ネコショカ

Blog名変えました。ネコショカは「猫の書架」
雑食系の書評Blogです。なんでも読みます
基本ネタバレありなので注意してね。

ミステリ

佐々木丸美「館」シリーズ3部作を読む(1)『崖の館』いまは亡き王女のために

前回から少し間が空いてしまったけど、佐々木丸美作品の全作レビュー第二期、「館」シリーズ編をスタートしてみよう。まずはシリーズ一作目の『崖の館』の登場である。 佐々木丸美「館」シリーズの一作目 1977年作品。デビュー作の『雪の断章』の次に書かれ…

地方都市のうつろいゆく春夏秋冬 米澤穂信『遠まわりする雛』

古典部の春夏秋冬を描いたシリーズ初の短編集 2007年刊行。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』に続く、古典部シリーズの四作目。 2002年から2007年にかけて、雑誌「ザ・スニーカー」「野生時代」に掲載された作品を集めた短編集。最後に収…

犯人は読者!究極のトリックを描く、深水黎一郎『ウルチモ・トルッコ』

表紙を見ると犯人の顔が映る装丁! 2007年刊行。第36回のメフィスト賞受賞作品。タイトルの「ウルチモ・トルッコ」はイタリア語で究極のトリックを意味する。 既にサブタイトルにいきなり物凄いネタバレが書いてある。「犯人はあなただ!」と。カバーを見る…

破局噴火がもたらす大惨事を描いた災害小説『死都日本』

いきなりハードカバーで登場したメフィスト賞受賞作 2002年刊行。第26回メフィスト賞受賞作。 通常のメフィスト賞作品はノベルスで出るのが常だけれど、講談社的に自信作だったのか、そこそこレベルの高い作品の場合、いきなりハードカバーで勝負を賭けてく…

ホラーと思わせておいて、しっかり本格ミステリ、小野不由美『くらのかみ』

講談社ミステリーランドの第一期作品 2003年刊行。かつて子どもだったあなたと少年少女のための"講談社ミステリーランド"と銘打たれた特別企画の豪華本である。2016年で全30巻をもって完結している。 第一回の配本は本書『くらのかみ』に加えて、『透明人間…

文化祭小説の楽しさと直面するそろぞれの限界『クドリャフカの順番』

古典部シリーズ第三作目 2005年刊行。『氷菓』そして『愚者のエンドロール』に続く米澤穂信の古典部シリーズ第三作。三年振りのシリーズ再開だが、評価が上がったのか文庫ではなくソフトカバー版での刊行である。 前作の『愚者のエンドロール』はアントニイ…

ライトノベル×ホラーの越境アンソロジー『悪夢制御装置』

スニーカー・ミステリ倶楽部のアンソロジーシリーズ第五弾 2002年刊行。短命に終わったスニーカー・ミステリ倶楽部だが、ライトノベルユーザに向けのミステリ啓蒙本として、一般作家によるアンソロジー(短編集)を数冊刊行していた。 ラインナップは以下の通…

往年の「孤島モノ」作品への言及が楽しい、古野まほろ『天帝の愛でたまう孤島』

シリーズ三作目は孤島モノ 2007年刊行。シリーズ三作目。 デビュー作の『天帝のはしたなき果実』が2007年の1月刊行。第二作の『天帝のつかわせる御矢』が2007年の6月刊行。そして本作が2007年の10月刊行なのだけど、全作500頁を超える大ボリュームなのに、こ…

非日常の希求と哲学的な意味、米澤穂信『さよなら妖精』そして『花冠の日』

米澤穂信の出世作 米澤穂信の三作目。2004年刊行。東京創元社のミステリ・フロンティア枠で刊行された作品。2001年の『氷菓』、そして2002年の『愚者のエンドロール』から二年の沈黙を経て久々に出た新刊が本作である。2005年版の「このミス」では国内20位に…

平穏なままに年齢を重ねていくことへの怖れ、トマス・H・クック『死の記憶』

過去から蘇る「死の記憶」 1999年刊行。オリジナルの米国版は1993年に刊行されている。ちなみに、原題はまさにそのまんまな『Mortal Momory』である。 書影の帯を見て頂くとわかると思うが、『緋色の記憶』のトマス・H・クックとある。つまり日本国内では『緋…

辻村深月『冷たい校舎の時は止まる 下』感動的な力業で綺麗に物語が収束してた!

二週にわたって続けてきた、『冷たい校舎の時は止まる』感想の続き。 連続刊行の最終巻 第31回のメフィスト賞受賞作品。上・中・下の3分冊で2004年の6月~8月にかけて、毎月連続刊行されていた。 上巻ではややもたついていた感があったけど、中巻で登場人物の…

米澤穂信の古典部シリーズ第二作『愚者のエンドロール』

古典部シリーズ第二作 2002年刊行。『氷菓』に続く米澤穂信の古典部シリーズ第二作である。 こちらも当初はスニーカー文庫のミステリ倶楽部枠で刊行され、現在は通常の角川文庫版に切り替わっている。表紙のデザインがまるで違うね。 愚者のエンドロール (角…

怪談仕立てのミステリ、輪渡颯介『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』

メフィスト賞初の時代小説 2008年刊行。第38回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞としては初の時代小説である。 2010年に文庫版が刊行されている。 掘割で笑う女<浪人左門あやかし指南> (講談社文庫) 作者: 輪渡颯介 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/01…

辻村深月『冷たい校舎の時は止まる 中巻』コミカライズ版についても書いてみた

先週の『冷たい校舎の時は止まる』感想の続き。本日は中巻。 www.nununi.site 連続刊行の二冊目 第31回のメフィスト賞受賞作品。上・中・下の3分冊で2004年の6月~8月にかけて、毎月連続刊行されていた。本編はその中編部分である。 今思えば、この話、寒い冬…

