ネコショカ

Blog名変えました。ネコショカは「猫の書架」
雑食系の書評Blogです。なんでも読みます
基本ネタバレありなので注意してね。

佐々木丸美「館」シリーズ3部作を読む(1)『崖の館』いまは亡き王女のために

前回から少し間が空いてしまったけど、佐々木丸美作品の全作レビュー第二期、「館」シリーズ編をスタートしてみよう。まずはシリーズ一作目の『崖の館』の登場である。 佐々木丸美「館」シリーズの一作目 1977年作品。デビュー作の『雪の断章』の次に書かれ…

ヤガ編が再スタート、グイン・サーガ続篇133巻『魔聖の迷宮』

時間的に書けるかどうか微妙だったけど、既に作品は全て読んでいるのでなんとかなりそう。よって、当面毎週金曜日はグイン・サーガの続篇を紹介していくことにした。かなり、読んでいただける方を限定してしまいそうだけど許してね。 五代ゆう版グインの二冊…

終わらない夏の日の物語『イリヤの空 UFOの夏 その2』

シリーズ二作目は文化祭巻! 2001年刊行作品。前作『イリヤの空 UFOの夏 その1』から僅か1ヶ月で早くも続巻が出ていた。当時はこんなに短い間隔で秋山瑞人の新刊が読めていたのである(遠い目)。 でもまあ、元は雑誌連載作品だから順当に出て当然か。…

カストラートの歌声と、絶対王政時代のハッキングバトル『カント・アンジェリコ 』

高野史緒の第二作 1996年刊行作品。第6回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『ムジカ・マキーナ』に続く、高野史緒の第二作。 単行本版の刊行から二十年近く、長期にわたって入手困難な状態が続いていたが、文庫版が2013年に登場している。 カ…

まさかの姉ちゃん回!西尾維新『刀語 第四話 薄刀・針』

講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第四巻 2007年刊行。十二ヶ月連続。月イチ刊行の四冊目である。 因縁の相手、錆白兵との対決回か!と思わせて実はお姉ちゃん回でしたという、いかにも西尾維新らしい人を食った展開にブチ切れた読者は多いのではないだ…

地方都市のうつろいゆく春夏秋冬 米澤穂信『遠まわりする雛』

古典部の春夏秋冬を描いたシリーズ初の短編集 2007年刊行。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』に続く、古典部シリーズの四作目。 2002年から2007年にかけて、雑誌「ザ・スニーカー」「野生時代」に掲載された作品を集めた短編集。最後に収…

弁護士が教えるコミュニケーション術『「沈黙」の会話力』

「沈黙」することで人を動かす 2018年刊行。筆者の谷原誠(たにはらまこと)は1968年生まれの現役の弁護士。著書多数。 とかく交渉術といえば、明朗快活、立て板に水でしゃべり倒す人間が有利であるように思われがちだが、実際には必ずしもそうではない。寡…

宵野ゆめによるグイン・サーガ続篇132巻『サイロンの挽歌』

宵野ゆめパートのケイロニア編がスタート 2013年刊行。『グイン・サーガ・ワールド』5巻~8巻に掲載されていた作品を文庫化したものである。 グイン・サーガ「正篇の続篇」は、五代ゆうと宵野ゆめ、二人の書き手を立てる異例の体制を取っていた。前巻の『パ…

犯人は読者!究極のトリックを描く、深水黎一郎『ウルチモ・トルッコ』

表紙を見ると犯人の顔が映る装丁! 2007年刊行。第36回のメフィスト賞受賞作品。タイトルの「ウルチモ・トルッコ」はイタリア語で究極のトリックを意味する。 既にサブタイトルにいきなり物凄いネタバレが書いてある。「犯人はあなただ!」と。カバーを見る…

ライトノベルのオールタイムベスト、秋山瑞人『イリヤの空 UFOの夏 その1』

秋山瑞人の四作目にして最高傑作 2001年刊行。『E.G.コンバット』『鉄コミュニケイション』『猫の地球儀』に続く第4作。オリジナル作品としてはこれが第2作となる。ゼロ年代を代表するライトノベル作品であり、オールタイムベストをやっても上位に食い込んで…

