ネコショカ

夜20時更新。雑食系の書評Blogです。
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ブックレコメンドへの寄稿始めました

日本史

『廃帝綺譚』宇月原晴明 順帝、建文帝、崇禎帝、そして後鳥羽院の物語

『安徳天皇漂海記』とあわせて読みたい 2007年刊行作品。宇月原晴明(うつきばらはるあき)としては六作目の作品にあたる。ミルキィ・イソベの表紙デザインが美しい。 タイトルや表紙デザインから想像がつく方もおられるかもしれないが、本作は2006年に上梓さ…

『大江戸死体考―人斬り浅右衛門の時代』氏家幹人 大都市江戸のアンダーワールド

江戸のアンダーワールドを知る 1999年刊行。筆者の氏家幹人は1954年生まれの歴史学者。朝日カルチャーセンター掲載のプロフィールによると国立公文書館で勤務されていた方らしい。講談社現代新書の『武士道とエロス』『江戸の性風俗』など、江戸時代について…

『江戸の町は骨だらけ』鈴木理生 「骨」視点で江戸の歴史を振り返る

2002年刊行。筆者の鈴木理生(すずき まさお)は1926年生まれの歴史研究家。2015年に亡くなられている。「江戸」について数多くの著作を持つ。 江戸の町は骨だらけ 作者:鈴木 理生 発売日: 2002/01/01 メディア: 単行本 ちくま学芸文庫版は2004年に登場。い…

『女信長』佐藤賢一 織田信長女体化の先駆的作品

2006年刊行。信長女体化モノの先駆け作品!佐藤賢一初の日本史作品『女信長』の感想。考察。 信長が実は女だった!というトンデモ視点で既存の信長物語を綺麗にひっくりかえして見せた作品です。

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』宇月原晴明、衝撃のデビュー作

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品 1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。宇月原晴明のデビュー作である。宇月原晴明(うつきばらはるあき)は1963年生まれ。デビューまでに第六回三田文学新人賞を受賞。永原孝道名義で、詩歌…

『関ヶ原連判状』安部龍太郎 直木賞作家の出世作

安部龍太郎のブレイク作品 1996年刊行作品。作者の安部龍太郎(あべ りゅうたろう)は1955年生まれ。1987年にデビューして、ほぼ一貫して歴史小説の書き手として活躍している。2012年には織豊政権下で活躍した絵師、長谷川等伯の生涯を描いた『等伯』で直木…

『天王船』宇月原晴明『黎明に叛くもの』外伝が素晴らしい!

『黎明に叛くもの』の外伝的な作品 2006年刊行作品。先日紹介した『黎明に叛くもの』の外伝。 分冊(ノベルズ)版の『黎明に叛くもの』4冊にそれぞれ入っていた外伝作品を文庫一冊にまとめたものが本書。単独で読んでも楽しめるとは思うが、やはり本編を先に…

『黎明に叛くもの』宇月原晴明の三作目は松永久秀の一代記

宇月原晴明の第三作 2003年刊行。『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』に続く、宇月原晴明(うつきばら はるあき)三作目の作品。 美しい装丁に惚れ惚れ。このハードカバー版が出て、わずか三ヶ月後に四分冊のノベル…

『壬生義士伝』浅田次郎 守銭奴と蔑まれた新撰組隊士の物語

浅田次郎、初の時代小説 2000年刊行作品。もともとは「文藝春秋」誌に1998年~2000年にかけて連載されていたもの。タイトルの『壬生義士伝』は「みぶぎしでん」と読む。 日本を舞台とした歴史小説は、浅田次郎としては初めての作品となる。第13回の柴田錬三…

『東京の地霊(ゲニウス・ロキ)』鈴木博之 歴史的因縁が土地にもたらすもの

サントリー学芸賞受賞作品 筆者の鈴木博之(すずきひろゆき)は建築史家。東京大学や、青山大学の教授を歴任。東大の名誉教授にもなり、2014年に68歳で亡くなっている。 本作は1990年刊行。サントリーが主催する学術賞、サントリー学芸賞を受賞している。 東…

『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』宇月原晴明の二作目 伝奇小説好き必読の一作

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次の物語 本作は2002年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に続く宇月原晴明(うつきばらはるあき)の二作目である。分量にして約二倍、568ページの圧倒的な長大ボ…

『伊予小松藩会所日記』増川宏一 馬が一頭しかいなかった小藩が残した日常の記録

一万石の小藩が残した150年間の記録 2001年の本書刊行当時、わたしはたまたま松山を訪れていた。銀天街の書店にて手書きポップの威力に負け購入してしまった一冊がコレ。ご当地ものには弱いのだ。 本書は、伊予小松藩(現在の愛媛県西条市小松町)に残されて…

『大津絵』クリストフ・マルケ 江戸時代の人々に愛された庶民画の世界

フランス人研究者による「大津絵」ガイドブック 2016年刊行。筆者のクリストフ・マルケは1965年生まれ。フランス人で、日本近世・近代美術史と、出版文化史の研究者である。 オリジナルのフランス版は2015年に刊行されている。フランスで書かれたガイドブッ…

『安徳天皇漂海記』宇月原晴明 漂泊する安徳帝、その奇想に痺れる

山本周五郎賞受賞作品 2006年刊行作品。本日ご紹介するのは宇月原晴明(うつきばら はるあき)の「安徳天皇漂海記」である。この年の山本周五郎賞受賞作品を受賞している。 宇月原晴明は1963年生まれ『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』で、第11回日…

『鬼憑き十兵衛』大塚已愛 成長物語、ボーイミーツガール、伝奇小説の愉しみ、全てがここにある!

