ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

ミステリ

『君待秋ラは透きとおる』詠坂雄二の最新作は能力バトル!

詠坂雄二の最新作は能力バトル 本日紹介するのは詠坂雄二(よみさか ゆうじ)の2019年作品『君待秋ラは透きとおる』である。 作者の詠坂雄二は1979年生まれ。今は亡き光文社の新人公募企画「KAPPA-ONE」出身の作家だ(光文社版のメフィスト賞みたいな感じ)…

『ラットマン』道尾秀介 最後まで気が抜けないミステリ作品

道尾秀介、初期の代表作 2008年刊行作品。光文社のミステリ専門誌『ジャーロ』の2007年夏号、秋号に掲載されていたものを単行本化したもの。道尾秀介は2005年の『背の眼』デビュー作で、本作が8作目になる。わたし的には、最初に読んだ道尾作品だった。 この…

『8(エイト)』キャサリン・ネヴィル 伝説のチェスセットを巡る争奪戦

宇宙の法則を内包するチェスの駒の物語 オリジナルの米国版は1988年刊行。邦訳版は1991年に登場。 作者のキャサリン・ネヴィルは1945年生まれのアメリカ人。 文春文庫版は1998年に登場している。 8(エイト)〈上〉 (文春文庫) 作者: キャサリンネヴィル,Kather…

皆川博子『聖女の島』と綾辻・有栖川復刊セレクション

綾辻・有栖川復刊セレクションからの一冊 もともとは1988年に刊行された作品だが、2007年に講談社ノベルズ25周年記念「綾辻・有栖川コレクション」の一冊として復刊された。 同コレクションは、綾辻行人、有栖川有栖の両名の選による十二作品。これまでに刊行…

『DOOMSDAY 審判の夜』津村巧 第22回メフィスト賞受賞作

津村巧のデビュー作 2001年刊行作品。第22回のメフィスト賞受賞作である。著者HPによると、応募時タイトルは『SURVIVOR―生存者―』。残念ながらノベルス版のみで、文庫版は刊行されていない。 作者の津村巧は1970年生まれ。本作以前に、光文社主催の公募アン…

『放課後の記憶』森真沙子 25年の歳月を経て明らかになる真実

立風書房から出ていた森真沙子作品 1994年作品。今は亡き立風書房(りっぷうしょぼう)からの刊行。残念ながら文庫化はされておらず、現在では読むのが困難作品である。電子書籍化も無し。 軽くググってみたが、ほとんどレビューが見当たらない。インターネ…

『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』西尾維新 「世界」シリーズ第四弾

「世界」シリーズの第四作、以後未完 2008年刊行作品。「世界」シリーズ四作目。タイトル22文字もあって長ええ。 このシリーズ、奇数巻は櫃内くんと病院坂黒猫の話、偶数巻は串中弔士(くしなかちょうし)と病院坂迷路(バックアップ含む)を中心とした構成…

『月長石の魔犬』秋月涼介 第20回のメフィスト賞受賞作品

秋月涼介のデビュー作 2001年刊行。第20回のメフィスト賞受賞作品である。 作者の秋月涼介は1971年生まれ。『月長石の魔犬』以降、2002年に『迷宮学事件』2004年に『紅玉の火蜥蜴』2006年に『消えた探偵』を、いずれも講談社ノベルスから上梓。しかしいずれ…

『夏草の記憶』トマス・H・クック、屈指のビターエンド作品

2000年版「このミス」海外部門で第三位 1999年刊行。トマス・H・クックは1947年生まれのアメリカ人作家。本作が12作目。オリジナルの米国版1995年の刊行。原題は「Breakheart Hill」である。2000年版「このミス」海外部門で第三位に入った作品。 本作は1960年…

『きみとぼくが壊した世界』西尾維新 「世界」シリーズ第三弾

「世界」シリーズの第三作 2008年刊行作品。初出は「メフィスト」。今回、話としては別にどうでもいいんです的な内容。内容は無いよう。 『不気味で素朴な囲われた世界』に続く「世界」シリーズ三作目。前回はチョイ役扱いに甘んじていた病院坂黒猫だが、今…

