ネコショカ

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『ヤンキーと地元』打越正行
暴走族研究のため20年パシリとして潜入!

4つ★(おススメ!)

『時砂の王』小川一水 時をめぐる大いなる戦いの果てに

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行作品。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水(おがわいっすい)はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓してお…

『リセット』北村薫 <時と人>シリーズの三作目!

<時と人>シリーズの第三作 2001年刊行作品。作者の北村薫(きたむらかおる)は1949年生まれのミステリ作家。デビュー作は1989年の『空飛ぶ馬』。デビューから30年が経ち、御年も70歳を超えて、この世界では大ベテランの域にある作家と言っていい。 リセット …

『きょうの日はさようなら』一穂ミチ 90年代からやってきた「いとこ」と過ごす特別な夏

一穂ミチ初の非BL作品 一穂(いちほ)ミチは、もともと二次創作の世界で活躍していた人物で、その力量を買われて、新書館のBL雑誌「小説ディアプラス」の2007年ナツ号に『雪よ林檎の香のごとく』を発表し作家デビューを果たす。 以後、BL小説の書き手として5…

『夏へのトンネル、さよならの出口』八目迷 時間を代償に、欲しいものが手に入るなら?

八目迷のデビュー作 2019年刊行作品。作者の八目迷(はちもくめい)は1994年生まれのライトノベル作家。「僕がウラシマトンネルを抜ける時」が第13回の小学館ライトノベル大賞にて「ガガガ賞」と「審査員特別賞」を受賞。同作は『夏へのトンネル、さよならの…

『競漕海域』佐藤茂 第9回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作品

佐藤茂のデビュー作 1997年刊行作品。第9回の日本ファンタジーノベル大賞、優秀賞受賞作品である。作者の佐藤茂(さとうしげる)は1967年生まれ。 ちなみにこの年の大賞受賞作品は井村恭一の『ベイスボイルブック』であった。 なお、文庫化はされていない模…

『さみしさの周波数』乙一、最後のスニーカー文庫作品

「白い方」の乙一作品集 2003年作品。乙一(おついち)としては10作目の作品である。せつない系の短編群が集められた初期白乙一を代表する作品の一つと言える。 4編目の『失はれた物語』のみ書き下ろしで、それ以外は角川書店のライトノベル誌「ザ・スニーカ…

『虐殺器官』伊藤計劃 なぜ殺すのか、大量殺戮を招く“虐殺文法”とは何か?

伊藤計劃のデビュー作 2007年刊行作品。英題『Genocidal Organ』。第7回小松左京賞の最終候補作(ちなみにこの年は受賞作「なし」)で、選には漏れたが、早川書房のハヤカワSFシリーズJコレクションから書籍化された。 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレ…

『あの図書館の彼女たち』ジャネット・スケスリン・チャールズ 戦時の図書館で働いた女性たちの物語

ジャネット・スケスリン・チャールズの大ヒット作 本日ご紹介する『あの図書館の彼女たち』は、2022年刊行作品。訳者は髙山祥子。オリジナルの米国版は2020年刊行で、原題は『The Paris Library』。 作者のジャネット・スケスリン・チャールズ(Janet Skeslien C…

『黒い悪魔』佐藤賢一 黒い肌を持つフランス人将軍の物語

フランス革命を舞台とした立身出世物語 2002年刊行作品。文藝春秋の小説誌「オール讀物」の2002年1月号から12月号に連載されていた作品を単行本化したものである。 黒い悪魔 作者:佐藤 賢一 文藝春秋 Amazon 文春文庫版は2010年に登場している。 おススメ度…

『安徳天皇漂海記』宇月原晴明 漂泊する安徳帝、その奇想に痺れる

山本周五郎賞受賞作品 2006年刊行作品。本日ご紹介するのは宇月原晴明(うつきばら はるあき)の「安徳天皇漂海記(あんとくてんのうひょうかいき)」である。この年の山本周五郎賞受賞作品を受賞している。 宇月原晴明は1963年生まれ『信長 あるいは戴冠せ…

