ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

小説

『羊と鋼の森』宮下奈都 唯一無二の「森」に出会えた人生

第13回本屋大賞受賞作 2015年刊行作品。第13回の本屋大賞受賞作品。『羊と鋼の森』は「ひつじとはがねのもり」と読む(わりとそのまんま)。文庫の帯なんかだと「伝説の三冠を達成!」などとあるが、本屋大賞のほかに、第4回ブランチブックアワード大賞2015、…

『また、同じ夢を見ていた』住野よる 人生と幸せの意味

「キミスイ」後の住野よる二作目の作品 2016年刊行作品。大ヒット作となった『君の膵臓をたべたい』に続く、住野よるの第二作である。デビュー作があれだけ売れると、第二作はさぞかしプレッシャーになるのではと思うのだが、また少し違ったタイプの作品を書…

川口俊和『思い出が消えないうちに』明日世界が終るとしても

不思議な喫茶店の物語第三弾 2018年刊行作品。『コーヒーの冷めないうちに』『この嘘がばれないうちに』に続く、シリーズの三作目である。 今回の帯によるとシリーズ100万部突破とのこと。スゲー!こういう直球で泣かしに来る作品はやっぱり当たると爆発力が…

『コンビネーション』谷山由紀のデビュー作は野球小説!

ライトノベルには珍しいプロ野球小説 1995年刊行作品。谷山由紀のデビュー作となる。今は亡き朝日ソノラマの小説誌「グリフォン」に93年投稿の「コンビネーション(本作ではジンクスに改題)」に始まり、以後数年をかけて執筆された連作短編集である。 古い…

『失踪HOLIDAY』は白乙一系の初期作品

乙一初のスニーカー文庫作品 2000年刊行作品。 乙一(おついち)としては四作目の作品。JUMP j BOOKSの『夏と花火と私の死体』でデビューし、その後集英社メインで作品を発表してきたこの作家としては、初めての他社作品ということになる。もちろんスニーカ…

大人の夏休み?『夏の朝の成層圏』池澤夏樹

池澤夏樹、最初の長編作品 1984年刊行作品。翻訳家、詩人として既に活動していた池澤夏樹が、初めて送り出した長編小説が本作である。 中公文庫版は1990年に刊行されている。 夏の朝の成層圏 (中公文庫) 作者: 池澤夏樹 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日:…

無茶なサッカーバトルが笑える『聖女チェレステ団の悪童』ステファノ・ベンニ

イタリアのベストセラー作品 1995年刊行作品。原題「Compagnia dei Celestini」でオリジナルのイタリア版は1992年刊行。作者のステファノ・ベンニ(Stefano Benni)はイタリア人作家で1947年生まれ。邦訳されている作品は少ないながらも、本国では相応の実績…

イヌから読み解く異色の現代史『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男

二人称で描かれる異色の現代史 2005年刊行作品。古川日出男としては10作目。あまりお目にかかることが無い、二人称形態で書かれた小説作品である。 戦時下に置き去りにされた四頭のイヌのその後を描く章と、現代のロシアの物語が交互に描かれていく。イヌに…

川口俊和『この嘘がばれないうちに』数ちゃんの秘密が明らかに

『コーヒーの冷めないうちに』の続編が登場 2017年刊行。『コーヒーの冷めないうちに』シリーズの二作目。一作目は演劇作品を小説化したものであったが、続編の本作は最初から小説として書かれたのかなのかな? 本ブログは原則としてネタバレありでお届けし…

川口俊和『コーヒーの冷めないうちに』演劇作品から生まれたベストセラー

オリジナルは演劇作品だった 2015年刊行。もともとは戯曲として書き下ろされていた作品を、小説として書き直したもの。2017年の本屋大賞では第10位にランクインしている。 コーヒーが冷めないうちに1110プロヂュース主宰の川口俊和が2010年に当時、演劇ワー…

展開の読めなさ加減が凄い!古川日出男『サウンドトラック』

とにかく展開が読めない作品 2003年刊行。いやホントにもう古川日出男作品の展開の読めなさ加減は異常。この読めなさ加減を楽しむ一冊である。 文庫版は2006年に登場。この際に上下巻構成に改められている。 サウンドトラック 上 (集英社文庫) 作者: 古川日…

「バッテリー」シリーズのその後を描いた『ラスト・イニング』

「バッテリー」シリーズ待望の外伝作品 「バッテリー」シリーズは、正編6冊の感想を書いたものの、長らく本書の存在を知らずにいたので、遅まきながら入手して読んでみたよ。 本作は2007年刊行。新田東対横手の再試合と、その後を描いた「マウンドへと」「白…

完結に20年かかった新井素子の『ブラック・キャット』シリーズを振り返る

今日は昭和の作品(後半は平成だけど)の登場である。既にコラムとして『ネリマ大好き』の感想をお届けしているが、小説作品を紹介するのがこれが初めてになる。新井素子は十代の自分がもっとも影響を受けた作家のひとりなのである。 本ブログの存在意義の一…

思考から文字の概念が失われたら?古川日出男の『アビシニアン』を読む

今週のお題「2019年の抱負」、古川日出男作品のレビューを書く! というか、小説の類をこの10年程、読んでいないので、未読の古川作品がメチャたくさんあるのだ。まずは、この未読の山をなんとかしていかないとね。 本日ご紹介するのは、古川日出男の最初期…

あさのあつこ『バッテリーVI』遂に完結巻&100エントリ目!

