年初恒例の「〇〇年に読んで面白かった」シリーズ。先日、新書・一般書部門をお届けしたが、続いてはマンガ部門を公開したい。以前は、マンガはネットカフェで紙の本を読む派だったのだが、コロナ禍で足が遠のき、アプリによる配信や、特売時に電子版を大量購入して読む形に読み方がシフトしている。
この読み方だと、どうしても手に取るのが大作、有名作品に限られてしまい、未知の作品になかなか手が出なくなってしまうのが難点。そのため、今年はいつも以上に有名作品が多い。そんなの知ってるよ!的なリストで申し訳ないが、その点はご容赦いただきたい。
再読したらやっぱり面白かった部門
最初に登場するのはこちら。1990年代に一世を風靡した「少年ジャンプ」連載作品『ダイの大冒険』である。令和版アニメが奇跡の高クオリティで全100話が見事に完結。終盤は毎週号泣させられていた。
ダイの大冒険
2019年12月時点での累計販売部数は4,700万部を突破とのこと。アニメ化が終わった現在では、さらに凄まじい数が積みあがっているはずである。全22巻。
アニメ版は原作に極めて忠実なものだが、それでも尺の関係でカットされてしまったセリフも多い。アニメから入った方は、ぜひとも原作のマンガ版の方も読んでいただきたい。
土日出掛けていたので、ようやく #ダイの大冒険 最終話追いついた。近年稀に見る完成度の高いアニメ化で、感無量。原作また読み直すかな。
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) October 23, 2022
「ダイ好きTV」とセットで視聴するのが、土曜日の習慣となっていただけにロスが辛そう。
再読して改めて唸らされるのが、周到に積み上げられた伏線の数々と、完璧なその回収っぷりである。ゴメちゃんの正体についてのネタ振りが、最初のバラン戦のあたりからしっかり積み上げられているなんて、なかなか気づけないぞアレは!
大長編作品、遂に完結部門
続いてご紹介するのは2022年に完結した大長編作品の数々。超絶有名作品ばかりだけど、まあ、いいものは良い!ということで。
センゴク
宮下英樹(みやしたひでき)が描く、戦国武将、仙石権兵衛秀久(せんごくごんべえひでひさ)の一代記。四部構成で、コミックスの巻数を合計すると72巻にも及ぶ、大長編戦国マンガ。
- センゴク:全15巻(15歳~浅井家滅亡まで)
- センゴク天正記:全15巻(~武田家滅亡まで)
- センゴク一統記:全15巻(~小牧長久手の戦いまで)
- センゴク権兵衛:全27巻(~権兵衛の死まで)
美濃斉藤家の敗残兵だったゴンベエが信長に召し抱えられ、やがては秀吉の配下となり、戦国大名にまでのし上がっていくサクセスストーリー。仙石秀久は、戦国マニアなら名前は誰でも知っているが、「とある事情」によりあまり好感度は高くない武将だ。
本作ではその「とある事情」に至るまでの緻密なキャラクター造形と、その後の挽回までが丁寧に描きこまれている。大河ドラマではあまり描かれない、秀吉による紀州雑賀攻めや、四国討伐、九州征伐戦などがきっちりと描かれているあたりも戦国時代好きとしては嬉しい。
宮下英樹『センゴク権兵衛27』#読了
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) May 13, 2022
シリーズ通すとなんと72巻目で、ついに最終巻!
仙石権兵衛秀久の目線から描いた戦国通史。
あまり描かれることのなかった、数多くの敗者たちにスポットを当てた点が好き。
関ヶ原以降をもう少しじっくりやって欲しかった気もするけど、ともあれ見事な大団円。 pic.twitter.com/FX0jKOUToD
ちはやふる
末次由紀(すえつぐゆき)による、競技かるた(百人一首)の世界を描いた全50巻にも及ぶ、熱血スポ根マンガ。15年にも及ぶ連載が、2022年に終了している。広瀬すず主演による映画版、三度にわたるアニメ化もなされているので、ご存じの方も多いかと。
ヒロイン綾瀬千早と、二人の幼馴染、真島太一と綿谷新の三角関係。そして彼らを取り巻く、競技かるたを心から愛する人々の群像劇がとにかく熱い!オッサン読者としては、原田先生編がとにかく好き。若い子だけでなく、中高年の登場人物にまで、丹念に光が当てられているところが本当に好き。
末次由紀『ちはやふる』最終巻 #読了
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) December 30, 2022
群像劇として素晴らしかった。最後、思った以上に菫ちゃん(いちばん成長したかも)の巻だった。
全50巻もの大河マンガになった。百人一首の普及に果たした影響は計り知れないのでは?