『冴子の母娘草』氷室冴子 母と娘の埋められない溝を描いたエッセイ

氷室冴子の捧腹絶倒エッセイが復刊! 1993年刊行作品。集英社のPR誌「青春と読書」に連載されていたものをまとめたもの。タイトルは「さえこのははこぐさ」と読む。氷室冴子(ひむろさえこ)のエッセイ作品としては七冊目の作品となる。イラストは宇田川のり…

『宇喜多の捨て嫁』木下昌輝 宇喜多直家を軸としたピカレスク歴史小説の良作

木下昌輝のデビュー作 作者の木下昌輝(きのしたまさき)は1974年生まれ。本作『宇喜多の捨て嫁』がオール讀物新人賞を受賞してデビュー。2014年刊行で、第152回直木賞候補作(西加奈子『サラバ!』が受賞した)。その他に、歴史時代作家クラブ賞、舟橋聖一…

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』杉井光 繰り返される夏休み最後の日

杉井光が描く、忘れられない夏の物語 2022年刊行作品。書き下ろし。作者の杉井光(すぎいひかる)は1978年生まれの小説家。第12回の電撃小説大賞で銀賞を取った2006年の『火目の巫女(ひめのみこ)』がデビュー作。多作で知られる人物で、これまでに三十作近…

『隷王戦記3 エルジャムカの神判』森山光太郎 人の運命は、人が決める

「隷王戦記」シリーズの最終巻 2022年4月刊行作品。『隷王戦記(れいおうせんき)1 フルースィーヤの血盟』『隷王戦記2 カイクバードの裁定』に続く、「隷王戦記」シリーズの完結編となる。 表紙イラストは引き続き、風間雷太(かざまらいた)が担当している…

『暗い旅』倉橋由美子 鎌倉、東京、そして京都へ、失われた愛を求めて

倉橋由美子の初長編作品 1961年刊行作品。最初の単行本は講談社の系列会社であった、いまは亡き東都書房から。続いて1969年に学芸書林版の単行本版が世に出ている。このあたりは、さすがに古すぎてAmazonでも書影が出ない。 最初の文庫版は新潮社から。こち…

『俺ではない炎上』浅倉秋成 Twitter炎上の怖さと「責任を取る」ということ

浅倉秋成の2022年最新作が登場 2022年刊行作品。書下ろし。2021年に『六人の嘘つきな大学生』が大ヒット。ブレイクを果たした感のある浅倉秋成の第七作である。 表紙はスマートフォンの画面を模したデザインとなっている。しかもその表面のガラスがヒビ割れ…

『とある飛空士への追憶』犬村小六 絶世の美姫との逃避行、「飛空士」シリーズの第一作

累計130万部超!犬村小六の出世作 2008年刊行作品。ネットで話題になったので購入(当時)。初めて読んだガガガ文庫は本作だった気がする。作者の犬村小六(いぬむらころく)は1971年生まれのライトノベル作家。 ゲーム系のライターとしてキャリアをスタート…

『はなとゆめ』冲方丁 清少納言と中宮定子、『枕草子』誕生の物語

冲方丁、三作目の歴史小説 2013年刊行作品。冲方丁(うぶかたとう)は、2009年の『天地明察(てんちめいさつ)』から歴史小説を書くようになった。2012年には二冊目の歴史小説となる『光圀伝』を上梓。そして三作目の歴史小説となるのが本作『はなとゆめ』で…

『ベルリンは晴れているか』深緑野分、弱者が弱者を虐げる世界で

2019年の本屋大賞第3位、直木候補作 2018年刊行作品。直木候補作、2019年の本屋大賞第3位にランクインした作品である。 その他、この年のミステリ系各ランキングで、『このミステリーがすごい! 』が第2位、『週刊文春』ミステリーベスト10 で第3位、「ミス…

『ソーネチカ』リュドミラ・ウリツカヤ すべてを受け入れることと本の中の世界の救済

リュドミラ・ウリツカヤの出世作 2002年刊行作品。新潮社の外国文学レーベル新潮クレスト・ブックスからの登場。オリジナルのロシア版は1992年に発表されている。原題は『Сонечка』。 作者のリュドミラ・ウリツカヤ(Людмила Улицкая)は1943年生まれのロシア人…