2018年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作 2019年刊行作品。大塚已愛(おおつかいちか)のデビュー作である。2018年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作だ。ちなみに応募時タイトルは『勿怪の憑』。 作者の大塚已愛は『ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲…

中公新書『藩とはなにか 「江戸の泰平」はいかに誕生したか』藤田達生 感想

軍拡バブルの弾けたあとに 2019年刊行。筆者の藤田達生(ふじたたつお)は、三重大学、同大学院の教授で、専攻は日本近世国家成立史の研究。 内容はこんな感じ 安土桃山時代から江戸時代へ。戦乱の続いた時代から太平の世へ。この国の社会基盤は大きな変容を…

『新選組血風録』司馬遼太郎による新撰組オールスター短編集

半世紀以上前に書かれた司馬遼太郎の傑作 1964年刊行作品。1962年に「小説中央公論」誌に連載されていた作品である。 さすがに当時の書籍はAmazonでも売っていないので、新装改版の方をリンク。 新装改版 新選組血風録 作者: 司馬遼太郎 出版社/メーカー: 中…

『時砂の王』小川一水、初の時間SF

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓しており、ブレイクモードに入…

赤神諒『大友二階崩れ』義と愛どちらを選ぶべきか?

第9回日経小説大賞受賞作 2018年刊行作品。第9回の日経小説大賞の受賞作である。作者の赤神諒(神は旧字)は1972年生まれ。本名は、越智敏裕。上智大学法科大学院の現役教授で、弁護士。 赤神諒の恐ろしいところは、デビュー後の異常な量産ぶりである。本作…

阿部暁子『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』が面白い!

阿部暁子初の一般レーベル作品 2018年刊行作品。集英社文庫での描き下ろしである。 作者の阿部暁子は1985年生まれ。これまで集英社コバルト文庫や、オレンジ文庫で作品を上梓して来た阿部暁子としては、初の一般向けレーベルからの作品刊行となる。歴史小説…

佐伯有清『高丘親王入唐記』~『航海記』と共に読みたい一冊

数少ない高丘親王研究本 2002年刊行。筆者の佐伯有清(ありきよ)は1925年生まれの歴史学者。北海道大学、成城大学の教授を歴任。2005年に他界されている。 『高丘親王入唐記』の入唐は(にっとう)と読む。「入⇒にふ」の促音化なのか?、当時の中国語の音を…

『屋根の日本史』原田多加司 職人が教える日本伝統建築の魅力

屋根職人のエキスパートが教えてくれる 2004年刊行。中公新書。筆者は1951年生まれ。地方銀行勤務から実家の檜皮葺師への道に入り十代目原田真光を襲名している。国宝、重文級の建築物の修復を数多く手がけてきた屋根職人のエキスパートである。 内容はこん…

蘇我氏も平家も滅亡していなかった!『女系図でみる驚きの日本史』

蘇我氏も平家も滅亡していなかった! 2017年刊行。筆者は1961年生まれ。歴史系の著作多数。以前に読んだ『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』が面白かったので、今回も手に取って見た次第。 大切なのは「胤より腹」。家は絶えても血は残る。歴史…

希代の朱印船貿易家の物語、飯嶋和一『黄金旅風』

希代の朱印船貿易家、末次平左衛門(二代目平蔵)の物語 2004年刊行。飯嶋和一の五作目の作品。 小学館文庫版は2008年に登場。 黄金旅風 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2008/02/06 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 39回 …

江戸時代に空を飛んだ男、鳥人幸吉の一代記『始祖鳥記』

江戸時代に空を飛んだ男がいた 2000年刊行作品。飯嶋和一(かずいち)としては、四作目の作品。 2002年に小学館文庫より文庫版がリリースされている。 始祖鳥記 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/11/06 メディア: 文庫 購…

『室町少年草子』室町ファン感涙、コバルト文庫で南北朝時代!阿部暁子

阿部暁子の第二作 2009年刊行。作者の阿部暁子は1985年生まれ。 かつて集英社のコバルト文庫で主催していた、今は亡きロマン大賞の出身者だ。 2008年に刊行されたデビュー作の『屋上ボーイズ』は公募賞であるロマン大賞の応募作なので、受賞後の第一作が本作…

2018年に読んで面白かった新書8選

マンガ編に続いて、「今年読んで」面白かったシリーズのその2。今回は新書編。 2018年に出た新書ではなく、「2018年に読んだ新書」が対象なので注意。特に順番とかは無しのテーマ別の順不同で。まだこのBlogを始める前に読んだものが多いので、本のアプリSt…

死屍累々、織田信長軍団の光と影『信長軍の司令官』

信長軍の変遷をたどる 2005年刊行。筆者は1943年生まれの戦国史研究家。 戦国ヲタは読んでおけという一冊。面白いぞ。尾張の小大名時代から、京都上洛時、伊勢攻め、浅倉浅井戦、本願寺攻め、そして本能寺直前まで。驚くほどのスピードで巨大化した信長軍の…

『「月給百円」サラリーマン』岩瀬彰 戦前の社畜も大変だった?

岩瀬彰の講談社現代新書『「月給百円」サラリーマン』の感想。 戦前のサラリーマン世帯の暮らしについて書かれている一冊です。 ちくま文庫の『「月給100円サラリーマン」の時代』はタイトル変わってますが、同じ内容です。

78年間に1011家!小田部雄次『華族-近代日本貴族の虚像と実像』が面白い

小田部雄次『華族-近代日本貴族の虚像と実像』(中公新書)のレビュー。 本書は2006年刊行。筆者の小田部雄次は立教大学出身。現在は静岡福祉大学の名誉教授。専攻は日本近現代史。 さすが中公新書。岩波、講談社現代新書と並んで、さすが新書御三家クラスと…