これで100エントリ目!(たぶん)。なんとか年内に100本書けた。最初の100本はBlogの基礎体力と言うことで、早めに書いておきたかったので一安心。とりあえず、年内は毎日更新を続ける予定。 この三連休は、寝たきりで療養に専念していたので、足の痛みはか…

『汝ふたたび故郷へ帰れず』は飯嶋和一の希少な現代モノ作品集

飯嶋和一の貴重な現代小説集 2000年刊行。河出書房新社主催の第25回文藝賞受賞作である表題作に加え、講談社主催の第40回小説現代新人賞を受賞した『プロミスト・ランド』他、1編を収録した作品集。 汝ふたたび故郷へ帰れず リバイバル版 作者: 飯嶋和一 出…

あさのあつこ『バッテリーV』運命の再戦の日が近付く

いよいよ終わりが見えてきた? ここ数年、この時期に起きる、軽く風邪をひく⇒持病の喘息が悪化するのコンボが発動した。咳のし過ぎで日夜腹筋を鍛えられ中(意訳、苦しい)。 さて、毎週月曜日は長編シリーズの感想を書く日(なんとなく勝手に決めた)。とい…

森絵都『つきのふね』空から救いの船は降りてこない

マイファースト森絵都作品 1998年に刊行された単行本を2005年に文庫化したもの。野間児童文芸書受賞作品。わたし的には本作が初森絵都である。たくさん作品が出ているので、どれから読むべきか迷ったけど、一番薄っぺらいのからチャレンジしてみた。 つきの…

あさのあつこ『バッテリーIV』初めての挫折にどう立ち向かう?

物語も後半戦に突入 毎週月曜日にお届けしている、あさのあつこ作『バッテリー』シリーズの感想も本日で四回目。全6巻構成なので、本巻から物語も後半戦である。 バッテリーIV (角川文庫) 作者: あさのあつこ 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: …

神秘の旋律ルコの魅力、古川日出男の『沈黙』

古川日出男の三作目 沈黙 作者: 古川日出男 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 1999/07/01 メディア: 単行本 クリック: 7回 この商品を含むブログ (14件) を見る 1999年刊行。相変わらずストーリーの説明がしにくいな。やはりこの人は天才系の作家だなと思っ…

平山瑞穂の三作目はまさかの糖尿病小説『シュガーな俺』

自身の体験を元にした糖尿病小説! 2006年刊行。『ラス・マンチャス通信』『忘れないと誓ったぼくがいた』に続く、平山瑞穂の三作目。 帯のコピー曰く、なんと世界初の糖尿病小説らしい。33歳の若さで糖尿病と診断されてしまった作者自身の経験に基づくオート…

あさのあつこ『バッテリーIII』オッサンたちの描写が好き

ようやく折り返しポイントに 月曜日なので今週も「バッテリー」シリーズの感想をお届け~。 バッテリーIII (角川文庫) 作者: あさのあつこ 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 教育画…

あさのあつこ「バッテリーII」現実の壁と見えてきた大人たちの世界

二作目からは中学生編 今週のお題「読書の秋」、あれ、今週のお題長くない?まあ、更新ネタになるのでありがたく使わせて頂くけど、、さて本日はこちら。当面は月曜日は「バッテリー」シリーズを毎週ご紹介していく予定。 教育画劇より1998年に刊行されてい…

あさのあつこ「バッテリー」高まる名作の予感

シリーズ累計発行部数1,000万部越えの超ベストセラー 今週のお題「読書の秋」に便乗して、本日は「バッテリー」全6巻のうち、一作目の感想を書いてみた。このエントリを書くために調べてみたけど、いつの間にかこの作品、シリーズ累計発行部数1,000万部突破…

平山瑞穂の二作目「忘れないと誓ったぼくがいた」は切なさあふれる恋愛モノ

平山瑞穂の第二作品 忘れないと誓ったぼくがいた(新潮文庫) 作者: 平山瑞穂 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/03/13 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 2006年刊行。『ラス・マンチャス通信』の平山瑞穂が、ファンタジーノベル大賞受賞後…

ロケットものの良作、川端裕人「夏のロケット」

川端裕人のデビュー作 夏のロケット (文春文庫) 作者: 川端裕人 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2002/05/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 34回 この商品を含むブログ (100件) を見る 1998年作品。第15回のサントリーミステリー大賞の優秀作品賞受…

ベルンハルト・シュリンク「朗読者」誇り高きひとりの女の物語

映画「愛を読むひと」の原作小説、出来れば事前情報なしで読みたい 朗読者 (新潮文庫) 作者: ベルンハルトシュリンク,Bernhard Schlink,松永美穂 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/05/28 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 104回 この商品を含むブロ…

津原泰水『ブラバン』ビターな味わい吹奏楽部小説の名作

津原泰水の吹奏楽部小説『ブラバン』のあらすじとネタバレ感想。楽曲音源リンクあり。 20年ぶりにかつての吹奏楽部を復活させようとする主人公が直面する、懐かしい面々とビターな現実。 高校時代を40歳の現代を行きつ戻りつしながら、描かれる青春の残響が…