『八本目の槍』今村翔吾 人生は選択の連続、もう同じ夢はみられない

ブレイク目前、今村翔吾の話題作 今村翔吾(いまむらしょうご)は1984年生まれの、時代小説、歴史小説作家である。デビュー作は2017年の『火喰鳥』(羽州ぼろ鳶組シリーズ)。2019年の『童の神』、2020年の『じんかん』がそれぞれ直木賞候補作に。そして2021…

『なめらかな世界と、その敵』伴名練 「ベストSF2019」国内篇第1位!寡作作家、初のエスエフ短編集

伴名練(はんなれん)『なめらかな世界と、その敵』に収録されている6編全てのあらすじ(内容)と、ネタバレ感想を収録しています。文庫版にも対応。

『ミミズクと夜の王 完全版』紅玉いづき 二つの魂の再生の日々、前日譚短編も追加収録!

電撃タイトルとしては異例づくめのデビュー作 2007年刊行作品。第13回電撃小説大賞大賞受賞作。作者の紅玉(こうぎょく)いづきは1984年生まれの小説家。本作がデビュー作となる。発売年の「このラノ2008」で第七位。これは新人でしかも単発作品の中では最高…

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』宇月原晴明、衝撃のデビュー作

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品 1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。宇月原晴明のデビュー作である。宇月原晴明(うつきばらはるあき)は1963年生まれ。デビューまでに第六回三田文学新人賞を受賞。永原孝道名義で、詩歌…

『ブッチャー・ボーイ』パトリック・マッケイブ むき出しの蔑視と悪意、絶望の中を堕ちていく

パトリック・マッケイブの出世作 2022年刊行作品。オリジナル版は1992年に刊行されており原題は『The Butcher Boy』。作者のパトリック・マッケイブ(Patrick McCabe)は1955年生まれのアイルランド人作家。『ブッチャー・ボーイ』が四作目。 本作はイギリスの…

『航路』コニー・ウィリス 臨死体験と死後の世界

驚愕の超絶展開が楽しめる一作 2002年刊行作品。単行本版はソニーマガジンズから。 作者のコニー・ウィリス(Constance Elaine Trimmer Willis)は1945年生まれのアメリカ人SF作家である。 原著『PASSAGE』は2001年に米国で刊行されている。米国ローカス賞のS…

『鬼憑き十兵衛』大塚已愛 成長物語、ボーイミーツガール、伝奇小説の愉しみ、全てがここにある!

2018年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作 2019年刊行作品。大塚已愛(おおつかいちか)のデビュー作である。2018年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作だ。ちなみに応募時タイトルは『勿怪の憑』。 表紙イラストは獅子猿(ししざる)によるもの。 作者の大…

『感応グラン=ギニョル』空木春宵 たぐいまれな奇想、傷みと呪縛からの解放をえがく

空木春宵、初の作品集 2021年刊行作品。東京創元社のミステリ誌『ミステリーズ!』や、アンソロジーシリーズ「GENESiS」、Webメディアの「Webミステリーズ!」などに掲載されていた作品を単行本化したもの。早川書房の『SFが読みたい! 2022年版』の「ベストSF…

『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』大澤めぐみ 繋がらなかった縁と繋がった縁の物語。

毎年紹介している気がするけど、卒業シーズンなのでこの一冊を推したい。昨年松本に行ってきたので「6番線」の写真を撮ってきたよ! 大澤めぐみの三作目 2017年刊行作品。大澤めぐみは小説投稿サイト「カクヨム」出身の作家。2016年の角川スニーカー文庫の『…

『いまさら翼といわれても』米澤穂信 古典部シリーズの六作目

六年ぶりの古典部シリーズ 2016年刊行作品。KADOKAWAの文芸誌、『野性時代』『文芸カドカワ』に掲載されていた短編作品をまとめたもの。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』に続く、古典部シリー…