ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

ミステリ

『ベルリンは晴れているか』深緑野分、弱者が弱者を虐げる世界で

2019年の本屋大賞第3位 2018年刊行作品。直木候補作、2019年の本屋大賞第3位にランクインした作品である。 作者の深緑野分(ふかみどりのわき)は1983年生まれ。東京創元社の公募新人賞「ミステリーズ!新人賞」に応募した『オーブランの少女』が佳作入選し…

黒田研二『ウェディングドレス』第16回メフィスト賞受賞

黒田研二のデビュー作 2000年刊行作品。第16回のメフィスト賞受賞作品。黒田研二は1969年生まれ。本作でデビュー後、年1~2作ペースでコンスタントに新作を上梓していたが、ここ数年オリジナル作品が出ていないようで、そこいら辺がちょっと気がかり。 講談…

西尾維新『新本格魔法少女りすか』魔法少女×ミステリ

西尾維新の未完シリーズ 2004年刊行作品。「ファウスト」のVOL.1とVOL.2に掲載された二作品に、書き下ろし一編を加えたもの。 2005年に第二巻(第四話~第六話)、2007年に第三巻(第七話~第九話)が刊行された。雑誌連載的には第十話が2008年に掲載されて…

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』、日航機墜落事故時の報道のありかた

週刊文春のミステリーベスト10で第一位 2003年刊行。「このミス2004」国内第7位。週刊文春のミステリーベスト10では堂々の国内一位に輝いた作品である。また、第1回の本屋大賞第2位にランクインしている。作者の横山秀夫は1957年生まれ。上毛新聞で新聞記…

トマス・H・クック『心の砕ける音』対照的な兄弟と運命の女

WOWOWでドラマ化された作品 2001年刊行作品。「このミス2002」の海外部門第五位の作品。オリジナルの米国版は2000年刊行で、原題は『 Places in the Dark』である。 以前に紹介した『緋色の記憶』同様に、本作も鈴木京香をヒロインに据えて、WOWOWにてドラマ…

『死の泉』皆川博子が描く狂気と幻想の世界

第二次大戦下のドイツを舞台とした作品 1997年刊行作品。第32回の吉川英治文学賞を受賞している。 皆川博子は1929年(もしくは1930年)生まれで、1970年のデビューから現在に至るまで、連綿と現役の作家として活動を続けている。80代に入っても一向に刊行ペ…

西尾維新『トリプルプレイ助悪郎』JDCトリビュートの第二弾

コミック誌に連載されていた西尾維新作品 2007年刊行作品。西尾維新のJDCトリビュートシリーズの第二弾。講談社のコミック誌、月刊少年シリウスに2005年7月から2005年12月まで、連載されていた内容をまとめたものである。え?小説なのにコミック誌に連載?と…

河野裕『いなくなれ、群青』階段島シリーズ一作目を読んでみた

新潮文庫nexの第一期作品 2014年刊行作品。河野裕(こうのゆたか)による「階段島」シリーズの一作目である。ちなみに階段島の読みは「かいだんとう」であり、「かいだんじま」ではないので注意が必要である(ずっと「かいだんじま」だと思ってた)。 新潮社…

『アイルランドの薔薇』石持浅海はここから始まった

石持浅海、最初の作品 2002年刊行。石持浅海(いしもちあさみ)のデビュー作である。光文社のメフィスト賞とも言える、KAPPA-ONE登龍門(かっぱわんとうりゅうもん)の第一期作品でもある。 光文社文庫版は2004年に登場している。 アイルランドの薔薇 (光文…

『ダブルダウン勘繰郎』は西尾維新のJDCトリビュート作品

戯言シリーズのレビューが一通り終わったので、外伝的な位置づけの、人間シリーズについて書いてみるつもりであったが、なんとなく気が変わった(笑)。本日は西尾維新のこちらの作品をご紹介したい。 JDCトリビュート作品群のひとつ JDCシリーズは1996年刊…

