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『ミミズクとオリーブ』芦原すなお 香川県の料理が超美味そう!

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「ミミズクとオリーブ」シリーズの一作目

作者の芦原すなおは1949年生まれ。もはや大ベテランの域に達している作家である。直木賞を取り映画化もされた『青春デンデケデケデケ』が特に知名度が高いだろうか。

本作は1996年刊行。その後1998年の『嫁洗い池』、2007年の『わが身世にふる、じじわかし』へと続いていく「ミミズクとオリーブ」シリーズの一作目である。

創元推理文庫版は2000年に刊行。解説は加納朋子が担当している。

ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)

本作を読んだ当時(2000年代前半くらい)、芦原すなおと言えば『青春デンデケデケデケ』で直木賞を取った人というイメージしかなかったので、ミステリを書いていた全く知らず驚かされた記憶がある。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

直木賞作家芦原すなおが描くミステリ系の作品を読んでみたい方。香川県にお住まいの方。香川県が好き!という方。讃岐料理を食べてみたいと思っている方。美味しそうな食べ物が登場するミステリ作品を読んでみたい方におススメ。

あらすじ

ぼくの妻は名探偵らしい。八王子の郊外で作家生活を送るぼくの元へは様々な悩みを持った客人が訪れる。もっとも彼らはぼくではなく妻に話を聞いてもらいにくるらしいのだが。謎の書き置きを残して失踪した女。その行方は何処に?女社長殺害の謎。犯人はやはり夫なのか?全身泥まみれで見つかった死体の謎。様々な難問、果たしてその答えは……。

ここからネタバレ

よくできた奥さんが謎を解く

あまり世の中の役には立っていないダメ旦那と、良く気が付いて器量よし、おまけに料理も旨いときている出来すぎの嫁さんの組み合わせ。ほんわか癒し系夫婦小説に、ミステリの謎解き要素がスパイスとしてブレンドされているといった感じか。ミステリ的なネタとしては、どちらかというとバカミスっぽいオチなので、あまり真剣に読むと脱力させられることになるのは必至だ。

もともとミステリ畑から始まった人ではないだけに、ガチなミステリを読もうと思って期待する分には肩透かしを食うかもしれない。ただ、幅広いジャンルの作品を書いている作家だけに、作品世界の懐が深い印象がある。安心して読めるのが特徴かな。

讃岐料理がメチャメチャ美味そう!

作者の芦原すなおは香川県観音寺市の出身。ということで、作中には讃岐料理の数々が、次々と登場してくる。これがまた、とにかく美味しそうなので、それだけで全て許してしまいたくなる。焼いたカマスのすり身と味噌をこねあわせて作るさつま、黒砂糖と醤油で煮付けた豆腐と揚げの煮物、新じゃがとこぶりの目板ガレイの唐揚げ、、、なんだか涎が……。レシピ公開してくれないかな。

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