ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

日本史

『廃帝綺譚』宇月原晴明 順帝、建文帝、崇禎帝、そして後鳥羽院の物語

『安徳天皇漂海記』とあわせて読みたい 2007年刊行作品。宇月原晴明(うつきばらはるあき)としては六作目の作品にあたる。ミルキィ・イソベの表紙デザインが美しい。 廃帝綺譚 作者:宇月原 晴明 中央公論新社 Amazon タイトルや表紙デザインから想像がつく方…

『関ヶ原連判状』安部龍太郎 直木賞作家の出世作

安部龍太郎のブレイク作品 1996年刊行作品。作者の安部龍太郎(あべ りゅうたろう)は1955年生まれ。1987年にデビューして、ほぼ一貫して歴史小説の書き手として活躍している。2012年には豊臣政権下で活躍した絵師、長谷川等伯の生涯を描いた『等伯』で直木…

『壬生義士伝』浅田次郎 守銭奴と蔑まれた新撰組隊士の物語

浅田次郎、初の歴史小説 2000年刊行作品。もともとは「文藝春秋」誌に1998年~2000年にかけて連載されていたもの。タイトルの『壬生義士伝』は「みぶぎしでん」と読む。 日本を舞台とした歴史小説は、浅田次郎(あさだじろう)としては初めての作品となる。…

『時砂の王』小川一水 時をめぐる大いなる戦いの果てに

時間モノの醍醐味を堪能できる一作 2007年刊行作品。本作『時砂(ときすな)の王』は文庫書き下ろし作品だった。 どうしてJコレクション枠で出なかったのが謎である。小川一水(おがわいっすい)はハヤカワからは既に『第六大陸 』『復活の地』を上梓してお…

『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』宇月原晴明の二作目 伝奇小説好き必読の一作

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次の物語 本作は2002年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に続く宇月原晴明(うつきばらはるあき)の二作目である。分量にして約二倍、568ページの圧倒的な長大ボ…

『安徳天皇漂海記』宇月原晴明 漂泊する安徳帝、その奇想に痺れる

山本周五郎賞受賞作品 2006年刊行作品。本日ご紹介するのは宇月原晴明(うつきばら はるあき)の「安徳天皇漂海記(あんとくてんのうひょうかいき)」である。この年の山本周五郎賞受賞作品を受賞している。 宇月原晴明は1963年生まれ『信長 あるいは戴冠せ…

『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』阿部暁子 南朝の姫と人々の想い

阿部暁子初の一般レーベル作品 2018年刊行作品。集英社文庫での描き下ろしである。 作者の阿部暁子(あべあきこ)は1985年生まれ。これまで集英社コバルト文庫や、オレンジ文庫で作品を上梓して来た阿部暁子としては、初の一般向けレーベルからの作品刊行と…

『弟切抄 鎌倉幕府草創記』森山光太郎 源範頼の視点で鎌倉幕府のはじまりを読み解く

『隷王戦記』の森山光太郎が描いた鎌倉モノ。 源範頼が主人公なので、蒲殿ファンの方は必読です。「鎌倉殿」との解釈の違いも楽しい。 #読了

『女信長』佐藤賢一 織田信長女体化の先駆的作品

2006年刊行。信長女体化モノの先駆け作品!佐藤賢一初の日本史作品『女信長』の感想。考察。 信長が実は女だった!というトンデモ視点で既存の信長物語を綺麗にひっくりかえして見せた作品です。

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』宇月原晴明、衝撃のデビュー作

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品 1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。宇月原晴明のデビュー作である。宇月原晴明(うつきばらはるあき)は1963年生まれ。デビューまでに第六回三田文学新人賞を受賞。永原孝道名義で、詩歌…

『鬼憑き十兵衛』大塚已愛 成長物語、ボーイミーツガール、伝奇小説の愉しみ、全てがここにある!

