ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
『ヤンキーと地元』打越正行
暴走族研究のため20年パシリとして潜入!

恋愛小説

『僕が君の名前を呼ぶから』乙野四方字 並行世界で生きる「もうひとりの栞」の物語

『僕君』『君僕』のスピンオフ長編が登場! 2022年刊行作品。乙野四方字(おとのよもじ)の最新作。2016年刊行の『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』と世界観を同じくする、スピンオフ作品だ。 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひ…

『夏休みの空欄探し』似鳥鶏 謎解き×ロードノベル×忘れられない夏の思い出

似鳥鶏が描く、夏のロードノベル 2022年刊行作品。作者の似鳥鶏(にたどりけい)は1981年生まれのミステリ作家。デビュー以来、ほぼ毎年のように複数作品を発表している多作家として知られる。 本作『夏休みの空欄探し』はポプラ社の文芸PR誌「季刊asta」のV…

『海がきこえる』氷室冴子 1990年代の高知、東京を舞台とした青春小説

氷室冴子、最後期の作品 徳間書店のアニメーション情報誌『アニメージュ』の1990年2月号から、1992年1月号にかけて連載されていた作品を大幅改稿(後述)したうえで単行本化した作品。 単行本版は1993年に刊行されている。大長編シリーズであった『銀の海 金…

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』杉井光 繰り返される夏休み最後の日

杉井光が描く、忘れられない夏の物語 2022年刊行作品。書き下ろし。作者の杉井光(すぎいひかる)は1978年生まれの小説家。第12回の電撃小説大賞で銀賞を取った2006年の『火目の巫女(ひめのみこ)』がデビュー作。多作で知られる人物で、これまでに三十作近…

『レインツリーの国』有川浩 映画化もされたロングセラーの恋愛小説

有川浩、初の非メディアワークス作品 2006年刊行作品。有川浩(現在は「有川ひろ」)の六作目。自衛隊三部作(『塩の街』『空の中』『海の底』)、図書館戦争シリーズ(『図書館戦争』『図書館内乱』『図書館危機』『図書館革命』)と、デビュー以来、すべて…

もうひとつの『秒速5センチメートル』ノベライズ~one more side

加納新太版の『秒速5センチメートル』ノベライズ 新海誠監督『秒速5センチメートル』のノベライズ小説については、以前に感想を書いた。こちらは監督の新海誠自身が手掛けたノベライズ作品であったが、『秒速5センチメートル』については、もう一冊全く別…

『暗い旅』倉橋由美子 鎌倉、東京、そして京都へ、失われた愛を求めて

倉橋由美子の初長編作品 1961年刊行作品。最初の単行本は講談社の系列会社であった、いまは亡き東都書房から。続いて1969年に学芸書林版の単行本版が世に出ている。このあたりは、さすがに古すぎてAmazonでも書影が出ない。 最初の文庫版は新潮社から。こち…

『小説 秒速5センチメートル』新海誠版ノベライズに込められた「救済」

新海誠の『小説 秒速5センチメートル』のネタバレ感想、あらすじと考察。映画版に比べると救済感が強い構成になっている、小説版の内容を深読み。影響を受けたと思われる、『君の名は。』の結末についても触れています。

『毒吐姫と星の石 完全版』紅玉いづき 政略結婚からのボーイミーツガール

『ミミズクと夜の王』の五年後の世界を描く 2010年刊行作品。『ミミズクと夜の王』『MAMA』『雪蟷螂』『ガーデン・ロスト』に続く、紅玉(こうぎょく)いづきの第五作。『ミミズクと夜の王』の五年後を描いた、世界観を同じくする作品である。電撃文庫版表紙…

『アディ・ラルーの誰も知らない人生』V・E・シュワブ 誰の記憶にも残らなくなる呪いをかけられた女の物語

全米で100万部突破!映画化も決まった超人気作品 2022年刊行作品。オリジナルのアメリカ版は2020年刊行で原題は『The Invisible Life of Addie LaRue』。翻訳者は高里ひろ。 作者のV・E・シュワブ(V. E. Schwab)は1987年生まれのアメリカ人作家。2011年に『T…