『榛家の伝説』佐々木丸美、最後の作品

「孤児」シリーズ、「館」シリーズと続いてきた、佐々木丸美作品の全作レビューだが、本日は「館」シリーズのスピンアウト的な作品である「伝説」シリーズから、『榛(はしばみ)家の伝説』をお届けしたい。 前作である『橡家の伝説』の内容にも言及している…

『この橋をわたって』新井素子、作家生活40年目にして初の短編集

新井素子の初?の短編集 2019年刊行作品。2014年から2018年にかけて、新聞、雑誌、ウェブ媒体等に掲載されていた作品をまとめたもの。 新井素子にしては珍しい、特定のシリーズ、テーマに囚われない短編集。あれ、短編集って新井素子的には初めて? って、思…

『グランド・ミステリー』奥泉光 読みにくさも魅力の一つ

芥川賞作家の書くミステリ作品 1998年刊行。「このミス1999」国内部門7位の作品である。 作者の奥泉光(おくいずみひかる)は1956年生まれ。1994年に『石の来歴』で芥川賞を受賞。出自としては文学畑の人のようだが、本作のようなミステリ作品を書いたかと思…

『不気味で素朴な囲われた世界』西尾維新 「世界」シリーズ第二弾

「世界」シリーズの第二作 2007年刊行。『きみとぼくの壊れた世界』の続編というか、直接的な続編というわけではなく、世界観を共有した姉妹編的な作品である。 こちらはノベルズ版だが、同時に講談社BOX版も出ている。 紛らわしいけど内容は同じ。違いはイ…

『魔眼の匣の殺人』今村昌弘、『屍人荘の殺人 』続編

『屍人荘の殺人 』の続編が登場 2019年刊行作品。今村昌弘の第二作。 2017年に刊行され、第27回鮎川賞受賞作、そして2018年版の「このミステリーがすごい!」第1位、「 週刊文春ミステリーベスト10」第1位、「本格ミステリ・ベスト10」第1位と、ミステリ系ラ…

『月の扉』石持浅海、ハイジャック機の中に密室死体!

石持浅海、二番目の作品 2003年刊行作品。2002年に『アイルランドの薔薇』でデビューした、石持浅海の二作目である。2004年版の「このミス」で国内編の第8位に入っている。 光文社文庫版は2006年に登場している。 月の扉 (光文社文庫) 作者: 石持浅海 出版社…

『歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ』菅浩江のミステリ作品

菅浩江による日常の謎系ミステリ 2003年刊行。祥伝社の「小説NON」に2001年~2003年にかけて掲載されていた作品群をまとめた連作短編集。祥伝社の新書レーベル、ノンノベルからのリリースである。 残念ながら文庫化はされておらず、電子化もされていないので…

『きみとぼくの壊れた世界』西尾維新 未完の「世界」シリーズ一作目

「世界」シリーズの第一作 2003年刊行作品。その後、『不気味で素朴な囲われた世界』『きみとぼくが壊した世界』『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』と続いていく、「世界」シリーズの一作目である。なお、2019年8月時点で未完のままである。 …

『葬列』小川勝己、戦慄のラストに痺れる

小川勝己のデビュー作 2000年刊行作品。第20回(2000年)横溝正史賞の大賞受賞作品である。 作者の小川勝己(おがわかつみ)は1965年生まれ。本作がデビュー作となり、以後十数作の著作がある。ただ、ここ十年程は新作が出ておらず、動向が気になるところで…

『橡家の伝説』佐々木丸美「館」シリーズのセカンドシーズン

本日ご紹介するのは 佐々木丸美の「館」シリーズの外伝的な作品、『橡家の伝説』である。「館」シリーズについてもネタバレしているので、未読の方はお気をつけ頂きたい。 「伝説」シリーズの一作目 1982年刊行作品。『橡(つるばみ)家の伝説』は佐々木丸美…

『それでも警官は微笑う』日明恩、メフィスト賞で警察小説!