アニメの4期もお待ちしてます。 pic.twitter.com/ISR4UzJxTN
ゴールデンカムイ
全31巻で完結。野田サトルによる、もはや説明の必要すらない程の、大人気作品だろう。北海道の何処かに隠された莫大な黄金。アイヌの少女アシㇼパを護る杉元佐一と、陸軍第七師団の鶴見中尉。そして函館戦争を実は生き延びていた土方歳三との三つ巴の争奪戦を描いたお話。
かなり初期のころから読んでいたのだけれど、姉畑支遁編でいちど挫折、シマエナガ回で二度目の挫折(笑)。しかし、完結記念で全話無料公開されていたので、ようやく最後まで読み通すことが出来た。
濃ゆいオッサンキャラがたくさん出てくるのが、この物語の最大の魅力。ちなみに、個人的にはだんぜん月島派である。月島に鯉登少尉が居てくれて本当に良かった。
「ゴールデンカムイ」うっかり二週目をはじめてしまい、GW中の読書予定が完全崩壊中。
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) April 29, 2022
単行本版で最初から読むと、初期からの伏線とかわかってしみじみする。網走着くまでの頃が、まだみんな共闘してて、いちばん楽しい時期だったかもしれない。
ダイヤのA actII
地方の無名校から、都内の野球名門校に進学した沢村栄純を主人公とした高校野球マンガ。二部構成で、以下の構成となっている。
- ダイヤのA(第1部):全47巻(一年生編)
- ダイヤのA actII(第2部):既刊32巻(二年生編)
今回紹介した「大長編作品、遂に完結部門」枠の中では唯一、終わり方に物議が寄せれた作品。二年生編の途中で作品が中断した状態での完結となっており、ファンの間では、どれだけ時間が経っても良いので、また続きを描いて欲しいとの声が根強い(わたしもそうだ)。
わたし的なベストバウトは、二年生夏の地区予選、市大三高戦編かな。天久光聖のアクの強さがとにかく大好き。御幸の立場から見れば稲城戦を推すべきなのだろうけど、沢村と相手投手(天久)との間に絡みがある分、どうしても市大三高戦編に軍配が上がるのだ。
配信で読んだらハマった部門
わたしが主に使っているマンガ配信アプリは講談社系の「マガポケ」。「マガジン」系を中心に、「ヤンマガ」「モーニング」や「アフタヌーン」など、講談社のマンガ作品をあれこれ読めるのが嬉しい。
ザ・ファブル
南勝久(みなみかつひさ)による、ヤクザの世界、裏社会を舞台とした作品。既刊はこんな感じ。わたしが読んだのは第一部まで。
- ザ・ファブル:全22巻
- ザ・ファブル The second contact:既刊5巻(連載中)
凄腕の殺し屋(ファブル)が、あまりに殺し過ぎたので、ボスから殺人を禁じられて一般人として生きることを命じられる。もちろん、うまくいくわけがなくて、あちこちでトラブルに巻き込まれていく。シリアスな展開と、ギャグパートとのふり幅がデカすぎてヤバい。
『ザ・ファブル』は、ネット広告が出まくっていて、目にした方も多いのでは?わたしの携帯端末にもよく表示されていて、当初はウザイなーと思っていたのだけれども、いざ読んでみたらドハマりした。
Twitter広告は、ツマのタイムラインにわたしが、読んでるマンガの広告出さないで欲しい。。。
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) May 14, 2022
『ザ・ファブル』読んでるときは、ツマのTwitterがファブルの広告だらけになって、ツマがヨウコのキャラクターだけなぜか把握してた。
でも、同居人(ツマ)のスマホにまで広告出すのはやめて……。
砂の栄冠
『ドラゴン桜』で知られる、ヒットメーカー三田紀房(みたのりふさ)による高校野球マンガ。全25巻。『ダイヤのA』とは対照的に、地方(埼玉)の公立進学校の野球部を舞台としているのが特徴的。
