ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

ミステリ

西尾維新『サイコロジカル 兎吊木垓輔の戯言殺し/曳かれ者の小唄』戯言シリーズ四作目 

シリーズ四作目は上下巻の大長編 2002年刊行作品。『クビキリサイクル』『クビシメロマンチスト』『クビツリハイスクール』と来て今回は『サイコロジカル』ようやくタイトルが「クビ」から離れたね。 サブタイトル、上巻は「兎吊木垓輔(うつりぎがいすけ)…

津原泰水『蘆屋家の崩壊』民俗ネタをふんだんに盛り込んだ和ホラー

時事的な流れに思いっきり便乗している気もするが、せっかくなので津原泰水作品はメチャ面白いよ!ということをわたしもアピールしておこう。 なお、津原泰水のTwitterアカウントは一時期フォローしていたものの、めんどうくさそうなキャラクターだったので…

姫ちゃん登場巻!『クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子』西尾維新

戯言シリーズの三作目 2002年刊行。ボリューム的には少しダウンして200頁弱。前作の半分程度である。 今回のヒロインはロリ系美少女の紫木一姫(ゆかりきいちひめ)。アルトリコーダー振り回している段階で激しくロリ度アップ(個人の見解である)。確実にク…

綾辻行人『びっくり館の殺人』館シリーズの8作目

綾辻行人のミステリーランド参加作品 2006年刊行。ミステリーランドは、故宇山秀雄が企画した「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリレーベルだ。箱装。箔押しの題字。フルカラーイラスト。図書館に収めるられることも想定してカバー無し、…

巫女子ちゃんが素敵すぎる『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』西尾維新

戯言シリーズの二作目 2002年刊行。前作『クビキリサイクル』の段階で、既にその雰囲気は濃厚ではあったのだが、本作でハッキリとこの作家はミステリを書くつもりなんててんでないことが理解出来た。二番目の殺人?においての、主人公に関する描写はどう考え…

米澤穂信『ふたりの距離の概算』古典部シリーズ五作目

古典部メンバーたちが二年生に! 2010年刊行。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』に続く、古典部シリーズの五作目である。 2009年から2010年にかけて、雑誌「野生時代」に連載されていた作品を単行本化に際して加筆修…

佐々木丸美「館」シリーズ3部作を読む(3)『夢館』王女の帰還

書く書くと言っておきながら、なかなか書けず、とうとう元号が変わり令和である(皆さまよろしくお願いします)。 さて、令和になって最初の更新だが、昭和の名作を紹介するシリーズ、佐々木丸美編、七作目の登場である。 二時代前の作品をすることになって…

西尾維新のデビュー作『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』

戯言シリーズのレビューを始めるよ! 平成も終わろうとしている今日この頃だが、特にいつもと変わらず、毎週火曜日恒例の西尾維新作品レビューをお届けしたい。 『刀語』シリーズの全巻レビューが終わったので、いよいよ戯言シリーズの紹介に取り掛かりたい…

桜庭一樹 初の一般向け作品『少女には向かない職業』

ブレイク目前の桜庭一樹、初のミステリ作品 2005年刊行。2003年のファミ通文庫『赤×ピンク』、2004年の富士見ミステリー文庫『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と、ライトノベルの世界でただものではない凄みを見せつけた桜庭一樹が、一般向けのミステリ作品…

西尾維新『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』

今週のお題「平成を振り返る」に本日も便乗。平成屈指の売り上げを誇ったコミック作品と言えば『DEATH NOTE』である。夜神月VSエルの壮絶な頭脳戦に痺れた読者は多いのではないだろうか。 当ブログでは毎週火曜日に西尾維新作品の感想レビューをお届けしてい…

三津田信三『スラッシャー 廃園の殺人』ホラーなのかミステリなのか?

