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『カンニング少女』黒田研二が描く「カンニング大作戦!」

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表紙イラストは西島大介

2006年刊行作品。黒田研二を読むのはデビュー作の『ウェディングドレス』以来。実は西島大介の表紙絵につられて購入。この人の絵はとてもキュート。素晴らしい。西島大介をイラストレータに持ってきただけで売上は一割は違うんじゃないだろうか。このかわいい絵柄と『カンニング少女』というズルそうなタイトルのギャップに惹きつけられた人は多い筈。

文春文庫版は2009年に登場している。

カンニング少女 (文春文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

大学入試を舞台としたカンニングもの(そんなジャンルあるのかな?)の作品がお好きな方。黒田研二作品がお好きな方。ちょっと変わったタイプのミステリを読んでみたい方。西島大介の表紙イラストに惹かれた方におススメ。

あらすじ

天童玲美は都立K高校の三年生。控え目な性格で成績も平凡。そんな玲美が10月にもなって志望校を変更する。何が何でも私学最難関校馳田学院に合格しなくては。姉はどうして死んだのか。その真相が馳田にはある。一途に猛勉強を始める彼女だったが、そう簡単に成績は上がらない。最後にたどり着いた結論はカンニング!不可能に挑む玲美と仲間たち。果たして結果は如何に。

ここからネタバレ

黒田研二版『ザ・カンニング』

交通事故死した姉の死には疑惑が?事件の謎に迫るため、私学の雄、馳田学院への合格を目指すヒロイン&仲間たちのお話。

学園を舞台としたカンニングモノと言えば1980年に上映(日本上映は1982年)された『ザ・カンニング IQ=0』(←例えが古い)。

1996年上映で、なんと安室奈美恵がヒロイン役を務めている『That's カンニング! 史上最大の作戦?』など、ジャンルとまでは言えないまでも一定の先行作が存在するテーマである。

奇想天外なカンニングテクニックの数々。あの手この手を駆使しして、いかにして監督官を出しぬいてカンニングを成功させるかがポイントとなってくる。

力技感が目立つ作品

ICカードでの入校チェックで部外者は立ち入れず。問題の人物は敷地内にある寮で生活していて一切学外に出ない。って、そんな大学無いだろう。研究室レベルでならまだしも、学校全体がってのは設定に無理ありすぎ。対外交流出来ないじゃん。動機も相当に無理矢理過ぎて、とにかく力技感が目立つ作品。地味で大人しい女の子にカンニングをさせるにはこれくらいのアクロバットが必要だったのだろうか。

カンニングのテクニックもハイテク寄りの作戦で、期待していたよりもひねりが無い。学生にそんなの作れないだろうというツッコミをかわすには、物語のテイストが真面目過ぎるんだよな。もう少し振り切れたトンデモ系のテンションで書かれていれば、まあしかたないか(笑)という気にもなれたのだけど。

そいでもって、事件の真相が想像を絶して残念すぎる。真相が判明するきっかけも偶然頼りが過ぎる印象で、ご都合主義にも程があるのではないかと。

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