超高校級の素質を持つ主人公に、1,000万円を与えて、甲子園への道を模索させるというストーリー。手に入った1,000万円どう使えば、公立校の野球部は強くなれるのか。三田紀房は、効率の良い手段を模索する「ハック系」の作品を描かせると本当に巧い。
キャラクター的には、主人公最大の敵、影の主役ともいえる「ガーソ」が大好き。
グラゼニ
森高夕次(原作)、足立金太郎(作画)による、プロ野球の世界を舞台とした作品。四部構成。最新の「大リーグ編」は継続中。
- グラゼニ(第1部):全17巻
- グラゼニ(第2部):全15巻(東京ドーム編)
- グラゼニ(第3部):全13巻(パ・リーグ編)
- グラゼニ(第4部):既刊1巻(大リーグ編)
中継ぎ専門の、いまひとつパッとしない投手、凡田夏之介を主人公とした物語。タイトルの「グラゼニ」とは、「グラウンドには銭が埋まっている」の略。
弱肉強食の世界でいかにして生き残り、年俸をあげていくのか。「カネ」という視点から描かれる野球マンガがとにかく新鮮だった。
読み始めたら止まらない部門
最後に紹介するのはこちらの二作。前者はそのストーリー展開の巧みさで、後者は物語の圧倒的な熱量で、読み始めたらノンストップ。最後までページをめくる手が止まらない、いずれも強い吸引力を持つ作品である。
サマータイムレンダ
田中靖規による作品。全13巻。「サマータイム〇〇」のタイトルから想像が付くと思うけど「そっち」系のお話(いちおうネタバレに配慮)。島モノであり、伝奇モノの側面、集団群像劇としても秀逸。強大すぎる敵。刻一刻と変わる戦況。最後まで展開が読めずに一気読みさせられてしまった。
アニメ版は配信元がディズニープラス縛りで、なかなか手が出せなかったのだけれども、ようやくAmazonプライムにも解禁されたので、現在鋭意視聴中。これも見始めると止まらないな。
田中靖規『サマータイムレンダ1』#読了
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) July 24, 2022
読み始めた。
魅力的なヒロイン。孤島、夏、伝奇ミステリ、そして主人公のとある能力。
複数の要素がいい感じに混ざり合ってて、メッチャおもしろいですね。 pic.twitter.com/9lywags9OW
メダリスト
つるまいかだによるフィギュアスケートマンガ。既刊7巻まで発売。現在も連載中。
経済的に恵まれず、競技者としての人生を断念せざるを得なかった主人公、明浦路司が、家庭の事情でフィギュアを出来ないでいた少女、結束いのりに出会うところから物語は始まる。
ヒロインのフィギュアに賭ける意志の力、情熱が凄すぎて、序盤はもうとにかく毎回泣かされる。非凡な才能を持ちながらも、競技者としては大成できなかった主人公の心の闇。このコントラストが良い!
フィギュアスケートに関する説明も丁寧で、ジャンプの種類や採点法についても丁寧な解説が入るので、門外漢でも安心して読めるのもウリ。
つるまいかだ『メダリスト①』#読了
— ぬぬに@毎晩20時🕗本感想ブログ更新 (@nununi) September 2, 2022
夢破れた元アイスダンス選手と、家族の理解を得られずスケートが出来ずにいた少女。ふたりの出会いからはじまる物語。
「次にくるマンガ大賞」第1位ってことで読んでみた。これは燃える、泣ける。空間の描写も上手い。 pic.twitter.com/fV6iKMN1EE
2023年も面白いマンガを読みたい!
以上、2022年に読んで面白かったマンガ10選をご紹介した。
マンガの新作探知アンテナはさび付いて久しいので、皆さまからの良作マンガのご紹介もお待ちしております。
「〇〇年に読んで面白かった」シリーズ、次回は小説編をお届けする予定。
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