破局噴火がもたらす大惨事を描いた災害小説『死都日本』

いきなりハードカバーで登場したメフィスト賞受賞作 2002年刊行。第26回メフィスト賞受賞作。 通常のメフィスト賞作品はノベルスで出るのが常だけれど、講談社的に自信作だったのか、そこそこレベルの高い作品の場合、いきなりハードカバーで勝負を賭けてく…

無刀対千本刀の戦い、西尾維新『刀語 第三話 千刀・ツルギ』

講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第三巻 2007年刊行。12ヶ月連続刊行の大河小説の三作目。 今回のお相手は出雲国は、三途神社の神職、鶴賀迷彩さん(女子)である。 七花さん、相手が女子でも遠慮は無しかよ。そして得物は千刀・ツルギ(金編に殺)。千…

ホラーと思わせておいて、しっかり本格ミステリ、小野不由美『くらのかみ』

講談社ミステリーランドの第一期作品 2003年刊行。かつて子どもだったあなたと少年少女のための"講談社ミステリーランド"と銘打たれた特別企画の豪華本である。2016年で全30巻をもって完結している。 第一回の配本は本書『くらのかみ』に加えて、『透明人間…

蘇我氏も平家も滅亡していなかった!『女系図でみる驚きの日本史』

蘇我氏も平家も滅亡していなかった! 2017年刊行。筆者は1961年生まれ。歴史系の著作多数。以前に読んだ『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』が面白かったので、今回も手に取って見た次第。 大切なのは「胤より腹」。家は絶えても血は残る。歴史…

文化祭小説の楽しさと直面するそろぞれの限界『クドリャフカの順番』

古典部シリーズ第三作目 2005年刊行。『氷菓』そして『愚者のエンドロール』に続く米澤穂信の古典部シリーズ第三作。三年振りのシリーズ再開だが、評価が上がったのか文庫ではなくソフトカバー版での刊行である。 前作の『愚者のエンドロール』はアントニイ…

二つの魂の再生の日々を描く、紅玉いづき『ミミズクと夜の王』

電撃タイトルとしては異例づくめのデビュー作 2007年刊行。第13回電撃小説大賞大賞受賞作。 「このラノ2008」で第七位。これは新人でしかも単発作品の中では最高位だった。 童話のような幻想的なカバーイラストが素敵。電撃文庫から出ているのに、全くラノベ…

栗本薫亡きあとのグイン・サーガの続篇131巻『パロの暗黒』

書くべきか辞めるべきか悩んだのだけど、せっかくBlogを再開したので、グインの感想も残しておくことにした。1巻から書くのはあまりにも大変なので、とりあえず続篇部分から書いてみるよ。 未完に終わった『グイン・サーガ』 グイン・サーガは栗本薫によるヒ…

ライトノベル×ホラーの越境アンソロジー『悪夢制御装置』

スニーカー・ミステリ倶楽部のアンソロジーシリーズ第五弾 2002年刊行。短命に終わったスニーカー・ミステリ倶楽部だが、ライトノベルユーザに向けのミステリ啓蒙本として、一般作家によるアンソロジー(短編集)を数冊刊行していた。 ラインナップは以下の通…

居合VS無刀の戦い、西尾維新『刀語 第二話 斬刀・鈍』

毎週火曜日は大長編ライトノベルの感想を書く日なので(なんとなく決まった)。先週の第一話に引き続き、西尾維新の『刀語(かたながたり)』シリーズをご紹介したい。 狂気の12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第二巻 2007年刊行。12ヶ月連続刊行の大河小説。第…

往年の「孤島モノ」作品への言及が楽しい、古野まほろ『天帝の愛でたまう孤島』

シリーズ三作目は孤島モノ 2007年刊行。シリーズ三作目。 デビュー作の『天帝のはしたなき果実』が2007年の1月刊行。第二作の『天帝のつかわせる御矢』が2007年の6月刊行。そして本作が2007年の10月刊行なのだけど、全作500頁を超える大ボリュームなのに、こ…

