ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

ミステリ

『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』コニー・ウィリス 時間モノの傑作

ヒューゴー賞・ローカス賞ダブル受賞作 2004年刊行作品。オリジナルの米国版は1998年に刊行されている。原題は『To Say Nothing of the Dog』。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。日本では「このミステリがすごい!2005」海外部門第九位、「SFが読みたい2005」海…

『殺人喜劇の13人』芦辺拓 第1回の鮎川賞受賞作

芦辺拓のデビュー作 1990年刊行作品。作者の芦辺拓(あしべたく)は1958年生まれ。本作がデビュー作となる。東京創元社による公募新人賞、鮎川哲也賞の第一回目の受賞作品である。ちなみに、この時の佳作入選が二階堂黎人の『吸血の家』であった。 芦辺拓に…

『Twelve Y.O.』福井晴敏 第44回江戸川乱歩賞受賞作

最初に刊行された福井晴敏作品 1998年刊行作品。第44回江戸川乱歩賞受賞作品である。ちなみにタイトルの『Twelve Y.O.』は「とぅえるぶ わい おー」と読む(そのまんまだ)。 作者の福井晴敏は1968年生まれ。ちなみに同時受賞は池井戸潤の『果つる底なき』。…

『パラダイス・クローズド』汀こるもの 第37回メフィスト賞受賞作

こるものさんのデビュー作 2008年刊行。第37回メフィスト賞受賞作品。汀(みぎわ)こるものの第一作にして、タナトスシリーズの一作目でもある。 twitterやってる人間としては、汀こるものと言うよりは、「こるものさん」で認識しているので、フルネームで書…

『航路』コニー・ウィリス 臨死体験と死後の世界

驚愕の超絶展開が楽しめる一作 2002年刊行作品。作者のコニー・ウィリスは1945年生まれのアメリカ人SF作家である。 原著『PASSAGE』は2001年に米国で刊行されている。米国ローカス賞のSF長編部門を受賞。日本国内でも、ベストSF2002海外篇の第1位。このミス20…

『撓田村事件』小川勝己 横溝正史へのオマージュ作品

横溝正史ミステリ大賞受賞者が描く本格ミステリ 2002年刊行。2000年に『葬列』で第20回横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビューした小川勝己(おがわかつみ)の五作目の作品である。新潮社のハードカバー単行本シリーズ、「新潮ミステリー倶楽部」枠からの登…

『M.G.H. 楽園の鏡像』三雲岳斗 SF×ミステリの良作品

第1回日本SF新人賞受賞作品 2000年刊行作品。作者の三雲岳斗(みくもがくと)は1970年生まれ。 1998年の『コールド・ゲヘナ』が第5回電撃ゲーム小説大賞に選ばれ作家デビュー。翌年の1999年には『アース・リバース』が第5回スニーカー大賞特別賞に。そして本…

『将軍の娘』ネルソン・デミル 軍人一家の父と娘の悲劇

アメリカ陸軍を舞台としたミステリ小説 1996年刊行作品。オリジナルの米国版は1992年刊行。原題は『The General's Daughter』でわりとそのまんま。作者のネルソン・デミルは1943年生まれ。 本作で登場したブレナー准尉が登場する続篇的な作品としては2003年刊…

『密室の鍵貸します』東川篤哉のデビュー作はユーモア×本格ミステリ

東川篤哉の第一作はKAPPA-ONE登龍門から 2002年刊行作品。作者の東川篤哉(ひがしがわとくや)は1968年生まれ。短編作品でのキャリアは1996年からあったものの、本作が最初の長編作品となっている。 「光文社のメフィスト賞」的な存在のKAPPA-ONE登龍門(か…

『銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖綺談』高里椎奈 第11回メフィスト賞受賞作

高里椎奈のデビュー作 1999年刊行作品。第11回メフィスト賞受賞作である。高里椎奈(たかさとしいな)のデビュー作品にして「薬屋探偵」シリーズの第一作となる。 高里椎奈は1976年生まれ。「薬屋探偵」シリーズや、「フェンネル大陸」シリーズ、最近では「…

