ネコショカ

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基本ネタバレありなので注意してね

『あだたら卓球場決闘ラブソング』野村美月 「卓球場」シリーズ第三弾


「卓球場」シリーズの三作目

2003年刊行作品。『赤城山卓球場に歌声は響く』『那須高原卓球場純情えれじ~』「卓球場」シリーズの三作目。野村美月としては五作目の作品ということになる。

相変わらず書影の解像度が低すぎるけど、Amazon先生何とかして欲しい。

あだたら卓球場決闘ラブソング (ファミ通文庫)

あらすじ

紗恵の紹介でビアガーデンでのアルバイトをはじめた朝香。そこで出会った顔も性格も「フツー」の男山田に彼女はかつてないときめきを感じてしまう。それはもしてして恋?彼氏イナイ歴=年齢の朝香に遂に人生の春が訪れたのか。なんとかファーストデートにこぎつけたものの、事態は思わぬ方向に……。平凡そのものに見えた山田には想像を絶する秘密が!?

三作目にしてようやく主人公が活躍

世界の危機を卓球で救う!書いている自分自身わけが判らない不思議設定のこの作品。毎回ありえないと思うのだが、独特のほんわかパワーでなぜか納得させられてしまう。今回はこれまで脇役に甘んじていた主人公(変な文章)が大活躍する。選ばれし戦士となり、人型のまま巨大化しつつパンツ丸みえで巨大ロボットと戦うという悶絶展開。相変わらずぶっ飛んでるなあ。

合唱ファン歓喜の安積黎明高校登場

「あだたら」ってタイトルについているくらいだから今回は福島県が舞台となっている。ちなみに作者は福島出身。知る人ぞ知る話だが福島県はものすごく合唱が盛んな地域で全国最強クラスの団体を数多く輩出している。

今回は作中に郡山の花かつみ女学院(=安積黎明高校)が登場。安積黎明(あさかれいえみ)高校は合唱界のPL学園(←例えが古い)とも言うべき超名門校で全日本合唱コンクール全国大会で27年連続で金賞というすさまじい記録を持っているのだ。

本作では福島県の合唱強豪校の皆さんが「静かな湖畔」を輪唱する中(多分驚異的に上手い筈)、最強魔神が復活する。こんな脱力展開は普通の作家は絶対考えつかない。地元の人か、合唱マニアしか判らないノリだと思うのだけど、個人的には笑い死にしそうになってしまったので評価ポイント☆一個分追加である。ヒロインの名前が浅香なのは、今にして思えば「安積(あさか)」とかけているわけだよね。作者は安積黎明高校の出身者なのだろうか。気になる。

女の子同士がきゃっきゃする小説としても秀逸

もちろんそんなマニアックな隠し味には気付かなくても、本作は十分楽しめる。女の子集団ならではの気安さ。楽しさ。理解しあえる部分。初めてのデートにかける女の子の意気込みの愛らしさなんかは読んでいて非常に微笑ましい。惜しい点を挙げるとすると、楓ちゃんのキャラが弱すぎる点だろうか。RHSVOのメンバーが多すぎる分、新キャラはどうしても扱いが弱くなってしまうのが残念。

あだたら卓球場決闘ラブソング (ファミ通文庫)

あだたら卓球場決闘ラブソング (ファミ通文庫)