米澤穂信のデビュー作にして、古典部シリーズの一作目『氷菓』

米澤穂信のデビュー作 2001年刊行。第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞作。同大賞はこの年から、ヤングミステリー&ホラー部門を創設しており、当該部門で、奨励賞を受賞したのが本作だ。米澤穂信のデビュー作である。 2001年は角川スニーカー文庫に、サブレー…

辻村深月のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる 上巻』

辻村深月のデビュー作 2004年刊行。第31回のメフィスト賞受賞作品。同賞では、初の試みとして上・中・下の3分冊で6月~8月の三か月にかけて連続刊行された。 2007年の文庫化に際して、上下巻の二巻構成に改められている。 冷たい校舎の時は止まる(上) (講談…

佐々木丸美『風花の里』 「孤児」シリーズ4部作を読む(4)おまけ付

12月中旬には読み終わっていたのだが、年末年始企画を挟んでしまったので、感想をお届けするのが遅くなってしまった。『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』と読み進めてきた、佐々木丸美の「孤児」シリーズ、最後の一冊である『風花の里』をご紹介しよう。 …

佐々木丸美『花嫁人形』 「孤児」シリーズ4部作を読む(3)

佐々木丸美作「孤児」シリーズの三作目。『花嫁人形』の感想と考察。 1979年の講談社オリジナル版から、その後の復刊状況までをまとめています。 シリーズの他作品の感想もあり。

メフィスト賞受賞作、浅暮三文の『ダブ(エ)ストン街道』は異色のミステリ作品

第8回メフィスト賞受賞作 1998年刊行。第8回のメフィスト賞受賞作だが、ノベルスの形態でなく、単行本として上梓された。メフィスト賞と言えば、講談社ノベルスで受賞作が刊行されるという印象が強いが、たまにこういう例外がある。第26回の石黒耀『死都日本…

佐々木丸美『忘れな草』 「孤児」シリーズ4部作を読む(2)

佐々木丸美作「孤児」シリーズの二作目。『忘れな草』の感想と考察。 1978年の講談社オリジナル版から、その後の復刊状況までをまとめています。 シリーズの他作品の感想もあり。

古野まほろ『天帝のつかわせる御矢』シリーズ第二弾は豪華列車内での密室殺人事件

「天帝」シリーズ第二弾! 2007年刊行。シリーズ二作目。 天帝のつかわせる御矢 (講談社ノベルス) 作者: 古野まほろ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2007/06/08 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 19回 この商品を含むブログ (60件) を見る 2012年に幻冬…

佐々木丸美『雪の断章』 「孤児」シリーズ4部作を読む(1)

佐々木丸美のデビュー作。そして「孤児」シリーズの一作目。監督・相米慎二、主演・斉藤由貴で映画化もされた『雪の断章』の感想と考察。映画版のキャスト一覧、コメント。 1975年の講談社オリジナル版から、その後の復刊状況までをまとめています。 シリーズ…

トマス・H・クック「夜の記憶」幼き日の心の闇に向き合うこと

過去と現実、虚構と真実が混ざり合う幼い日の物語 今週のお題「読書の秋」もそろそろ終盤。というか、このお題いつまで続くの?ま、読書Blog的にはありがたいけど。 さて、本日ご紹介するのはトマス・H・クックのこちらの作品。クック作品を紹介するのは前回の…

有川浩の第二作品「空の中」は特撮マインド全開の会心作

二作目にしてハードカバーで登場 今週のお題「読書の秋」、本日はこちら。 2004年刊行。『塩の街』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞した有川浩の第二作が本書。電撃文庫デビューの作家が、なんと二作目でハードカバーで登場である。この作家のブレイク作品…

宮部みゆき「模倣犯」最後で明らかになるタイトルの意味に戦慄

2002年の「このミス」第一位作品 今週のお題「読書の秋」本日紹介するのはこちら。 模倣犯〈上〉 作者: 宮部みゆき 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2001/03/01 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 201回 この商品を含むブログ (180件) を見る 模倣犯〈…

犬を探す探偵の物語 米澤穂信「犬はどこだ」

米澤穂信初の大人が主人公の作品 犬はどこだ (創元推理文庫) 作者: 米澤穂信 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2008/02/29 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 60回 この商品を含むブログ (145件) を見る 紺屋S&Rシリーズの第一弾、ではあるが、今のと…

追憶の中の物語、トマス・H・クック「緋色の記憶」

アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)受賞作 緋色の記憶 (文春文庫) 作者: トマス・H.クック,Thomas H. Cook,鴻巣友季子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1998/03/01 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 23回 この商品を含むブログ (39件) を見る 1998…

名作「イニシエーション・ラブ」を原作、映画版、オーディブル版で読み比べてみた

乾くるみの「イニシエーション・ラブ」のネタバレ感想。静岡県小説、80年代小説としての特徴について書いてみた。 原作とラストが違う映画版、更にオーディブル(オーディオドラマ)版の感想もあります。

佐藤賢一「カルチェ・ラタン」は16世紀のパリを舞台とした連作短編小説

16世紀のパリを舞台とした成長物語 カルチェ・ラタン (集英社文庫) 作者: 佐藤賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2003/08/20 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 8回 この商品を含むブログ (16件) を見る 2000年作品。佐藤賢一、七作目の作品。お得意の…

「殺人鬼の放課後」はライトノベルレーベル×ミステリの越境アンソロジー

内容はこんな感じ 殺人鬼の放課後―ミステリ・アンソロジー〈2〉 (角川スニーカー文庫) 作者: 恩田陸,新津きよみ,小林泰三,乙一,藤田新策 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2002/01 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (20件) を…