ネコショカ

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湊かなえのデビュー作『告白』を読む(映画版の感想つき)


出たばかりの頃に購入してあったのだが、その後わたしが小説読めない病に罹患してしまったので、長らく積読棚に置きっぱなしになっていた作品である。最近、ようやく小説が読めるようになってきたので、遅まきながらチャレンジしてみたよ。

小説リハビリ、「超有名作品を読んでみよう」シリーズの第一弾である。

350万部売れた超ベストセラー作品

2008年刊行。湊かなえのデビュー作。2008年の週刊文春ミステリーベスト10第1位、このミステリーがすごい!で第4位。そして2009年には本屋大賞の大賞を受賞している。

累計販売部数は350万部!(2014年時点)と、凄まじい売れっぷりである。スゲー。

告白

文庫版は2010年に登場。 

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

 

五人の「告白」形式で綴られる物語

湊かなえは本作に収録されている最初のエピソード「聖職者」が、双葉社の小説推理新人賞を受賞して作家デビューしている。確かに「聖職者」は単独で切り取っても、物語として成立するし完成度も高い。

本作はこの「聖職者」から始まる計6編を収録した、連作短編形式となっている。異なる人物の「告白」によって、事件の全容を多角的な視点から浮き彫りにしていくスタイルである。不幸な死を遂げた少女。どうして少女は死ななければならなかったのか。娘を殺された母親の凄絶な復讐劇が展開されていく。

「告白」をする人物に、まともな人間は一人もおらず、いずれも精神に変調を来した人間ばかり。救いのない事件、やりきれない結末。このあたりが本作をイヤミスの代表作たらしめている所以であろうか。

本作は、娘を殺された母親、森口悠子の「告白」で始まり、最後にもういちど視点が彼女に戻ってくる、円環的な構成を取っている。五人の人物の視点で物語の全体像を明らかにしたところで、大ラス、底抜けの暗黒展開が待っている。

私刑は楽しいか?

復讐劇の中でも、時代劇の必殺シリーズのような、法で裁けない悪に対して私的な制裁を加える作品には一定の人気がある。読み手としては、もちろん自分ではやらないだろうし、リアルでも見たくはないけど、明確な「悪」が報いを受けるのは気持ちがいい。もっとやられればいい。その対象がたとえそれが子供であったとしても。

実行は出来ないし、口にすることも控えたい。そんな誰もが抱いているであろう暗黒面の感情を満たしてくれるのが本作のウリであろう。主人公の森口悠子は、最終的には法を犯し、自らの手を汚してまでして復讐を果たす。暗澹たる結末だが、意外に読後感は悪くないのである。

この物語で、読み手は自身の手を汚さず、懲罰感情を満たすことができる。そんな自身の昏い感情に気付かせてくれるあたりも、本作の魅力の一つなのであろう。

映画版は松たかこの静かな狂気に震える

 映画版は2010年公開。中島哲也監督作品(わたし的には『下妻物語』のヒトである)。独特の映像美?ともいった演出は、好き嫌いが別れるところかもしれない。

告白 【DVD特別価格版】 [DVD]

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小説版でのファーストエピソード「聖職者」の映像化が圧巻である。淡々と話しているだけなのに、目が離せない、引き込まれる。松たか子の静かな狂気に震撼させられる。

wikipedia先生によると、こちらもかなりヒットしていた模様。

2010年度に日本で公開された日本映画の興行収入成績で第7位になるなど興行的に成功し、第34回日本アカデミー賞では4冠を達成した。

告白 (湊かなえ) - Wikipedia より

映画版は原作を尊重しつつも、尺の都合もあってか、主人公の森口悠子(松たかこ)と修哉くん(西井幸人)の行動に焦点を絞った構成となっている。ラストの、全校生徒の前の前で、森口悠子が修哉を追い詰めていく見せ方は、舞台劇みたいな演出で個人的には好み。

映画版のキャスト一覧はこんな感じ。()内は演じている役者さんである。最初期の初々しい橋本愛(13歳!?)が見られたのは望外の喜び(役どころもその末路もアレだけど)。

森口 悠子(松たか子)
北原 美月(橋本愛)
下村 優子(木村佳乃)
下村 直樹(藤原薫)
渡辺 修哉(西井幸人)

寺田 良輝(岡田将生) ※ウェルテル
森口 愛美(芦田愛菜)
桜宮 正義(山口馬木也)
渡辺修哉の父(新井浩文)
渡辺修哉の母(黒田育世)

ちなみに映画版の『告白』はAmazon Primeで視聴可能である(2019/3/23現在)。登録されている方は、このなんとも言えない嫌~な感じを堪能して頂きたい。

告白

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