ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
『ヤンキーと地元』打越正行
暴走族研究のため20年パシリとして潜入!

青春小説

『ラットマン』道尾秀介 最後まで気が抜けないミステリ作品

道尾秀介、初期の代表作 2008年刊行作品。光文社のミステリ専門誌『ジャーロ』の2007年夏号、秋号に掲載されていたものを単行本化したもの。作者の道尾秀介(みちおしゅうすけ)は1975年生まれの小説家。2005年の『背の眼』デビュー作で、本作が8作目になる…

『図書室の海』恩田陸デビュー10年目の短編集

初期代表作の外伝を含む、恩田陸の魅力が詰まった作品集 2002年刊行作品。各種アンソロジーやらネット媒体、雑誌等に掲載されてきた8編に加え、2編の書き下ろしを加えた短編集。この年、恩田陸はデビュー10周年だった。収録されている作品数が10編なのはこれ…

『僕が君の名前を呼ぶから』乙野四方字 並行世界で生きる「もうひとりの栞」の物語

『僕君』『君僕』のスピンオフ長編が登場! 2022年刊行作品。乙野四方字(おとのよもじ)の最新作。2016年刊行の『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』と世界観を同じくする、スピンオフ作品だ。 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひ…

『夏休みの空欄探し』似鳥鶏 謎解き×ロードノベル×忘れられない夏の思い出

似鳥鶏が描く、夏のロードノベル 2022年刊行作品。作者の似鳥鶏(にたどりけい)は1981年生まれのミステリ作家。デビュー以来、ほぼ毎年のように複数作品を発表している多作家として知られる。 本作『夏休みの空欄探し』はポプラ社の文芸PR誌「季刊asta」のV…

『きょうの日はさようなら』一穂ミチ 90年代からやってきた「いとこ」と過ごす特別な夏

一穂ミチ初の非BL作品 一穂(いちほ)ミチは、もともと二次創作の世界で活躍していた人物で、その力量を買われて、新書館のBL雑誌「小説ディアプラス」の2007年ナツ号に『雪よ林檎の香のごとく』を発表し作家デビューを果たす。 以後、BL小説の書き手として5…

『夏へのトンネル、さよならの出口』八目迷 時間を代償に、欲しいものが手に入るなら?

八目迷のデビュー作 2019年刊行作品。作者の八目迷(はちもくめい)は1994年生まれのライトノベル作家。「僕がウラシマトンネルを抜ける時」が第13回の小学館ライトノベル大賞にて「ガガガ賞」と「審査員特別賞」を受賞。同作は『夏へのトンネル、さよならの…

『海がきこえる』氷室冴子 1990年代の高知、東京を舞台とした青春小説

氷室冴子、最後期の作品 徳間書店のアニメーション情報誌『アニメージュ』の1990年2月号から、1992年1月号にかけて連載されていた作品を大幅改稿(後述)したうえで単行本化した作品。 単行本版は1993年に刊行されている。大長編シリーズであった『銀の海 金…

夏を舞台とした傑作小説15選、青春小説からミステリ、エスエフまで

夏を舞台とした傑作小説15選 夏になると、各出版社の夏のフェアが開催されて、書店の棚がにぎやかになりますね。 ということで、このブログでも夏のフェアをやりたい!ということで、当ブログでご紹介してきた800冊以上の作品の中から、「夏を舞台」とした作…

『ミナミノミナミノ』秋山瑞人 謎の島での真夏のボーイミーツガール

「イリヤっぽい話」として書かれた作品 2005年刊行作品。作品単位で考えると、『E.G.コンバット』『鉄コミュニケイション』『猫の地球儀』『イリヤの空 UFOの夏』に続く、秋山瑞人(あきやまみずひと)の五作目の作品になる。 また夏のボーイミーツガールも…

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』杉井光 繰り返される夏休み最後の日

杉井光が描く、忘れられない夏の物語 2022年刊行作品。書き下ろし。作者の杉井光(すぎいひかる)は1978年生まれの小説家。第12回の電撃小説大賞で銀賞を取った2006年の『火目の巫女(ひめのみこ)』がデビュー作。多作で知られる人物で、これまでに三十作近…