40代に入ったら読んでおきたい『年代別 医学的に正しい生き方』

今週のお題「冬の体調管理」にかこつけて、本日はこちらの書籍を紹介。各年代ごとに備えるべき、心身の健康についての心構えを知ることが出来る一冊。 人生80歳超時代の処方箋 2018年刊行。筆者は1960年生まれ。灘校→東大医学部卒。精神科医、受験アドバイザ…

非日常の希求と哲学的な意味、米澤穂信『さよなら妖精』そして『花冠の日』

米澤穂信の出世作 米澤穂信の三作目。2004年刊行。東京創元社のミステリ・フロンティア枠で刊行された作品。2001年の『氷菓』、そして2002年の『愚者のエンドロール』から二年の沈黙を経て久々に出た新刊が本作である。2005年版の「このミス」では国内20位に…

平穏なままに年齢を重ねていくことへの怖れ、トマス・H・クック『死の記憶』

過去から蘇る「死の記憶」 1999年刊行。オリジナルの米国版は1993年に刊行されている。ちなみに、原題はまさにそのまんまな『Mortal Momory』である。 書影の帯を見て頂くとわかると思うが、『緋色の記憶』のトマス・H・クックとある。つまり日本国内では『緋…

魅力的な世界観を持つファンタジー作品、城戸光子『青猫屋』

第八回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作品 1996年刊行。第八回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。ちなみにこの年は大賞は該当無し。優秀賞の同時受賞作品が葉月賢の『アイランド』である。 作者の城戸光子は1952年生まれ。受賞時は現役の舞台…

「バッテリー」シリーズのその後を描いた『ラスト・イニング』

「バッテリー」シリーズ待望の外伝作品 「バッテリー」シリーズは、正編6冊の感想を書いたものの、長らく本書の存在を知らずにいたので、遅まきながら入手して読んでみたよ。 本作は2007年刊行。新田東対横手の再試合と、その後を描いた「マウンドへと」「白…

西尾維新『刀語 第一話 絶刀・鉋』全巻レビューを始めるよ

今週からは西尾維新の『刀語(かたながたり)』シリーズをご紹介したい。 西尾維新が手がける12ヶ月連続刊行「大河ノベル」の第一巻である。 2007年刊行。2006年に創刊された講談社BOXからのリリース作品である。タイトルに「がたり」と付くが、「物語」シリ…

辻村深月『冷たい校舎の時は止まる 下』感動的な力業で綺麗に物語が収束してた!

二週にわたって続けてきた、『冷たい校舎の時は止まる』感想の続き。 連続刊行の最終巻 第31回のメフィスト賞受賞作品。上・中・下の3分冊で2004年の6月~8月にかけて、毎月連続刊行されていた。 上巻ではややもたついていた感があったけど、中巻で登場人物の…

普遍性があり、高い再現性を持つ『仕事の基礎力』を身に付けたい

コンサルタントが書いたビジネス本 2016年刊行。筆者の、田中耕比古(たがひこ)は商社系SE→アクセンチュア→独立というキャリアを持つ。 大手某社の受託業務を請け負っていた際に、業務の進捗と品質を管理するために、コンサルタント会社が間に入ったことが…

米澤穂信の古典部シリーズ第二作『愚者のエンドロール』

古典部シリーズ第二作 2002年刊行。『氷菓』に続く米澤穂信の古典部シリーズ第二作である。 こちらも当初はスニーカー文庫のミステリ倶楽部枠で刊行され、現在は通常の角川文庫版に切り替わっている。表紙のデザインがまるで違うね。 愚者のエンドロール (角…

怪談仕立てのミステリ、輪渡颯介『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』

メフィスト賞初の時代小説 2008年刊行。第38回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞としては初の時代小説である。 2010年に文庫版が刊行されている。 掘割で笑う女<浪人左門あやかし指南> (講談社文庫) 作者: 輪渡颯介 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/01…