日明恩のデビュー作 第25回メフィスト賞受賞作品。2002年刊行。作者の日明恩は1967年生まれ。日明恩と書いて「たちもり めぐみ」と読む。 2005年に講談社ノベルス版が登場。 それでも、警官は微笑う (講談社ノベルス) 作者: 日明恩 出版社/メーカー: 講談社 …

西尾維新『新本格魔法少女りすか3』以後十余年続編が出ていない

新本格魔法少女りすかシリーズの第三弾 2007年刊行。りすかシリーズ三作目。ファウストのVOL.5~VOL.7に収録されていた作品をまとめたもの。未完状態で止まっているが、その後十年以上音沙汰なしである。 あらすじ 繋場いたちを仲間に加え、三人チームとなっ…

『模倣の殺意』中町信 復刊したら40万部も売れてしまった作品

何度もタイトルを変えて復活した中町信のデビュー作 作者の中町信(なかまちしん)は1935年生まれ。出版社勤務を経て1989年から専業化。90年代に数多くのミステリ作品を発表した作家であるが、残念ながら2009年に他界されている。 2005年刊行の作品だが、本…

新堂冬樹『血塗られた神話』第7回メフィスト賞受賞作

新堂冬樹のデビュー作 1998年刊行作品。第7回メフィスト賞受賞作。いまやすっかりノワール系小説の書き手として地歩を固めた感のある新堂冬樹(しんどうふゆき)だが、実はメフィスト賞の出身の作家なのであった。現在では講談社以外からの作品の方が多いの…

西尾維新『新本格魔法少女りすか2』心地よい王道展開

なんとなく、火曜日は西尾維新作品の紹介を続けている。今週も、先週に引き続き『新本格魔法少女りすか』シリーズのご紹介である。西尾維新の未完作品の一つである。 新本格魔法少女りすかシリーズの第二弾 2005年刊行作品。りすかシリーズ二作目。「ファウ…

『ベルリンは晴れているか』深緑野分、弱者が弱者を虐げる世界で

2019年の本屋大賞第3位 2018年刊行作品。直木候補作、2019年の本屋大賞第3位にランクインした作品である。 作者の深緑野分(ふかみどりのわき)は1983年生まれ。東京創元社の公募新人賞「ミステリーズ!新人賞」に応募した『オーブランの少女』が佳作入選し…

黒田研二『ウェディングドレス』第16回メフィスト賞受賞

黒田研二のデビュー作 2000年刊行作品。第16回のメフィスト賞受賞作品。黒田研二は1969年生まれ。本作でデビュー後、年1~2作ペースでコンスタントに新作を上梓していたが、ここ数年オリジナル作品が出ていないようで、そこいら辺がちょっと気がかり。 講談…

西尾維新『新本格魔法少女りすか』魔法少女×ミステリ

西尾維新の未完シリーズ 2004年刊行作品。「ファウスト」のVOL.1とVOL.2に掲載された二作品に、書き下ろし一編を加えたもの。 2005年に第二巻(第四話~第六話)、2007年に第三巻(第七話~第九話)が刊行された。雑誌連載的には第十話が2008年に掲載されて…

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』、日航機墜落事故時の報道のありかた

週刊文春のミステリーベスト10で第一位 2003年刊行。「このミス2004」国内第7位。週刊文春のミステリーベスト10では堂々の国内一位に輝いた作品である。また、第1回の本屋大賞第2位にランクインしている。作者の横山秀夫は1957年生まれ。上毛新聞で新聞記…

トマス・H・クック『心の砕ける音』対照的な兄弟と運命の女

WOWOWでドラマ化された作品 2001年刊行作品。「このミス2002」の海外部門第五位の作品。オリジナルの米国版は2000年刊行で、原題は『 Places in the Dark』である。 以前に紹介した『緋色の記憶』同様に、本作も鈴木京香をヒロインに据えて、WOWOWにてドラマ…