ネコショカ

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養毛剤から始まる人類滅亡『BH85』森青花


日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞作品

1999年刊行作品。第11回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作品。作者の森青花(もりせいか)は1958年生まれ。

BH85

表紙イラストは吾妻ひでお。インパクト強いなあこの表紙は。新井素子の懐かしの名作『絶句』(旧版の方ね)を思い出した。

新潮文庫版は刊行されなかった。しかし、2008年に徳間デュアル文庫版が刊行されている。この際、サブタイトル「青い惑星(ほし)、緑の生命(いのち)」がつけられている。この時期のデュアル文庫は旧作の復刊をけっこう盛んにやっていたよね。

BH85―青い惑星(ほし)、緑の生命(いのち) (徳間デュアル文庫)

BH85―青い惑星(ほし)、緑の生命(いのち) (徳間デュアル文庫)

 

ちなみにこの年の大賞受賞作品は宇月原晴明の『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュノス』である。

あらすじ

驚異の養毛剤BH85。見る間にぐんぐん髪が生えてくるのだ。しかし画期的製品かと思われたこの薬こそが人類滅亡へのトリガーを引くことになろうとは。爆発的なスピードで増殖し、あらゆる生命体との融合を始めたBH85は日本を、そして世界を覆い尽くしていく。残された僅かな人類は肩を寄せ合って共同生活を始めるのだが。

終末のひとつの有り方として

ファンタジーというよりはエスエフの領分かな?恐るべき勢いで増殖する病原体。滅び行く人類。残された男と女。しかも男は事件の発端となってしまった薬の開発者。というところで熱い展開を予想された方、残念がら大ハズレ。

登場人物たちは原因究明に精力を傾けるわけでもなく、人類を救うべく命を張るわけでもない、呆然と自らの種の最期を見つめるだけなのである。緊迫した状況なのに何故か漂う雰囲気は妙に和んでいる。このあたり実に得難い作風ではあるのだが、ちとほのぼのし過ぎて物足りない。集合意識となった人類を使ってもう一ひねり欲しかったかなあ。

BH85

BH85

 

なお、2003年に行われた著者インタビューのリンクを見つけたので貼っておこう。これ見る限り、やっぱりファンタジーというよりは、エスエフとして書いてるよね。

www.sf-fantasy.com