虹北恭助シリーズの一作目
2000年刊行作品。講談社の文芸誌「メフィスト」の1999年5月号から2000年の5月号にかけて掲載された4編に、書き下ろし1編を加えて講談社ノベルズにて上梓されたのが本作。イラストはやまさきもへじが担当。
青い鳥文庫版は2011年に搭乗。こちらのイラストは藤島康介に変更されている。かなりノベルス版とは雰囲気が変わる。
少年名探偵、虹北恭助(こうほくきょうすけ)を主人公とする、本シリーズは全五作。ラインナップは以下の通り。
- 『少年名探偵 虹北恭助の冒険』(2000年刊行)
- 『少年名探偵 虹北恭助の新冒険』(2002年刊行)
- 『少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険』(2002年刊行)
- 『少年名探偵 虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー(2004年刊行)
- 『少年名探偵 虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』(2009年刊行)
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
少年が少女が活躍するミステリ作品を読みたい方。良質なジュブナイルミステリを読んでみたい方。小中学生にも安心して勧められる推理小説を探している方に特におススメ。
あらすじ
虹北商店街は地味ながらも、古き良き人情が今なお残るちょっといい感じの商店街だ。この街の名探偵は虹北恭助(小学六年生)。幼馴染みの野村響子ちゃんと共に虹北恭助が数々の不思議な事件を解き明かす。駄菓子屋さんのお菓子がいつの間にか増えているのは何故?「虹北みすてり商店街」。どんな願いでも叶えてくれる謎のビルディングの秘密とは?「祈願成就」等、五つのエピソードを収録。
ここからネタバレ
はやみね作品が講談社ノベルスに登場(当時)
はやみねかおるは現職の小学校教師兼児童向け推理小説作家で、講談社の青い鳥文庫から出ている『夢水清志郎シリーズ』が有名かな。勇嶺薫(はやみねかおる)の筆名で作品を出すこともある。
1990年代の後半には、ジュブナイル向けミステリ界の売れっ子として定着。これだけ売れている作家を児童向けレーベルだけで頑張らせておくのは惜しいってことで、講談社ノベルズでの登板に至ったのではないかと推定。
しっかりミステリしてる
子供たちの活字離れを少しでも食い止めようという趣旨で書かれているだけあって、語り口はソフトで、筋立ても明快で判りやすく非常に取っつきやすい。ミステリ的な要素もしっかり押さえているので、ガチの推理小説読みでも十分楽しめるはず。
恭助の言動が時折、子供離れして感じる(佐々木さんを問いつめる所ね)が難点ながら、総じて素直に楽しめた。商店街のほのぼのムードもいい感じなのである。
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