『プールの底に眠る』白河三兎 第42回メフィスト賞受賞作品は静謐な青春ミステリの佳品

白河三兎のデビュー作 2009年刊行作品。第42回のメフィスト賞を受賞。白河三兎(しらかわみと)のデビュー作だ。まずは講談社ノベルスからの登場。 プールの底に眠る (講談社ノベルス) 作者:白河 三兎 講談社 Amazon 講談社文庫版は2013年に刊行されている。…

『ミミズクと夜の王 完全版』紅玉いづき 二つの魂の再生の日々、前日譚短編も追加収録!

電撃タイトルとしては異例づくめのデビュー作 2007年刊行作品。第13回電撃小説大賞大賞受賞作。作者の紅玉(こうぎょく)いづきは1984年生まれの小説家。本作がデビュー作となる。発売年の「このラノ2008」で第七位。これは新人でしかも単発作品の中では最高…

『毎年、記憶を失う彼女の救い方』望月拓海 第54回メフィスト賞受賞作は恋愛要素強めのミステリ作品

望月拓海のデビュー作 2017年刊行作品。第54回のメフィスト賞受賞作。 作者の望月拓海(もちづきたくみ)は生年不明。放送作家出身の小説作家。 本作『毎年、記憶を失う彼女の救い方』がデビュー作となる。メフィスト賞応募時のタイトルは『リピート・ラブ』…

『クロノス・ジョウンターの伝説』梶尾真治 7回書籍化された人気作品

四半世紀の間に7冊! もともとは1994年に朝日ソノラマより刊行されていた作品。朝日ソノラマの、今は亡き小説誌『グリフォン』に掲載されていた作品(「吹原和彦の軌跡」に相当)に、「布川輝良の軌跡」を追加したもの。 クロノス・ジョウンターの伝説 作者:…

『夢館』佐々木丸美「館」シリーズ3部作を読む(3)

昭和の名作を紹介するシリーズ、佐々木丸美編、七作目の登場である。 二時代前の作品をすることになってしまった。昭和時代に明治の作家の作品紹介をしていた人はこんな気分になったりしたのだろうか。 佐々木丸美「館」シリーズの完結編 1980年刊行。『崖の…

『ホテル』エリザベス・ボウエンの第一長編作品

ボウエン作品が日本語で読めるようになった 作者のエリザベス・ボウエン(Elizabeth Bowen)は1899年生まれ。アイルランド生まれの小説家。1973年没。 本作『ホテル』は2021年刊行作品。原題は『The Hotel』で1927年の刊行。100年近く前の作品ということにな…

『風花の里』佐々木丸美 「孤児」シリーズ4部作を読む(4)おまけ付

『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』と読み進めてきた、佐々木丸美の「孤児」シリーズ、最後の一冊である『風花の里』をご紹介しよう。 「孤児」シリーズ全てについてネタバレをしているので、未読の方はご注意頂きたい。 「孤児」シリーズの四作目 1981年…

佐々木丸美『花嫁人形』 「孤児」シリーズ4部作を読む(3)

佐々木丸美作「孤児」シリーズの三作目。『花嫁人形』の感想と考察。 1979年の講談社オリジナル版から、その後の復刊状況までをまとめています。 シリーズの他作品の感想もあり。

佐々木丸美『忘れな草』 「孤児」シリーズ4部作を読む(2)

佐々木丸美作「孤児」シリーズの二作目。『忘れな草』の感想と考察。 1978年の講談社オリジナル版から、その後の復刊状況までをまとめています。 シリーズの他作品の感想もあり。

『雪の断章』佐々木丸美の「孤児」シリーズ4部作を読む(1)

佐々木丸美のデビュー作。そして「孤児」シリーズの一作目。監督・相米慎二、主演・斉藤由貴で映画化もされた『雪の断章』の感想と考察。映画版のキャスト一覧、コメント。 1975年の講談社オリジナル版から、その後の復刊状況までをまとめています。 シリーズ…