三津田信三のサ行シリーズ 2007年刊行。わたし的には本作がファースト三津田信三作品だった。 三津田信三は2001年にデビュー。作家本人と同姓同名の三津田信三が登場するシリーズと、作家刀城言耶が活躍するシリーズ、そして探偵の弦矢俊一郎が活躍する死相…

乙一のミステリーランド作品『銃とチョコレート』

乙一ひさしぶりの新作(当時) 2006年刊行。2003年に登場した『ZOO』以降、乙一はしばらく新刊が出ない時期があって、本作は三年ぶりの作品だった。 で、久しぶりの新刊は講談社のミステリーランドからの登場である。このシリーズは異常なまでに装丁に手間暇…

トマス・H・クック『石のささやき』家庭内で起きた悲劇

現代を舞台としたクック作品 2007年刊行。クックお得意の回想型ミステリ。原題は『The Murmur of Stones』。 クック作品と言えば、20世紀前半~中盤くらいを舞台とした話が多かった印象である。本作では珍しく物語の舞台が現代なので、これまで読んできた作…

サラ・ウォーターズ『荊の城』は読み始めたら止まらない徹夜必至本

『半身』に続く二年連続「このミス」海外部門第一位の作品 2004年刊行。オリジナルの英国版は2002年刊行。「このミス2005」海外部門第一位の作品である。 サラ・ウォーターズは「このミス2004」では『半身』で一位を取っているのでなんと二年連続一位の大偉業…

今村昌弘『屍人荘の殺人』ミステリランキング三冠の問題作!

昨年9月から毎日更新を始めたが、本日で200日目、紹介冊数でも200冊目となる。いつもご覧いただいている皆さまありがとうございます。200エントリ目の振り返り記事は、近いうちに上げる予定です。 2017年を代表するミステリ作品 2017年刊行。今村昌弘のデビ…

歌野晶午『さらわれたい女』脱新本格の流れの中で

角川⇒講談社⇒角川と版元が変わった作品 まず最初に、1992年にカドカワノベルズ版(←懐かしいレーベル!)が刊行されている。 さらわれたい女 (カドカワノベルズ) 作者: 歌野晶午 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1992/01 メディア: 新書 この商品を含むブ…

湊かなえのデビュー作『告白』を読む(映画版の感想つき)

湊かなえのデビュー作『告白』のあらすじと、ネタバレ感想、考察。350万部も売れた大ベストセラーで、2009年の本屋大賞受賞作。 松たかこ主演、中島哲也監督の映画版についても感想と、キャスト一覧を記載しています。 本作では異なる人物の「告白」によって…

菅浩江『鬼女の都』京都×同人の世界

菅浩江初の本格ミステリ 1996年刊行作品。1989年に『ゆらぎの森のシエラ』でデビューして以来、エスエフ、ファンタジー寄りの作品を手掛けてきた菅浩江が、初めて書いた本格推理小説が本作である。ちなみに、カバーの袖には法月綸太郎の賛辞まで入っていた。…

梨園を舞台としたミステリ、近藤史恵『散りしかたみに』

探偵今泉文吾シリーズの三作目 近藤史恵は1993年の鮎川哲也賞作品『凍える島』でデビュー。 その後、1994年に『ねむりねずみ』を上梓。これが探偵今泉文吾モノの第一作となる。梨園で起きた事件を題材にしている。本書はそのシリーズの第三作で、1998年に角…

イヤミスの旗手のデビュー作、真梨幸子『孤虫症』

メフィスト賞受賞作を地道に紹介していくシリーズも今回で7回目。目指すは全作紹介!だが、現時点でも58作もあるので道は遠い(だいたい未読作品が半分近くある)。 真梨幸子のデビュー作 2005年刊行。第32回メフィスト賞受賞作品。いまや、イヤミスの旗手…

