ネコショカ

毎日夜20時更新。ネコショカは猫の書架
雑食系の書評Blogです。なんでも節操なく読んでます
基本ネタバレありなので注意してね

日本史

『時砂の王』小川一水、初の時間SF

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓しており、ブレイクモードに入…

赤神諒『大友二階崩れ』義と愛どちらを選ぶべきか?

第9回日経小説大賞受賞作 2018年刊行作品。第9回の日経小説大賞の受賞作である。作者の赤神諒(神は旧字)は1972年生まれ。本名は、越智敏裕。上智大学法科大学院の現役教授で、弁護士。 赤神諒の恐ろしいところは、デビュー後の異常な量産ぶりである。本作…

阿部暁子『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』が面白い!

阿部暁子初の一般レーベル作品 2018年刊行作品。集英社文庫での描き下ろしである。 作者の阿部暁子は1985年生まれ。これまで集英社コバルト文庫や、オレンジ文庫で作品を上梓して来た阿部暁子としては、初の一般向けレーベルからの作品刊行となる。歴史小説…

佐伯有清『高丘親王入唐記』~『航海記』と共に読みたい一冊

数少ない高丘親王研究本 2002年刊行。筆者の佐伯有清(ありきよ)は1925年生まれの歴史学者。北海道大学、成城大学の教授を歴任。2005年に他界されている。 『高丘親王入唐記』の入唐は(にっとう)と読む。「入⇒にふ」の促音化なのか?、当時の中国語の音を…

職人が教える日本伝統建築の魅力、原田多加司『屋根の日本史』

屋根職人のエキスパートが教えてくれる 2004年刊行。中公新書。筆者は1951年生まれ。地方銀行勤務から実家の檜皮葺師への道に入り十代目原田真光を襲名している。国宝、重文級の建築物の修復を数多く手がけてきた屋根職人のエキスパートである。 内容はこん…

蘇我氏も平家も滅亡していなかった!『女系図でみる驚きの日本史』

蘇我氏も平家も滅亡していなかった! 2017年刊行。筆者は1961年生まれ。歴史系の著作多数。以前に読んだ『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』が面白かったので、今回も手に取って見た次第。 大切なのは「胤より腹」。家は絶えても血は残る。歴史…

希代の朱印船貿易家の物語、飯嶋和一『黄金旅風』

希代の朱印船貿易家、末次平左衛門(二代目平蔵)の物語 2004年刊行。飯嶋和一の五作目の作品。 小学館文庫版は2008年に登場。 黄金旅風 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2008/02/06 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 39回 …

江戸時代に空を飛んだ男、鳥人幸吉の一代記『始祖鳥記』

江戸時代に空を飛んだ男がいた 2000年刊行作品。飯嶋和一(かずいち)としては、四作目の作品。 2002年に小学館文庫より文庫版がリリースされている。 始祖鳥記 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/11/06 メディア: 文庫 購…

室町ファン感涙、コバルト文庫で南北朝時代!阿部暁子『室町少年草子』

阿部暁子の第二作 2009年刊行。作者の阿部暁子は1985年生まれ。 かつて集英社のコバルト文庫で主催していた、今は亡きロマン大賞の出身者だ。 2008年に刊行されたデビュー作の『屋上ボーイズ』は公募賞であるロマン大賞の応募作なので、受賞後の第一作が本作…

2018年に読んで面白かった新書8選

マンガ編に続いて、「今年読んで」面白かったシリーズのその2。今回は新書編。 2018年に出た新書ではなく、「2018年に読んだ新書」が対象なので注意。特に順番とかは無しのテーマ別の順不同で。まだこのBlogを始める前に読んだものが多いので、本のアプリSt…

死屍累々、織田信長軍団の光と影『信長軍の司令官』

信長軍の変遷をたどる 2005年刊行。筆者は1943年生まれの戦国史研究家。 戦国ヲタは読んでおけという一冊。面白いぞ。尾張の小大名時代から、京都上洛時、伊勢攻め、浅倉浅井戦、本願寺攻め、そして本能寺直前まで。驚くほどのスピードで巨大化した信長軍の…

戦前の社畜も大変だった?岩瀬彰の『「月給百円」サラリーマン』を読む

岩瀬彰の講談社現代新書『「月給百円」サラリーマン』の感想。 戦前のサラリーマン世帯の暮らしについて書かれている一冊です。 ちくま文庫の『「月給100円サラリーマン」の時代』はタイトル変わってますが、同じ内容です。

