウト』生垣真太郎 第27回メフィスト賞受賞作品

生垣真太郎の第一作 2003年刊行。第27回のメフィスト賞受賞作品。生垣真太郎(いけがきしんたろう)のデビュー作である。メフィスト賞にしては、少し毛色の変わった(もともと変な話ばっかりだけど)お話。アメリカを舞台とし、外国人を主人公に据えた作品で…

『悪魔の涙』ジェフリー・ディーヴァーの非リンカーン・ライム作品

リンカーン・ライムもちょこっとだけ出てきた 2000年刊行作品。オリジナルの米国版は1999年刊行で原題は『The Devil's Teardrop』。ジェフリー・ディーヴァー作品としては、1998年の『コフィン・ダンサー』と、2000年の『エンプティー・チェア』の間に書かれた…

『時限絶命マンション』矢野龍王 マンション内バトルロワイアルの結末は?

矢野龍王の第二作 2005年刊行作品。『極限推理コロシアム』で第30回メフィスト賞を受賞した矢野龍王(やのりゅうおう)の二作目。 前作の『極限推理コロシアム』は文庫化されたが、本作は文庫化されなかった。ちなみに第三作の『箱の中の天国と地獄』はノベ…