佐々木丸美「館」シリーズ3部作を読む(2)『水に描かれた館』不在の王女

遅々として進まない、佐々木丸美作品の全作レビュー第二期、「館」シリーズ編だが、ようやく第二回目をお届けする。遅くなってゴメンナサイ。本日はシリーズ二作目の『水に描かれた館』の登場である。 佐々木丸美「館」シリーズの二作目 1978年刊行。佐々木…

歌野晶午の初期作品『ROMMY 越境者の夢』

歌野晶午が新しい作風にチャレンジし始めたころの作品 1995年作品。最初は講談社ノベルスから登場。 『長い家の殺人』『白い家の殺人』『動く家の殺人』などの一連の信濃譲二シリーズで、新本格ムーブメントを担う一人としてデビューしたこの作家が、微妙に…

ショボイ動機にせせこましい犯罪、蒼井上鷹の『九杯目には早すぎる』

短編小説の名手、蒼井上鷹のデビュー作 2005年刊行。蒼井上鷹は双葉社が主催する、小説推理新人賞を2004年に受賞してデビューした方。個人的には短編小説の良い書き手という印象の作家さんである。著作の中でも、短編作品の占める割合がかなり多い。 名前は…

イスラム世界を舞台とした異色のミステリ、古泉迦十『火蛾』

謎のメフィスト賞作家、古泉迦十 2000年刊行作品。第17回メフィスト賞受賞作である。 タイトルの『火蛾』は「ひが」と読み、作者名の古泉迦十は「こいずみかじゅう」と読む。 あらすじ 十二世紀の中東。イスラム聖者たちの伝記編纂を生業とするファリードは…

携帯電話のない時代の誘拐劇、岡嶋二人『99%の誘拐』

岡嶋二人往年の名作 1988年作品。最初の単行本は徳間書店から。帯に「1988年最高の誘拐小説」とある。表紙のテイストが時代を感じさせる。 徳間文庫版は1990年に登場。 99%の誘拐 (徳間文庫) 作者: 岡嶋二人 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 1990/08 メデ…

河鍋狂斎の幽霊画から始まるミステリ、北森鴻『狂乱廿四孝』

北森鴻のデビュー作 1995年作品。第六回鮎川哲也賞受賞作。北森鴻(きたもりこう)の第一作である。『狂乱廿四孝』は「きょうらんにじゅうしこう」と読む。 作者の北森鴻は1961年生まれ。残念ながら2010年に48歳の若さで早逝されている。 本作の原形となった…

佐々木丸美「館」シリーズ3部作を読む(1)『崖の館』いまは亡き王女のために

前回から少し間が空いてしまったけど、佐々木丸美作品の全作レビュー第二期、「館」シリーズ編をスタートしてみよう。まずはシリーズ一作目の『崖の館』の登場である。 佐々木丸美「館」シリーズの一作目 1977年作品。デビュー作の『雪の断章』の次に書かれ…

米澤穂信『遠まわりする雛』地方都市のうつろいゆく春夏秋冬

古典部の春夏秋冬を描いたシリーズ初の短編集 2007年刊行。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』に続く、古典部シリーズの四作目。 2002年から2007年にかけて、雑誌「ザ・スニーカー」「野生時代」に掲載された作品を集めた短編集。最後に収…

犯人は読者!究極のトリックを描く、深水黎一郎『ウルチモ・トルッコ』

表紙を見ると犯人の顔が映る装丁! 2007年刊行。第36回のメフィスト賞受賞作品。タイトルの「ウルチモ・トルッコ」はイタリア語で究極のトリックを意味する。 既にサブタイトルにいきなり物凄いネタバレが書いてある。「犯人はあなただ!」と。カバーを見る…

破局噴火がもたらす大惨事を描いた災害小説『死都日本』

いきなりハードカバーで登場したメフィスト賞受賞作 2002年刊行。第26回メフィスト賞受賞作。 通常のメフィスト賞作品はノベルスで出るのが常だけれど、講談社的に自信作だったのか、そこそこレベルの高い作品の場合、いきなりハードカバーで勝負を賭けてく…