ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

世界史

岩波新書『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』大木毅 人類史上最悪の戦場

独ソ戦の全体像がわかる一冊 独ソ戦2019年刊行。筆者の大木毅は1961年生まれ。第二次世界大戦、特にドイツ軍に関する著作が多い。 内容はこんな感じ 1941年。ドイツとソビエト連邦は交戦状態に突入。東部戦線の戦端が開かれる。ヒトラーとスターリン。二人の…

『ベルリンは晴れているか』深緑野分、弱者が弱者を虐げる世界で

2019年の本屋大賞第3位 2018年刊行作品。直木候補作、2019年の本屋大賞第3位にランクインした作品である。 作者の深緑野分(ふかみどりのわき)は1983年生まれ。東京創元社の公募新人賞「ミステリーズ!新人賞」に応募した『オーブランの少女』が佳作入選し…

『死の泉』皆川博子が描く狂気と幻想の世界

第二次大戦下のドイツを舞台とした作品 1997年刊行作品。第32回の吉川英治文学賞を受賞している。 皆川博子は1929年(もしくは1930年)生まれで、1970年のデビューから現在に至るまで、連綿と現役の作家として活動を続けている。80代に入っても一向に刊行ペ…

佐藤賢一『双頭の鷲』百年戦争の英雄デュ・ゲクランの生涯

佐藤賢一の四作目はお得意の百年戦争モノ 1999年刊行作品。『ジャガーになった男』『傭兵ピエール』『赤目のジャック』に続く、佐藤賢一の四作目である。 新潮文庫版は2001年に刊行されている。単行本は単巻で刊行されていたが、文庫化に際して上下巻に分冊…

中公新書『マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女』がメチャメチャ面白い

「マグダラのマリア」の受容史 2005年刊行。筆者の岡田温司(おかだあつし)は1954年生まれの西洋美術史の研究家。現在は京都大学大学院教授。 これは面白い!本書は名前だけは知っていても、あまり日本人には縁が薄い「マグダラのマリア」さんについての考…

イヌから読み解く異色の現代史『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男

二人称で描かれる異色の現代史 2005年刊行作品。古川日出男としては10作目。あまりお目にかかることが無い、二人称形態で書かれた小説作品である。 戦時下に置き去りにされた四頭のイヌのその後を描く章と、現代のロシアの物語が交互に描かれていく。イヌに…

うらぶれたオッサンが頑張る話に昂る『王妃の離婚』

佐藤賢一の直木賞受賞作 1999年刊行作品。佐藤賢一の五作目。第121回の直木賞受賞作である。ちなみに同時受賞タイトルは、桐野夏生の『柔らかな頬』であった。 1994年に書かれた佐藤賢一のデビュー作、『ジャガーになった男』は戦国時代にスペインに渡った一…

『ナポレオン四代』野村啓介 二人の皇帝、二人の息子

四人のナポレオンの生涯をたどる 2019年刊行。筆者は1965年生まれ。東北大学大学院国際文化研究科の准教授。 副題に「二人のフランス皇帝と悲運の後継者たち」とあり、更に帯の惹句には「栄光と没落 偉大な父とその影を追った息子」とある。ナポレオン一世や…

佐藤賢一『赤目のジャック』~フランス中世最大の農民反乱の顛末

単行本から文庫になる際にタイトルが変わっている 1998年刊行。『ジャガーになった男』『傭兵ピエール』に続く佐藤賢一の三作目。 1997年~1998年にかけて雑誌「鳩よ!」に連載されていた作品が『赤目 ジャックリーの乱』というタイトルでマガジンハウスから…

ナショナリズム=フットボール、木村元彦『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』

『誇り』に続く「旧ユーゴサッカー三部作」の第二弾 2000年刊行。木村元彦(ゆきひこ)の二作目の作品となる。 以前にエントリを書いた『誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡』の続篇的な作品である。後日刊行された『オシムの言葉』と併せて「旧ユーゴサッ…

巨匠たちのマネタイズ大作戦!『ルネサンスの世渡り術』

「クーリエ・ジャポン」の連載記事が単行本に 2018年刊行。刊行は芸術新聞社から。 本書は、Webマガジン「クーリエ・ジャポン」に連載されていた、「リナシタッ ルネサンス芸術屋の仕事術」(記事閲覧は有料)を加筆修正の上で単行本化したもの。 筆者の壺屋…

1人のサッカー選手から見たユーゴスラヴィア内戦、木村元彦「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」

旧ユーゴスラヴィア本3冊目 誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫) 作者: 木村元彦 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2000/09/20 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 79回 この商品を含むブログ (47件) を見る 2000年刊行。1998年に出た単行本…

柴宜弘「ユーゴスラヴィア現代史」でユーゴ内戦を因縁から学ぶ

なんとなく、昨日に続いて旧ユーゴスラヴィアネタで攻めてみる。 旧ユーゴスラヴィア史を知るために ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書) 作者: 柴宜弘 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1996/05/20 メディア: 新書 購入: 8人 クリック: 82回 この商品を含…

広告代理店によって操作される世界世論、高木徹「ドキュメント戦争広告代理店」

NHKスペシャルをベースとしたノンフィクション作品 ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫) 作者: 高木徹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2005/06/15 メディア: 文庫 購入: 28人 クリック: 241回 この商品を含むブログ (167件)…

佐藤賢一「カルチェ・ラタン」は16世紀のパリを舞台とした連作短編小説

16世紀のパリを舞台とした成長物語 カルチェ・ラタン (集英社文庫) 作者: 佐藤賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2003/08/20 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 8回 この商品を含むブログ (16件) を見る 2000年作品。佐藤賢一、七作目の作品。お得意の…

サラ・ウォーターズの「半身」はヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台とした傑作ミステリ

2003年の翻訳ミステリ界を制した傑作だよ 半身 (創元推理文庫) 作者: サラウォーターズ,Sarah Waters,中村有希 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2003/05/24 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 38回 この商品を含むブログ (130件) を見る 2003年刊行。…

大澤武男「ユダヤ人とローマ帝国」歴史の因果の深さを知る

2001年刊行。筆者の大澤武男は1942年生まれの歴史家。 ユダヤ人とローマ帝国 (講談社現代新書) 作者: 大澤武男 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2001/10/19 メディア: 新書 クリック: 2回 この商品を含むブログ (7件) を見る 内容はこんな感じ 第二次大戦中…

ベルンハルト・シュリンク「朗読者」誇り高きひとりの女の物語

映画「愛を読むひと」の原作小説、出来れば事前情報なしで読みたい 朗読者 (新潮文庫) 作者: ベルンハルトシュリンク,Bernhard Schlink,松永美穂 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/05/28 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 104回 この商品を含むブロ…