ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

SF

『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』コニー・ウィリス 時間モノの傑作

ヒューゴー賞・ローカス賞ダブル受賞作 2004年刊行作品。オリジナルの米国版は1998年に刊行されている。原題は『To Say Nothing of the Dog』。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。日本では「このミステリがすごい!2005」海外部門第九位、「SFが読みたい2005」海…

『三体』劉慈欣 全世界2100万部の超ベストセラーSF

「三体」シリーズ三部作の一作目 2019年刊行作品。オリジナルの中国版は2006年に中国のSF雑誌『科幻世界』に連載されていたもので、2008年に書籍化されている。作者の劉慈欣(りゅうじきん/リウツーシン)は1963年生まれの中国人SF作家。本作で、2015年のヒ…

『航路』コニー・ウィリス 臨死体験と死後の世界

驚愕の超絶展開が楽しめる一作 2002年刊行作品。作者のコニー・ウィリスは1945年生まれのアメリカ人SF作家である。 原著『PASSAGE』は2001年に米国で刊行されている。米国ローカス賞のSF長編部門を受賞。日本国内でも、ベストSF2002海外篇の第1位。このミス20…

『M.G.H. 楽園の鏡像』三雲岳斗 SF×ミステリの良作品

第1回日本SF新人賞受賞作品 2000年刊行作品。作者の三雲岳斗(みくもがくと)は1970年生まれ。 1998年の『コールド・ゲヘナ』が第5回電撃ゲーム小説大賞に選ばれ作家デビュー。翌年の1999年には『アース・リバース』が第5回スニーカー大賞特別賞に。そして本…

『マッカンドルー航宙記』チャールズ・シェフィールド 心痺れるハードSFの世界

SF

ハードSFの優れた書き手だったチャールズ・シェフィールド 1991年刊行作品。オリジナルの米国版は1983年刊行。1978~1983年にかけて発表された作品群をまとめた連作短編集である。原題は『The McAndrew Chronicles』。 作者のチャールズ・シェフィールドは出身…

『あたしのマブイ見ませんでしたか』池上永一、初の短編集

池上永一の三作目 1999年刊行作品。「Seven Seas」「週刊小説」に95年~99年にかけて発表された作品群をまとめたものである。長編作品が印象に残りがちな池上永一だが、本書はそんな彼の初の短編集だ。『バガージマヌパナス』『風車祭(カジマヤー)』に続く…

『疾走!千マイル急行』小川一水 列車砲、装甲列車が登場する冒険活劇

超豪華特急を舞台とした架空世界モノ 2005年刊行作品。夢の超豪華特急を舞台とした架空世界モノ。この手の架空世界の設定造りがこの作家はホントに大好き。 本作は19世紀のイギリス的な世界観をベースに、故国を失った少年少女たちが、国の命運をかけて大国…

『図書室の海』恩田陸デビュー10年目の短編集

いろいろ申し訳なくてなかなかエントリを書けなかったが、このブログも二年目に入ったので、そろそろ恩田陸作品についても触れていこうかと考えている。 なにせここ10年程、彼女の新作を読んでいないので、まずは旧作の振り返りから始めさせて頂きたい。まず…

『アロマパラノイド 偏執の芳香』牧野修 めくるめくる電波の世界

「ベストSF1999」国内部門6位 1999年刊行作品。単行本はアスキーから発売されており、当時のタイトルは『偏執の芳香 アロマパラノイド』 であった。「ベストSF1999」の国内部門で第6位にランクインしている。 偏執の芳香―アロマパラノイド 作者: 牧野修 出版…

『仮想の騎士』斉藤直子 ファンタジーノベル大賞優秀賞作品

斉藤直子のデビュー作 2000年刊行作品。第十二回の日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。この年は大賞は該当作なし。優秀賞もこれ一作とことのほか寂しい年なのであった。 青空を基調とした表紙イラストが美麗で思わず手に取ってみたくなる出来の良…

『DOOMSDAY 審判の夜』津村巧 第22回メフィスト賞受賞作

津村巧のデビュー作 2001年刊行作品。第22回のメフィスト賞受賞作である。著者HPによると、応募時タイトルは『SURVIVOR―生存者―』。残念ながらノベルス版のみで、文庫版は刊行されていない。 作者の津村巧は1970年生まれ。本作以前に、光文社主催の公募アン…

『傀儡后』牧野修 醜悪さも突き詰めると美に変る

日本SF大賞受賞作品 2002年刊行。同年の第23回日本SF大賞を受賞。そして、ベストSF2002では国内部門8位にランクインしている作品である。 ハヤカワ文庫版は2005年に登場している。 傀儡后 (ハヤカワJA) 作者: 牧野修 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2005…

『榛家の伝説』佐々木丸美、最後の作品

「孤児」シリーズ、「館」シリーズと続いてきた、佐々木丸美作品の全作レビューだが、本日は「館」シリーズのスピンアウト的な作品である「伝説」シリーズから、『榛(はしばみ)家の伝説』をお届けしたい。 前作である『橡家の伝説』の内容にも言及している…

『この橋をわたって』新井素子、作家生活40年目にして初の短編集

新井素子の初?の短編集 2019年刊行作品。2014年から2018年にかけて、新聞、雑誌、ウェブ媒体等に掲載されていた作品をまとめたもの。 新井素子にしては珍しい、特定のシリーズ、テーマに囚われない短編集。あれ、短編集って新井素子的には初めて? って、思…

