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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

戦国

『関ヶ原連判状』安部龍太郎 直木賞作家の出世作

安部龍太郎のブレイク作品 1996年刊行作品。作者の安部龍太郎(あべ りゅうたろう)は1955年生まれ。1987年にデビューして、ほぼ一貫して歴史小説の書き手として活躍している。2012年には豊臣政権下で活躍した絵師、長谷川等伯の生涯を描いた『等伯』で直木…

『 ジャガーになった男』佐藤賢一 戦国時代の武士がスペインに!

佐藤賢一のデビュー作 1994年刊行作品。第6回小説すばる新人賞受賞作で、佐藤賢一(さとうけんいち)のデビュー作である。もう三十年近くも前の作品かと思うと、なかなかに感慨深い。 佐藤賢一は1968年生まれ。山形大学卒業後、東北大学文学の大学院へ進学。…

『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』宇月原晴明の二作目 伝奇小説好き必読の一作

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次の物語 本作は2002年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に続く宇月原晴明(うつきばらはるあき)の二作目である。分量にして約二倍、568ページの圧倒的な長大ボ…

『宇喜多の捨て嫁』木下昌輝 宇喜多直家を軸としたピカレスク歴史小説の良作

木下昌輝のデビュー作 作者の木下昌輝(きのしたまさき)は1974年生まれ。本作『宇喜多の捨て嫁』がオール讀物新人賞を受賞してデビュー。2014年刊行で、第152回直木賞候補作(西加奈子『サラバ!』が受賞した)。その他に、歴史時代作家クラブ賞、舟橋聖一…

『八本目の槍』今村翔吾 人生は選択の連続、もう同じ夢はみられない

ブレイク目前、今村翔吾の話題作 今村翔吾(いまむらしょうご)は1984年生まれの、時代小説、歴史小説作家である。デビュー作は2017年の『火喰鳥』(羽州ぼろ鳶組シリーズ)。2019年の『童の神』、2020年の『じんかん』がそれぞれ直木賞候補作に。そして2021…

『女信長』佐藤賢一 織田信長女体化の先駆的作品

2006年刊行。信長女体化モノの先駆け作品!佐藤賢一初の日本史作品『女信長』の感想。考察。 信長が実は女だった!というトンデモ視点で既存の信長物語を綺麗にひっくりかえして見せた作品です。

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』宇月原晴明、衝撃のデビュー作

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品 1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。宇月原晴明のデビュー作である。宇月原晴明(うつきばらはるあき)は1963年生まれ。デビューまでに第六回三田文学新人賞を受賞。永原孝道名義で、詩歌…

『大友二階崩れ』赤神諒 義と愛どちらを選ぶべきか?

第9回日経小説大賞受賞作 2018年刊行作品。第9回の日経小説大賞の受賞作である。作者の赤神諒(あかがみりょう、神は旧字)は1972年生まれ。本名は、越智敏裕。上智大学法科大学院の現役教授で、弁護士。 大友二階崩れ 作者:赤神 諒 日本経済新聞出版 Amazon…

『義元謀殺』鈴木英治のデビュー作は希少な今川視点の戦国モノ

角川春樹小説賞の特別賞受賞作品 第一回角川春樹小説賞の特別賞受賞作品。2000年刊行作品。 著者の鈴木英治(すずきえいじ)は1960年生まれ。早々と二回目で休止状態になってしまっている角川春樹小説賞出身というのは、作家業の振り出しとしてはどうなんだ…

『信長の棺』加藤廣 サラリーマン夢のリタイア生活を描く

75歳作家のデビュー作 2005年刊行作品。作者の加藤廣(かとうひろし)は1930年生まれ。東大法卒。中小企業金融公庫⇒山一証券⇒フリー。そして小説家に。なんとデビュー時で75歳! 昔はいろいろな経歴を経てから、中年以降に作家デビューってパターンは多かっ…

『天地人』火坂雅志 2009年NHK大河ドラマの原作小説

大河ドラマの原作小説 2003年から2006年にかけて新潟日報他、複数の新聞紙面に掲載された作品を加筆修正の上でまとめたもの。2006年刊行。単行本版は日本放送出版協会から刊行されている。2008年NHK大河ドラマの原作小説である。天の巻、地の巻、人の巻の三…

『信長島の惨劇』田中啓文 絶海の孤島に集められた戦国武将たち

歴史小説×ミステリ 2020年刊行作品。作者の田中啓文(たなかひろふみ)はエスエフから、ホラー、ミステリの世界まで幅広い守備範囲を持つ作家である。歴史小説ジャンルにもいくつもの著作があるが、今回は歴史小説×ミステリの組み合わせで勝負してきた! 本…

『島津奔る』池宮彰一郎 島津家視点で描いた関ヶ原合戦

現在では入手困難な作品 1998年刊行作品。池宮彰一郎(いけみやしょういちろう)としては六作目の作品。 池宮彰一郎は1923年生まれ。脚本家として映画、テレビドラマの世界で活躍。1992年の映画化もされた『四十七人の刺客』から小説家としても活躍を開始し…

『じんかん』今村翔吾 新たな松永久秀像を提示した一作

「じんかん」とは?2020年の直木賞候補作。今村翔吾『じんかん』のあらすじ、ネタバレ感想です。松永久秀ファンなら必読!

『天王船』宇月原晴明『黎明に叛くもの』外伝が素晴らしい!

『黎明に叛くもの』の外伝的な作品 2006年刊行作品。先日紹介した『黎明に叛くもの』の外伝。 分冊(ノベルズ)版の『黎明に叛くもの』4冊にそれぞれ入っていた外伝作品を文庫一冊にまとめたものが本書。単独で読んでも楽しめるとは思うが、やはり本編を先に…

『黎明に叛くもの』宇月原晴明の三作目は松永久秀の一代記

宇月原晴明の第三作 2003年刊行。『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』に続く、宇月原晴明(うつきばら はるあき)三作目の作品。 美しい装丁に惚れ惚れ。このハードカバー版が出て、わずか三ヶ月後に四分冊のノベル…