『カンニング少女』黒田研二 

表紙イラストは西島大介 2006年刊行作品。黒田研二を読むのは処女作の『ウェディングドレス』以来。実は西島大介の表紙絵につられて購入。この人の絵はとてもキュート。素晴らしい。西島大介をイラストレータに持ってきただけで売上は一割は違うんじゃないだ…

『ドッペルゲンガー宮《あかずの扉》研究会流氷館へ』霧舎巧 第12回メフィスト賞受賞作

霧舎巧のデビュー作 1999年刊行作品。第12回のメフィスト賞受賞作品である。本作はメフィスト賞にしてはけっこう普通に本格ミステリしている作品で、刊行当時新鮮な印象を受けた記憶がある。 作者の(きりしゃたくみ)は1963年生まれ。ペンネームの名付け親…

『R.P.G.』宮部みゆき クロスファイアの石津さんと模倣犯の武上さんが競演

『クロスファイア』×『模倣犯』 2001年刊行作品。単行本で出すには短く、他の短編に混ぜるに独立性が強すぎるということであえて文庫書き下ろしの形で刊行された作品。それでも300頁近くあるのだから、十分単行本で出しても良かったような気が……。出版社的に…

『日曜日の沈黙』石崎幸二 第18回メフィスト賞受賞

ミリア&ユリシリーズの一作目 2000年刊行作品。第18回のメフィスト賞受賞作。作者の石崎幸二は1963年生まれ。本作がデビュー作である。 本作はノベルス版のみであり、残念ながら文庫化はされていない。 というか、石崎幸二の作品はこれまでに11作刊行されて…

『水の迷宮』石持浅海 水族館を舞台としたミステリ作品

ノベルス版の表紙は特殊なデザインだった 2004年刊行作品。『アイルランドの薔薇』『月の扉』に続く石持浅海の三作目である。 本作のノベルス版の装丁はちょっと凝っている。全体の2/3を帯が覆っていて、これを外すとカバーは真っ白。実質的に帯がカバーイラ…

『図書室の海』恩田陸デビュー10年目の短編集

いろいろ申し訳なくてなかなかエントリを書けなかったが、このブログも二年目に入ったので、そろそろ恩田陸作品についても触れていこうかと考えている。 なにせここ10年程、彼女の新作を読んでいないので、まずは旧作の振り返りから始めさせて頂きたい。まず…

『[映]アムリタ』野崎まど 最原最早の初登場作品

野崎まどのデビュー作 2009年刊行作品。昨今、各方面で活躍し、知名度の上がっている野崎まどのデビュー作 である。 第16回電撃小説大賞にて、新設されたメディアワークス文庫賞を受賞。電撃系のライト文芸レーベルメディアワークス文庫の創刊ラインナップに…

『「ABC」殺人事件』クリスティの名作をモチーフとした競作アンソロジー

豪華なラインナップのミステリアンソロジー 2001年刊行。講談社文庫創刊30周年を記念して企画された、書き下ろしアンソロジー作品である。書き手は有栖川有栖、恩田陸、加納朋子、貫井徳郎、法月綸太郎と、記念企画だけに豪華な顔ぶれである。 タイトルから…

『眠りの牢獄』浦賀和宏 主人公の名前が「浦賀」!

初の非安藤直樹シリーズ 2001年刊行作品。浦賀和宏の六作目。浦賀和宏はメフィスト賞受賞作の『記憶の果て』以降、安藤直樹シリーズをずっと書いてきた。しかし、六作目にしてようやく、非安藤シリーズ作品を書いてみたのがこちらの『眠りの牢獄』である。 …

『君待秋ラは透きとおる』詠坂雄二の最新作は能力バトル!