『赤いモレスキンの女』アントワーヌ・ローラン 人は人生を変えられる

小粋な現代のおとぎ話 2020年刊行作品。オリジナルのフランス版は2014年刊行。原題は「La femme au carnet rouge」である。 作者のアントワーヌ・ローラン(Antoine Laurain)は1972年生まれ。 2007年にドゥルオー賞を受賞した『行けるなら別の場所で(Ailleu…

『私が大好きな小説家を殺すまで』斜線堂有紀 共依存の行きついた果ては?

斜線堂有紀の第四作 2018年刊行作品。メディアワークス文庫からの登場である。 斜線堂有紀(しゃせんどうゆうき)としては、『キネマ探偵カレイドミステリー』『キネマ探偵カレイドミステリー 〜再演奇縁のアンコール〜』『キネマ探偵カレイドミステリー 輪…

『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』乙野四方字 二つの作品が繋がる瞬間のカタルシス!

映画化決定!二作同時刊行された並行世界モノ 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』両作は、2016年6月の同時刊行である。 作者の乙野四方字(おとのよもじ)は1981年生まれ。第18回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》を受賞した、2012年の『ミ…

『盤上に君はもういない』綾崎隼 ただひたすらに「愛の物語」だった!

綾崎隼が将棋小説に挑戦 2020年刊行作品。作者の綾崎隼(あやさきしゅん)は1981年生まれ。作家デビューは2010年。電撃小説大賞で選考委員奨励賞を受賞した『蒼空時雨』(応募時タイトルは『夏恋時雨』)。メディアワークス文庫を中心に、二十冊以上の著作が…

『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』葵遼太 名作だからみんな読んで!

葵遼太のオリジナル第一作! 2020年刊行作品。作者の葵遼太(あおいりょうた)は1986年生まれ。 デビュー作は、太宰治の『人間失格』をベースにしたSFアニメ映画『HUMAN LOST』のノベライズ版である(原案は冲方丁だ)。 HUMAN LOST 人間失格 ノベライズ(新…

『また君と出会う未来のために』阿部暁子 『どこよりも遠い場所にいる君へ』の続編が登場

『どこよりも遠い場所にいる君へ』の4年後の物語 2018年刊行。2019年に出た、『どこよりも遠い場所にいる君へ』の4年後を描いた続編的な作品。主人公は異なるが、前作の主な登場人物たちも登場するので、ご安心を。 ちなみに、前作の感想はこちらからどうぞ…

『どこよりも遠い場所にいる君へ』阿部暁子 そして、もう一つのエピローグ「天国へ続く橋」

『どこよりも遠い場所にいる君へ』のネタバレ感想。作品の考察と、作者・阿部暁子の経歴を紹介。 もう一つのエピローグ「天国へ続く橋」 続篇『また君と出会う未来のために』の感想もあります。

『か「」く「」し「」ご「」と「』住野よる 五人の高校生男女の群像劇

住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』のあらすじ、ネタバレ感想。作品考察。スペシャルストーリーの紹介もあります。

『少女七竃と七人の可愛そうな大人』桜庭一樹 大人になってから読むと身につまされる作品

一般文芸の世界で輝き始めた頃の桜庭一樹作品 桜庭一樹(さくらばかずき)は1971年生まれの女性作家。1990年代に山田桜丸(やまださくらまる)名義で、ライター、ノベライズ作家、ゲームシナリオ作家として活躍。1999年に『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガー…

『ライオンハート』恩田陸 時空を超えて何度も廻り逢う男女の物語

20世紀最後に刊行された恩田陸作品 新潮社の小説誌『小説新潮』に1990年~2000年にかけて掲載された、五編の作品をまとめたもの。奇しくも連載中にSMAPの「らいおんハート」発売されているが、関係はない。 単行本版は2000年12月に刊行された。個人的には20…