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『シャガールと木の葉』谷川俊太郎 他界した同世代人に対しての追悼詩を多く収録

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谷川俊太郎74歳の感性

2005年刊行作品。谷川俊太郎(たにかわしゅんたろう)は1931年生まれなので74歳の時の詩集ということになる。初出は一番古いもので1993年。多くは2000年代の前半に書かれている。70代(当時)でこの感性はすごい。

シャガールと木の葉

なお、谷川俊太郎は未だ現役。御年、89歳なのだというから驚かされる。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

谷川俊太郎の名前は聞いたことがあるけれど、きちんと作品を読んだことがない方。2000年代に入ってからの谷川俊太郎作品を読んでみたい方。合唱曲版『シャガールと木の葉』(後述)が大好きな方におススメ。

内容はこんな感じ

詩はふて寝している。詩はへらへら笑っている。詩はむっつり黙っている。詩はひとりで歩いている。詩はかくれんぼしている。言葉ではないものに見つかる瞬間を待ち続ける幾多もの詩の数々。今も世界のどこかで、誰かが詩を書き続けている。たった一人で。三十六編を収録した待望の作品集。

依頼されて書いた作品が多い

詩集の類を買うのは久しぶりでちょっと恥ずかしい。諸般の事情で購入したものである。谷川俊太郎ほどの大家になると、なにかの媒体に依頼されて詩を書くケースがかなりのボリュームを占めていて、収録されている作品のほとんどが依頼原稿(っていうのかな)となっている。それだけに媒体のテーマに合った比較的判りやすい商業用作品もちらほら見受けられる。って、読みが浅いのかもしれないけど。

それだけに初出不明となっている三編「光」「断片」「願い」はいずれも意味深長な内容で、解釈が難しい。どういう経緯で生まれた作品なのだろうか。とても気になる。大昔の作品ならいざしらず、最近に書かれた作品にもかかわらず、初出が不明ってどういうことなのだろう。依頼がないけど、本人が自発的に書いた詩なのかな?

追悼詩が多い

作者の年齢というか、年代的な特徴として、他界した同世代人に対しての追悼詩が多く本書には収録されている。チャールズ・M・シュルツ。矢川澄子。寺島尚彦。川崎洋。高橋康也。石垣りん等々。知人友人たちに先に死なれていく立場とは、なんとも寂しいものなのだと痛感させられる。あんまり長生きはするものじゃないと思わされた(谷川俊太郎には長生きして欲しいけどね)。

おまけ:合唱曲版がある!

「シャガールと木の葉」は合唱曲になっている。作曲は北川昇(きたがわのぼる)。エモーショナルなメロディラインと、響きの美しさで、合唱愛好家には人気の高い作品集である。

個人的には一曲目の「歩く」が好き(実は歌ったことがあるわたし)。

なお、合唱譜はカワイから発売されている。