第30回メフィスト賞受賞作品『極限推理コロシアム』矢野龍王

矢野龍王のデビュー作 2004年刊行。第30回のメフィスト賞受賞作品。作者は1965年生まれ。メフィスト賞の受賞者としては比較的年齢高めの方だろうか。文章的には、どことなく岡嶋二人っぽい。最近あまり見かけなくなった、懐かしさを感じるテイストである。 …

ミステリ+脱走劇の面白さ『捕虜収容所の死』マイケル・ギルバート

第二次大戦直後に書かれた作品 2003年刊行作品。2003年のこのミス海外部門、及び週刊文春のミステリベストテンで、それぞれ第2位に輝いた作品なのだが、オリジナルが出版されたのはなんと1952年である。邦訳が出るまで、ずいぶんと時間がかかったものである…

全460項目の戯言辞典『ザレゴトディクショナル』西尾維新

戯言シリーズの用語辞典 先週、次は「人間シリーズ」のレビューを書くかもと書いてしまったが、戯言シリーズとしてはまだこちらの作品が残っていた。 本書は2006年刊行作品。戯言シリーズの全9冊の用語集兼ガイドブックである。 残念ながら「人間シリーズ」…

自衛隊基地内で起きた事件の謎『UNKNOWN』古処誠二

自衛隊出身のメフィスト賞作家 2000年刊行。第14回のメフィスト賞受賞作品。作者の古処誠二(こどころせいじ)は1970年生まれ。航空自衛隊出身と、異色の経歴を持つ作家である。 ゼロ年代には2005年の『七月七日』2006年の『遮断』、そして2008年の『敵影』…

いじめの傍観者は許されるのか?『コールドゲーム』荻原浩

ブレイク目前の荻原浩作品 2002年刊行作品。荻原浩としては七作目の作品。『明日の記憶』(2005年の本屋大賞第二位)でブレイクする前の作品ということになる。 単行本は講談社から刊行されていたが、なぜか文庫版は新潮社より2005年に登場している。 コール…

戯言シリーズ完結『ネコソギラジカル 下 青色サヴァンと戯言遣い』西尾維新

戯言シリーズの最終巻(いちおう) 2005年刊行。戯言シリーズ最終三部作の第三弾。遂にこれでシリーズ完結。今回の表紙はウェディングドレス姿の玖渚友である。 講談社文庫版は2009年に登場している。 ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い (講談社…

『バラバの方を』退廃感漂う飛鳥部勝則らしい一作

アンモラル感漂う「らしい」作品 2002年刊行。飛鳥部勝則7作目の長編作品。トクマ・ノベルズより。残念ながら文庫化はされていない。 いつもながら退廃感漂いまくりの飛鳥部勝則作品である。人間失格寸前のエキセントリックな登場人物たち。性的モラルが完全…

戯言シリーズもあと二冊!『ネコソギラジカル 中 赤き征裁VS.橙なる種』西尾維新

戯言シリーズ最終章の二作目 2005年刊行作品。戯言シリーズ最終三部作の第二弾である。 表紙は誰だよこいつと一瞬思ったけど、想影真心さんらしい。ビジュアル的には女だけど、話し方は男。この作品であまり性別を気にしても仕方が無いのかも知れないけど、…

浦賀和宏『彼女は存在しない』どの「彼女」が存在しないのか?

初の非講談社系作品 2001年刊行作品。作者の浦賀和宏は1978年生まれ。1998年の『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞してデビューしている。メフィスト賞デビューの同期生としては、乾くるみ『Jの神話』、積木鏡介『歪んだ創世記』がある。 本作は浦賀和…

1960年代のノワール小説『ポップ1280』ジム・トンプスン

2001年版「このミス」海外部門第1位 1964年に書かれた作品。原題は『Pop. 1280』である。 ジム・トンプスンは1906年生まれのアメリカ人作家。スティーブ・マックイーン主演の映画『ゲッタウェイ』の原作・脚本担当として有名かな。 ゲッタウェイ 日本語吹替音…

