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『月長石の魔犬』秋月涼介 第20回のメフィスト賞受賞作品


秋月涼介のデビュー作

2001年刊行作品。第20回のメフィスト賞受賞作品である。

作者の秋月涼介(あきづきりょうすけ)は1971年生まれのミステリ作家。『月長石の魔犬』以降、2002年に『迷宮学事件』2004年に『紅玉の火蜥蜴』2006年に『消えた探偵』を、いずれも講談社ノベルスから上梓。しかしいずれも文庫化はされておらず、現在は入手が困難となっている。地道に古書を探すしかないかも。

月長石の魔犬 (講談社ノベルス)

2010年に刊行された、東京創元社のミステリアンソロジー『蝦蟇倉市事件2』に「消えた左腕事件」が収録された以降は、清涼院流水主宰のウェブメディアThe BBBにて作品を上梓している。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

メフィスト賞受賞作を読んでみたい方。キャラクター性の強い、本格ミステリ作品を読んでみたい方。猟奇的な要素を含んだミステリ作品がお好きな方。秋月涼介の作品に興味がある方におススメ。

あらすじ

連続する猟奇殺人事件。この街ではいくつもの凶悪犯罪が起こり、いずれも未解決のまま残されていた。そして新たに発生した怪事件は、人間の首が切り取られ、代わりに犬の首が縫いつけられているという凄惨なものだった。石細工屋の店主、風桜青紫と彼を慕う少女、鴇冬静流はこのトラブルに巻き込まれていくのだが、真相は意外なところに隠れていた。

ここからネタバレ

キャラクターネーミングが凄い

風桜青紫(かざくらせいし)、鴇冬静流(ときとうしずる)、霧嶋悠璃(きりしまゆうり)、鴻薙冴葉(こうなぎさえは)、嘉神沙遊良(かがみさゆら)。これは全部登場人物の名前なのだが、さすがにネーミング凝りすぎ……。

西尾維新みたいに、中二病丸出しのネーミングスタイルを貫き続けている作家もいるけど、あちらはかなりライトノベルテイストだしなあ。出てくる人間全員に、こんな耽美な名前がついていると、いきなり読み手を選んでしまうのではないかと思うのだ。

ってまあ、絶対に実在の人物とは被らないだろうから、その点では「配慮している」とも言えるのかな。

サイコサスペンス?ではあるのだけど

しかしキャラクターで読ませる類の小説なのかと思って読んでみると、意外なまでに自キャラ萌えはさほど見受けられず驚いた。それなりに筆に抑制が効いているのである。もっとも抑えが効きすぎて、肝心の風桜クンの活躍度が低めなのは全体の重心が狂ってしまった感があって勿体ない。

叙述トリックのひっかけは、わりとすぐオチが判ること、悠璃が本筋にあんまり絡んでこないことを考えるとうまく機能してないように思えた。

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