詠坂雄二の最新作は能力バトル 本日紹介するのは詠坂雄二(よみさか ゆうじ)の2019年作品『君待秋ラは透きとおる』である。 作者の詠坂雄二は1979年生まれ。今は亡き光文社の新人公募企画「KAPPA-ONE」出身の作家だ(光文社版のメフィスト賞みたいな感じ)…

『ラットマン』道尾秀介 最後まで気が抜けないミステリ作品

道尾秀介、初期の代表作 2008年刊行作品。光文社のミステリ専門誌『ジャーロ』の2007年夏号、秋号に掲載されていたものを単行本化したもの。道尾秀介は2005年の『背の眼』デビュー作で、本作が8作目になる。わたし的には、最初に読んだ道尾作品だった。 この…

『8(エイト)』キャサリン・ネヴィル 伝説のチェスセットを巡る争奪戦

宇宙の法則を内包するチェスの駒の物語 オリジナルの米国版は1988年刊行。邦訳版は1991年に登場。 作者のキャサリン・ネヴィルは1945年生まれのアメリカ人。 文春文庫版は1998年に登場している。 8(エイト)〈上〉 (文春文庫) 作者: キャサリンネヴィル,Kather…

皆川博子『聖女の島』と綾辻・有栖川復刊セレクション

綾辻・有栖川復刊セレクションからの一冊 もともとは1988年に刊行された作品だが、2007年に講談社ノベルズ25周年記念「綾辻・有栖川コレクション」の一冊として復刊された。 同コレクションは、綾辻行人、有栖川有栖の両名の選による十二作品。これまでに刊行…

『DOOMSDAY 審判の夜』津村巧 第22回メフィスト賞受賞作

津村巧のデビュー作 2001年刊行作品。第22回のメフィスト賞受賞作である。著者HPによると、応募時タイトルは『SURVIVOR―生存者―』。残念ながらノベルス版のみで、文庫版は刊行されていない。 作者の津村巧は1970年生まれ。本作以前に、光文社主催の公募アン…

『放課後の記憶』森真沙子 25年の歳月を経て明らかになる真実

立風書房から出ていた森真沙子作品 1994年作品。今は亡き立風書房(りっぷうしょぼう)からの刊行。残念ながら文庫化はされておらず、現在では読むのが困難作品である。電子書籍化も無し。 軽くググってみたが、ほとんどレビューが見当たらない。インターネ…

『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』西尾維新 「世界」シリーズ第四弾

「世界」シリーズの第四作、以後未完 2008年刊行作品。「世界」シリーズ四作目。タイトル22文字もあって長ええ。 このシリーズ、奇数巻は櫃内くんと病院坂黒猫の話、偶数巻は串中弔士(くしなかちょうし)と病院坂迷路(バックアップ含む)を中心とした構成…

『月長石の魔犬』秋月涼介 第20回のメフィスト賞受賞作品

秋月涼介のデビュー作 2001年刊行。第20回のメフィスト賞受賞作品である。 作者の秋月涼介は1971年生まれ。『月長石の魔犬』以降、2002年に『迷宮学事件』2004年に『紅玉の火蜥蜴』2006年に『消えた探偵』を、いずれも講談社ノベルスから上梓。しかしいずれ…

『夏草の記憶』トマス・H・クック、屈指のビターエンド作品

2000年版「このミス」海外部門で第三位 1999年刊行。トマス・H・クックは1947年生まれのアメリカ人作家。本作が12作目。オリジナルの米国版1995年の刊行。原題は「Breakheart Hill」である。2000年版「このミス」海外部門で第三位に入った作品。 本作は1960年…

『きみとぼくが壊した世界』西尾維新 「世界」シリーズ第三弾

「世界」シリーズの第三作 2008年刊行作品。初出は「メフィスト」。今回、話としては別にどうでもいいんです的な内容。内容は無いよう。 『不気味で素朴な囲われた世界』に続く「世界」シリーズ三作目。前回はチョイ役扱いに甘んじていた病院坂黒猫だが、今…

『榛家の伝説』佐々木丸美、最後の作品

「孤児」シリーズ、「館」シリーズと続いてきた、佐々木丸美作品の全作レビューだが、本日は「館」シリーズのスピンアウト的な作品である「伝説」シリーズから、『榛(はしばみ)家の伝説』をお届けしたい。 前作である『橡家の伝説』の内容にも言及している…