終盤戦突入!『ネコソギラジカル 上 十三階段』西尾維新

戯言シリーズ最終章スタート 2005年刊行。戯言シリーズ最終三部作の第一弾である。 表紙は哀川さんらしいのだが、イラストレータの竹の画風はこのあたりから変わり始めていて、初見時は一瞬誰だか判らなかった。本編中のキャラクター挿絵もシャープな部分が…

凝った構成の本格ミステリ『安達ヶ原の鬼密室』歌野晶午

週刊文春&本格ミステリ・ベスト10でそれぞれ20位 2000年刊行作品。この年の「週刊文春ミステリーベスト10」及び、「本格ミステリ・ベスト10」でそれぞれ第20位に入っている。 講談社文庫版は2003年に登場している。 安達ヶ原の鬼密室 (講談社文庫) 作者: 歌…

乾いた喪失感『MISSING』本多孝好のデビュー作

五編を収録した初作品集 1999年刊行作品。作者の本多孝好は1971年生まれ。 冒頭に出てくる「眠りの海」が1994年の第16回小説推理新人賞受賞作で一番最初の作品である。残りの四編についても全て「小説推理」に掲載されたもの。1999年になってようやく単行本…

西尾維新『ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹』戯言シリーズ五作目 

リヴァーシブルカバーに注目! 戯言シリーズも本作で五作目。2003年刊行作品。 デフォルト状態が拘束衣というインパクト十分の新キャラ匂宮兄妹が登場。いつものことながら、この作家はキャラを立てるのがメチャクチャ巧い。 リバーシブルな表紙カバーがネタ…

2003年このミス海外部門第1位『飛蝗の農場』 ジェレミー・ドロンフィールド

ジェレミー・ドロンフィールドのデビュー作 オリジナルの英国版は1998年刊行。日本での刊行は2002年となっている。「このミステリーがすごい!」2003年版海外部門で一位を獲得している作品である。 作者のジェレミー・ドロンフィールドは1965年生まれのイギ…

積木鏡介『歪んだ創世記』第6回メフィスト賞受賞作

乾くるみ、浦賀和宏との同時受賞作 1998年刊行作品。この作品も既に二十年も前の作品となってしまった。メフィスト賞の歴史も、既にけっこうな歳月になってきているよね。 積木鏡介は1955年生まれ。第六回メフィスト賞受賞となった本作が最初の作品となって…

西尾維新『サイコロジカル 兎吊木垓輔の戯言殺し/曳かれ者の小唄』戯言シリーズ四作目 

シリーズ四作目は上下巻の大長編 2002年刊行作品。『クビキリサイクル』『クビシメロマンチスト』『クビツリハイスクール』と来て今回は『サイコロジカル』ようやくタイトルが「クビ」から離れたね。 サブタイトル、上巻は「兎吊木垓輔(うつりぎがいすけ)…

津原泰水『蘆屋家の崩壊』民俗ネタをふんだんに盛り込んだ和ホラー

時事的な流れに思いっきり便乗している気もするが、せっかくなので津原泰水作品はメチャ面白いよ!ということをわたしもアピールしておこう。 なお、津原泰水のTwitterアカウントは一時期フォローしていたものの、めんどうくさそうなキャラクターだったので…

姫ちゃん登場巻!『クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子』西尾維新

戯言シリーズの三作目 2002年刊行。ボリューム的には少しダウンして200頁弱。前作の半分程度である。 今回のヒロインはロリ系美少女の紫木一姫(ゆかりきいちひめ)。アルトリコーダー振り回している段階で激しくロリ度アップ(個人の見解である)。確実にク…

綾辻行人『びっくり館の殺人』館シリーズの8作目

綾辻行人のミステリーランド参加作品 2006年刊行。ミステリーランドは、故宇山秀雄が企画した「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリレーベルだ。箱装。箔押しの題字。フルカラーイラスト。図書館に収めるられることも想定してカバー無し、…