2018年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作 2019年刊行作品。大塚已愛(おおつかいちか)のデビュー作である。2018年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作だ。ちなみに応募時タイトルは『勿怪の憑』。 表紙イラストは獅子猿(ししざる)によるもの。 作者の大…

『室町少年草子 獅子と暗躍の皇子』阿部暁子 室町ファン感涙、コバルト文庫で南北朝時代!

阿部暁子の第二作 2009年刊行。作者の阿部暁子(あべあきこ)は1985年生まれ。 かつて集英社のコバルト文庫で主催していた、今は亡きロマン大賞の出身者だ。 2008年に刊行されたデビュー作の『屋上ボーイズ』は公募賞であるロマン大賞の応募作なので、受賞後…

『新選組血風録』司馬遼太郎による新撰組オールスター短編集

半世紀以上前に書かれた司馬遼太郎の傑作 1964年刊行作品。1962年に「小説中央公論」誌に連載されていた作品である。 さすがに当時の書籍はAmazonでも売っていないので、新装改版の方をリンク。 新装改版 新選組血風録 作者: 司馬遼太郎 出版社/メーカー: 中…

『大友二階崩れ』赤神諒 義と愛どちらを選ぶべきか?

第9回日経小説大賞受賞作 2018年刊行作品。第9回の日経小説大賞の受賞作である。作者の赤神諒(あかがみりょう、神は旧字)は1972年生まれ。本名は、越智敏裕。上智大学法科大学院の現役教授で、弁護士。 大友二階崩れ 作者:赤神 諒 日本経済新聞出版 Amazon…

『義元謀殺』鈴木英治のデビュー作は希少な今川視点の戦国モノ

角川春樹小説賞の特別賞受賞作品 第一回角川春樹小説賞の特別賞受賞作品。2000年刊行作品。 著者の鈴木英治(すずきえいじ)は1960年生まれ。早々と二回目で休止状態になってしまっている角川春樹小説賞出身というのは、作家業の振り出しとしてはどうなんだ…

『信長の棺』加藤廣 サラリーマン夢のリタイア生活を描く

75歳作家のデビュー作 2005年刊行作品。作者の加藤廣(かとうひろし)は1930年生まれ。東大法卒。中小企業金融公庫⇒山一証券⇒フリー。そして小説家に。なんとデビュー時で75歳! 昔はいろいろな経歴を経てから、中年以降に作家デビューってパターンは多かっ…

『始祖鳥記』飯嶋和一 江戸時代に空を飛んだ男、鳥人幸吉の一代記

江戸時代に空を飛んだ男がいた 2000年刊行作品。飯嶋和一(かずいち)としては、四作目の作品。 2002年に小学館文庫より文庫版がリリースされている。 始祖鳥記 (小学館文庫) 作者: 飯嶋和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/11/06 メディア: 文庫 購…

『黄金旅風』飯嶋和一 希代の朱印船貿易家の物語

末次平左衛門(二代目平蔵)の物語 2004年刊行。飯嶋和一(いいじま かずいち)の五作目の作品。 黄金旅風 作者:飯嶋 和一 小学館 Amazon 小学館文庫版は2008年に登場している。 飯嶋和一は1988年デビューなのに、本書刊行時の2004年でようやく五作目!なん…

『天王船』宇月原晴明『黎明に叛くもの』外伝が素晴らしい!

『黎明に叛くもの』の外伝的な作品 2006年刊行作品。先日紹介した『黎明に叛くもの』の外伝。 分冊(ノベルズ)版の『黎明に叛くもの』4冊にそれぞれ入っていた外伝作品を文庫一冊にまとめたものが本書。単独で読んでも楽しめるとは思うが、やはり本編を先に…

『黎明に叛くもの』宇月原晴明の三作目は松永久秀の一代記

宇月原晴明の第三作 2003年刊行。『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』に続く、宇月原晴明(うつきばら はるあき)三作目の作品。 美しい装丁に惚れ惚れ。このハードカバー版が出て、わずか三ヶ月後に四分冊のノベル…