78年間に1011家!小田部雄次『華族-近代日本貴族の虚像と実像』が面白い

小田部雄次『華族-近代日本貴族の虚像と実像』(中公新書)のレビュー。 本書は2006年刊行。筆者の小田部雄次は立教大学出身。現在は静岡福祉大学の名誉教授。専攻は日本近現代史。 さすが中公新書。岩波、講談社現代新書と並んで、さすが新書御三家クラスと…

歴代斎王たちへの愛がほとばしる「斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史」を読む

専門家による斎宮と斎王のガイドブック 今週のお題「読書の秋」もそろそろ終盤、本日ご紹介するのはこちらの一冊。 斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史 (中公新書) 作者: 榎村寛之 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/09/20 メディア: 新書 この商品…

鈴木英治のデビュー作「義元謀殺」希少な今川視点の戦国モノ

角川春樹小説賞の特別賞受賞作品 義元謀殺 上 (ハルキ文庫 す 2-25 時代小説文庫) 作者: 鈴木英治 出版社/メーカー: 角川春樹事務所 発売日: 2010/09/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 義元謀殺 下 (ハルキ文庫 す 2-26 時代小説文庫) …

サラリーマン夢のリタイア生活を描く、加藤廣「信長の棺」

75歳作家のデビュー作 信長の棺〈上〉 (文春文庫) posted with ヨメレバ 加藤 廣 文藝春秋 2008-09-03 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 信長の棺〈下〉 (文春文庫) posted with ヨメレバ 加藤 廣 文藝春秋 2008-09-03 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天k…

普通の人間がまっとうに生きていくことで生まれる感動、宮部みゆき「蒲生邸事件」

SFにしてミステリ、宮部みゆきの20年過ぎても色褪せない名作 蒲生邸事件 上 (文春文庫) 作者: 宮部みゆき 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/11/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 蒲生邸事件 下 (文春文庫) 作者: 宮部みゆき 出版社/メー…

佐藤賢一「女信長」は織田信長女体化の先駆的作品

2006年刊行。信長女体化モノの先駆け作品!佐藤賢一初の日本史作品『女信長』の感想。考察。 信長が実は女だった!というトンデモ視点で既存の信長物語を綺麗にひっくりかえして見せた作品です。

「黎明に叛くもの」外伝「天王船」 (中央公論新社/中公文庫)も素晴らしいよ!

「天王船」は「黎明に叛くもの」の外伝 天王船 (中公文庫) 作者: 宇月原晴明 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2012/12/19 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 先日紹介した「黎明に叛くもの」の外伝。2006年刊行。分冊(ノベルズ)版「黎…

宇月原晴明に外れなし「黎明に叛くもの」(中央公論新社)も期待にたがわぬ傑作

三冊めは松永久秀! 黎明に叛くもの (中公文庫) 作者: 宇月原晴明 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2006/07 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (29件) を見る 2003年刊行。宇月原晴明三作目。美しい装丁に惚れ惚れ。この…

宇月原晴明、二作目は「聚楽 太閤の錬金窟」(新潮社)、こちらも快作にして怪作!

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次 聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫) 作者: 宇月原晴明 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/09 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (19件) を見る とりあえず、宇月原作品をしばらく…

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』宇月原晴明、衝撃のデビュー作

日本ファンタジーノベル大賞受賞作品 1999年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。 作者はデビューまでに第六回三田文学新人賞を受賞。永原孝道名義で、詩歌、評論などに著作がある。宇月原清明としては本作が処女作。第二作『聚楽太閤の錬金窟…

宇月原晴明『安徳天皇漂海記』漂泊する安徳帝、その奇想に痺れる

宇月原晴明作品は素晴らしいよね! 本日ご紹介するのは宇月原晴明の「安徳天皇漂海記」である。 2006年刊行。この年の山本周五郎賞受賞作品。山本周五郎賞って、直木賞の残念賞扱いでいいんだっけか?壇ノ浦の合戦で崩御した筈の安徳天皇が、神器真床追衾(ま…

安部龍太郎「関ヶ原連判状」上・下(新潮社/新潮文庫)

普通の感想も書くことにしました 当初は地図と絡めた書評だけアップしていくつもりだったのですが、この条件だと本を読んでもなかなか更新できず、せっかく作ったBlogを放置しておくのもどうか思うので、過去に読んだ本含め、適宜、レビューをあげていくこと…