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『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

物語の全体像が見えてきた、西尾維新『刀語 第十話 誠刀・銓』

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講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の十作目

2007年刊行。シリーズ10作目。全十二冊。毎月刊行。遂に大詰め。VSねーちゃん戦以降、あまり盛り上がって来なかったけど、ここいらあたりからスパートかかってくる感じ。

刀語 第十話 誠刀・銓 (講談社BOX)

あらすじ

虚刀流の遣い手鑢七花と、奇策士とがめは陸奥百刑場に居た。そこはかつて、大乱を企てた謀反人飛騨鷹比等最期の地であった。鷹比等の忘れ形見とがめの胸中を複雑な想いがよぎる。十本目の変体刀誠刀・銓を守護するのは仙人彼我木輪廻。かつてない「意識」の戦いを強いる難敵に七花は苦戦する。そして誠刀の探索を一任されたとがめもまた、自らの内なる敵と戦うことになる。

この巻で登場する刀と対戦者

今回登場するのは、柄と鍔のみで刀身が存在しない誠刀「銓」。だんだん観念的なお話になってきた感があるね。

誠刀「銓」(セイトウ・ハカリ)
所有者・彼我木輪廻。「誠実さ」に主眼が置かれている。否定姫は「人間の姿勢を天秤にかけるように、人によって受け取り方さえ違う曖昧な刀」と称した。
刃なき刀であり、柄と鍔だけしか無い。「銓」は天秤を意味し、己自身を測る刀。相手を斬る刀ではなく、自分を切る刀、自分を試す刀、自分を知る刀であり、「無刀」とも表現された。輪廻は四季崎から直々にこの刀を貰ったが、貰ってすぐに「迷惑だから」と地中に埋めたところ、その上に城が建ってしまった。鷹比等が歴史の改竄に気付いたのはこのためだと、とがめは推測しており、鷹比等の個性を作るためだけに四季崎が自身に手渡したと輪廻は推測している。戦国時代、輪廻は「銓」の力を使いあちこちの戦いを封印していた。

彼我木 輪廻(ひがき りんね)
誠刀「銓」の所有者。奥州は陸奥の百刑場に住む仙人。七花ととがめが接触した際には、七花が苦手意識を持ったか苦戦した相手である慚愧、七実、こなゆき、迷彩を混ぜ合わせた少女の姿に、とがめが内心苦手にしていた彼女の父親に似た言動をする人物に見えており、とがめは「相手の苦手意識を反映している」と分析した。相手の苦手意識を逆撫でする、人を喰った言動を取る。四季崎記紀の顔見知りでもある。
自称300歳で、人間だった頃も含めると350歳ほどという。身長四尺二寸。体重八貫三斤(どちらも推測とされており、こなゆきと同じ数値)。趣味は「草笛」。

刀語 - Wikipedia より

ようやく物語の全体像が見えてきた

四季崎さんと否定姫の関係とか、飛騨鷹比等と鑢六枝との関係とか、なんとなく見えてきて物語の構造が判りやすくなってきた。残り二冊だからそろそろ風呂敷を畳みにかからないと。今回、彼我木輪廻から示唆された「戦わないことで勝利と同等の価値を得ることが出来る」とはなにかの伏線なのか。西尾維新の他シリーズに比べると、やや物足りない本作だけど、いい意味で期待を裏切ってくれることを祈りたい。

刀語 第十話 誠刀・銓 (講談社BOX)

刀語 第十話 誠刀・銓 (講談社BOX)

 

アニメの方も比較的地味な回

世界観の説明や、虚刀流とは何なのか?といった、観念的な内容も多くて、謎が解明され、ストーリーは進んだけど、剣劇モノとしての派手さに関してはちょっと物足りない巻である。地味に、七花ととがめの関係性が深まってきているので、ずっと見てきた人間としては、ちょっと感慨深い。

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