『さようならアルルカン』氷室冴子 1970年代に刊行された最初期の短編集

氷室冴子の二作目 本日紹介する『さようならアルルカン』は『白い少女たち』に続く、氷室冴子(ひむろさえこ)の二作目の作品である。初版は昭和54(1979)年。恐ろしいことに、今から40年以上も前の作品になってしまった。わたしも歳を取るわけである。 本…

氷室冴子『白い少女たち』と昭和50年代のコバルト文庫

氷室冴子の『白い少女たち』について感想をあげるつもりであったが、刊行当時の状況を調べているうちに、昭和50年代のコバルト文庫についても触れたくなってしまった。ということで、『白い少女たち』の感想に加えて、昭和50年代のコバルト文庫について雑に…

『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』大澤めぐみ 繋がらなかった縁と繋がった縁の物語。

毎年紹介している気がするけど、卒業シーズンなのでこの一冊を推したい。昨年松本に行ってきたので「6番線」の写真を撮ってきたよ! 大澤めぐみの三作目 2017年刊行作品。大澤めぐみは小説投稿サイト「カクヨム」出身の作家。2016年の角川スニーカー文庫の『…

『いまさら翼といわれても』米澤穂信 古典部シリーズの六作目

六年ぶりの古典部シリーズ 2016年刊行作品。KADOKAWAの文芸誌、『野性時代』『文芸カドカワ』に掲載されていた短編作品をまとめたもの。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』に続く、古典部シリー…

『ひとくいマンイーター』大澤めぐみ わたしがなんであるのかは、わたしが自分で決める

『おにぎりスタッバー』の前日譚 2017年刊行作品。大澤めぐみの第二作となる。 前作『おにぎりスタッバー』の続編、というか前日譚に相当する物語となっている。イラストは前作同様に、U35(うみこ)が担当。 『おにぎりスタッバー』の感想はこちらから。 『…

『ふたりの距離の概算』米澤穂信 古典部シリーズ五作目、新キャラ大日向登場

古典部メンバーたちが二年生に! 2010年刊行。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』に続く、古典部シリーズの五作目である。 2009年から2010年にかけて、雑誌「野生時代」に連載されていた作品を単行本化に際して加筆修…

『遠まわりする雛』米澤穂信 古典部シリーズ初の短編集

地方都市のうつろいゆく春夏秋冬 2007年刊行。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』に続く、古典部シリーズの四作目。 2002年から2007年にかけて、雑誌「ザ・スニーカー」「野生時代」に掲載された作品を集めた短編集。最後に収録されている…

『クドリャフカの順番 「十文字」事件』米澤穂信 古典部シリーズ三作目、直面するそれぞれの限界

米澤穂信の「古典部」シリーズ三作目。『クドリャフカの順番 「十文字」事件』のあらすじ、ネタバレ感想。アニメ版『氷菓』の12話から17話に該当します。 「古典部」シリーズ全作の感想もあります。

『推定少女』桜庭一樹 角川文庫版はエンディングが増えてる!?

桜庭一樹の初期作品 2004年刊行作品。桜庭一樹(さくらばかずき)名義の作品としては八作目。最初はエンターブレインのライトノベルレーベル、ファミ通文庫からの登場だった。イラストは高野音彦(たかのおとひこ)が担当。橋本紡の『リバーズ・エンド』シリ…

『愚者のエンドロール』米澤穂信の古典部シリーズ第二作

古典部シリーズ第二作 2002年刊行。『氷菓』に続く米澤穂信(よねざわほのぶ)の古典部シリーズ第二作である。表紙イラストは高野音彦が担当している。英題は「Why didn't she ask EBA?」(なぜ、江波に頼まなかったのか?)。 第一作の『氷菓』同様に、こち…

『氷菓』米澤穂信のデビュー作にして、古典部シリーズの一作目

米澤穂信のデビュー作 2001年刊行。第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞作。同大賞はこの年から、ヤングミステリー&ホラー部門を創設しており、当該部門で、奨励賞を受賞したのが本作だ。2022年に『黒牢城(こくろうじょう)』で直木賞を受賞した米澤穂信のデ…