『橡家の伝説』佐々木丸美「館」シリーズのセカンドシーズン

本日ご紹介するのは 佐々木丸美の「館」シリーズの外伝的な作品、『橡家の伝説』である。「館」シリーズについてもネタバレしているので、未読の方はお気をつけ頂きたい。 「伝説」シリーズの一作目 1982年刊行作品。『橡(つるばみ)家の伝説』は佐々木丸美…

『八月の博物館』瀬名秀明「ベストSF2000」で国内部門第五位

今週のお題「夏休み」ネタに便乗。本日は、少年の日の夏休みの思い出を描いた、瀬名秀明作品をご紹介したい。 瀬名秀明、三作目の作品 2000年刊行作品。『パラサイト・イブ』『ブレインヴァレー』の次に瀬名秀明が世に問うた第三作。「ベストSF2000」で国内部…

『恥知らずのパープルヘイズ』上遠野浩平によるジョジョ第5部ノベライズ

『恥知らずのパープルヘイズ』は『ジョジョの奇妙な冒険』第五部の外伝的な作品である。このブログは基本的にネタバレありで感想を書いているが、本エントリでは、更に加えてジョジョ第五部の内容についてもネタバレしているので、未読の方はお気を付けを。 …

川口俊和『思い出が消えないうちに』明日世界が終るとしても

不思議な喫茶店の物語第三弾 2018年刊行作品。『コーヒーの冷めないうちに』『この嘘がばれないうちに』に続く、シリーズの三作目である。 今回の帯によるとシリーズ100万部突破とのこと。スゲー!こういう直球で泣かしに来る作品はやっぱり当たると爆発力が…

菅浩江『永遠の森 博物館惑星』2000年のベストSF第一位作品!

菅浩江の代表作 2000年作品。1993年から1998年にかけて、早川書房「SFマガジン」に単発で掲載されていた作品群に書き下ろし(「この子はだあれ」)を加えて、単行本として刊行された作品である。 第54回日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門、更に…

梶尾真治『サラマンダー殲滅』夫と娘を殺された女の復讐劇

何度何度も再刊されてきた名作 1990年刊行作品。梶尾真治の代表作の一つである。1991年の第12回日本SF大賞受賞作。今は亡き朝日ソノラマの小説誌『獅子王』に連載されていた作品だ。 サラマンダー殱滅 作者: 梶尾真治 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ 発売日:…

河野裕『いなくなれ、群青』階段島シリーズ一作目を読んでみた

新潮文庫nexの第一期作品 2014年刊行作品。河野裕(こうのゆたか)による「階段島」シリーズの一作目である。ちなみに階段島の読みは「かいだんとう」であり、「かいだんじま」ではないので注意が必要である(ずっと「かいだんじま」だと思ってた)。 新潮社…

『時砂の王』小川一水、初の時間SF

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓しており、ブレイクモードに入…

『ラーゼフォン 時間調律師』神林ワールド全開のシェアワールド

アニメ『ラーゼフォン』のシェアワールドノベル 2002年刊行作品。 『ラーゼフォン』は2002年に放映されたアニメーション作品。『エヴァンゲリオン』後に登場した「エヴァンゲリオン」的な作品の中では比較的判りやすく、わたし的には大好きな作品である(『…

養毛剤から始まる人類滅亡『BH85』森青花

日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞作品 1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。作者の森青花(もりせいか)は1958年生まれ。 表紙イラストは吾妻ひでお。インパクト強いなあこの表紙は。新井素子の懐かしの名作『絶句』(旧…

ジャンヌダルクの忌日に読みたい『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』牧野修

先日、グインサーガ外伝として、牧野修による『リアード武俠傳奇・伝』をご紹介した。しかしながら牧野修オリジナルの作品を、まだ当Blogでは紹介していなかった。よって、本日はこちらの作品をお届けしたい。 乙女で軍曹?異形のジャンヌダルクの物語 2003…

『さみしさの周波数』乙一、最後のスニーカー文庫作品

「白い方」の乙一作品集 2003年作品。乙一としては10作目の作品である。せつない系の短編群が集められた初期白乙一を代表する作品の一つと言える。 4編目の『失はれた物語』のみ書き下ろしで、それ以外は「ザ・スニーカー」に2001年から2002年にかけて掲載さ…

小川一水『ハイウイング・ストロール』年上の女性との冒険行

ソノラマ文庫時代の小川一水作品 2004年刊行作品。 1996年に『まずは一報ポプラパレスより』でデビューした小川一水は、その後ゼロ年代の前半までは、朝日ソノラマのソノラマ文庫を主要な作品発表媒体としていた。本作はそのうちの一作である。 本作は空を飛…

川口俊和『この嘘がばれないうちに』数ちゃんの秘密が明らかに

『コーヒーの冷めないうちに』の続編が登場 2017年刊行。『コーヒーの冷めないうちに』シリーズの二作目。一作目は演劇作品を小説化したものであったが、続編の本作は最初から小説として書かれたのかなのかな? 本ブログは原則としてネタバレありでお届けし…

秋山瑞人全作品紹介!全6作14冊+2編

おススメ秋山作品の紹介。『イリヤの空 UFOの夏』『EGコンバット』『鉄コミュニケイション』『猫の地球儀』『ミナミノミナミノ』『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 』詳細感想へのリンク付き。文庫未収録の二作品についても紹介。

川口俊和『コーヒーの冷めないうちに』演劇作品から生まれたベストセラー

オリジナルは演劇作品だった 2015年刊行。もともとは戯曲として書き下ろされていた作品を、小説として書き直したもの。2017年の本屋大賞では第10位にランクインしている。 コーヒーが冷めないうちに1110プロヂュース主宰の川口俊和が2010年に当時、演劇ワー…