『天帝の愛でたまう孤島』古野まほろ 往年の「孤島モノ」作品への言及が楽しい、

天帝シリーズ三作目は孤島モノ 2007年刊行作品。古野まほろによる、天帝シリーズの三作目にあたる。 天帝の愛でたまう孤島 (講談社ノベルス) 作者:古野 まほろ 講談社 Amazon デビュー作の『天帝のはしたなき果実』が2007年の1月刊行。第二作の『天帝のつか…

『記憶の果て』浦賀和宏 第5回メフィスト賞受賞作

追悼 浦賀和宏 ミステリ愛好家の方であれば既にご存じかと思うが、浦賀和宏(うらがかずひろ)の死去が報じられた。死因は脳出血。デビューから20年以上経つので、けっこうな年齢なのかと思っていたら、なんと1978年生まれ。まだ41歳の若さである。いくらな…

『天帝のつかわせる御矢』古野まほろ シリーズ第二弾は豪華列車内での密室殺人事件

「天帝」シリーズ第二弾! 2007年刊行作品。『天帝のはしたなき果実』に続く、古野まほろの「天帝」シリーズ第二作である。 天帝のつかわせる御矢 (講談社ノベルス) 作者: 古野まほろ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2007/06/08 メディア: 新書 購入: 1人 …

『線は、僕を描く』砥上裕將 本屋大賞第三位&第59回メフィスト賞受賞作品

砥上裕將のデビュー作 2019年刊行作品。第59回メフィスト賞にして、2020年本屋大賞の第三位に輝いた作品である。その他にも、ブランチBOOK大賞2019を受賞、キノベス!2020では第6位にランクイン。2019年に書かれた作品の中でも、特に高く評価された作品の一つ…

『コンビニなしでは生きられない』秋保水菓 第56回メフィスト賞受賞作品

秋保水菓のデビュー作 2018年刊行作品。筆者の秋保水菓(あきうすいか)は1994年生まれのミステリ作家。本作『コンビニなしでは生きられない』で、第56回のメフィスト賞を受賞し、作家としてデビューしている。 講談社ノベルス版の表紙イラストはukiが担当。…

『アクアリウムの夜』稲生平太郎 地方都市の春夏秋冬を抒情豊かに描いた幻想小説

今週のお題「読書の秋」本日はこちら。 稲生平太郎名義の初小説作品 もともとは1990年に書肆風の薔薇のロサ・ミスティカ叢書から出ていた作品。 アクアリウムの夜 (ロサ・ミスティカ叢書) 作者:稲生 平太郎 書肆風の薔薇 Amazon その後、2002年にスニーカー文…

『風よ僕らの前髪を』弥生小夜子 第30回鮎川賞優秀賞受賞作品

弥生小夜子のデビュー作 2021年刊行作品。作者の弥生小夜子(やよいさよこ)は1972年生まれ。過去には創元ファンタジー新人賞で第1回、第5回で最終選考まで残った実績がある。今回の『風よ僕らの前髪を』では、第30回鮎川賞の優秀賞を受賞し作家デビューを果…

『フラッガーの方程式』浅倉秋成 最高のご都合主義をあなたに!

浅倉秋成の第二作 2013年刊行作品。『ノワール・レヴナント』に続く、浅倉秋成(あさくらあきなり)の第二作である。単行本は講談社BOXレーベルからの登場であった。イラストは中村ゆうひが担当していた。 フラッガーの方程式 (講談社BOX) 作者:浅倉秋成 …

『永遠の出口』森絵都 多感な十代の少女の日々を描く

「永遠」に惹かれた少女時代を描く 2003年刊行作品。集英社の小説誌『小説すばる』に、1999年~2002年にかけて掲載されていた作品をまとめたもの。 永遠の出口 作者:森 絵都 集英社 Amazon 集英社文庫版は2006年に登場している。 おススメ度、こんな方におス…