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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

五代版と宵野版が交差する、グイン・サーガ続篇139巻『豹頭王の来訪』

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五代ゆうサイドにもグインが登場

2016年刊行。続篇グイン・サーガとしては九冊目。五代グインとしては本作が五作目にあたる。

豹頭王の来訪 (グイン・サーガ)

あらすじ

ミロクの聖地ヤガ。その最深部に潜入したブランは、高僧ソラ・ウィンに出会う。そして<新しきミロク>の信徒たちが切望する<ミロク大祭>の日が訪れようとしていた。一方、クリスタルの惨禍から逃れケイロニア領にたどり着いたヴァレリウスたち一行はワルド城に留まる。そこに思わぬ来訪者が現れる。

この巻で起こること

これまで、グインが登場するのは宵野ゆめが描くところのケイロニアパート(偶数巻)だけだった。ところが本巻では、クリスタルから逃亡してきたヴァレリウス一行がグインと再会を果たす。五代ゆう版にもグインが登場したわけで、書く側としてはつじつま合わせるのが難しそうである。

スーパー魔導ジジイの登場

137巻『廃都の女王』で出会ったソラ・ウィンに加えて、もうひとりのミロクの高僧ヤモイ・シン が登場。浮世離れしたトークでブランをいらだたせつつ、蟲の牢獄(グロ注意)に繋がれたルー・バーを永劫の苦しみから救う。この二人が出てきてから、ただでさえ遅い、ヤガ編のテンポが更に遅くなった気がするのだが、考え過ぎだろうか。

グインとヴァレリウス、リギア、マリウスが再会

ワルド城に留まるヴァレリウスたち一行にアキレウス大帝の崩御と、オクタヴィアの即位が知らされる。マリウスのリアクションが相変わらず暢気すぎる。続いてグイン本人が登場。イシュトヴァーンがパロにもたらした災厄について、ヤンダル以外の黒幕がいるのではという可能性を示唆する。そして、幽閉中のレムスを担いで反イシュトヴァーンの兵をあげるべきではと説く。グインとヴァレリウスが話してるのを見ているのが、読み手的に一番安心するね。

地に堕ちているダメダメ王レムスをここから拾い上げていくわけだが、果たしてうまくいくかどうか。パロ中興の祖への道は果てしなく遠い。

三つの宝石(いし)集めると星船が動かせる

あれ?スカールのフェラーラ話まだ終わってなかったのか!スカール&スーティの一行がフェラーラからの脱出に成功。この話、中途半端に分けないで137巻の『廃都の女王』で、この話は完結させておいた方が判りやすかったと思う。一昔前だったら、「外伝」扱いの内容だよね。

約束された三つの宝石(いし)とは、ユーライカの瑠璃、オーランディアの碧玉、ミラルカの琥珀を集めると、グインは星船を動かすことができることが判明。

オーランディアの碧玉は未だ行方不明、ユーライカの瑠璃は既にグインの手にありながらも、未だ本来の性能を発揮することは出来ないみたい。「アウラ」の正体も依然として明かされず。物語の核心に迫る情報だから、まだまだこの話は引っ張るだろうね。

豹頭王の来訪 (グイン・サーガ)

豹頭王の来訪 (グイン・サーガ)

 

グイン・サーガ続篇140巻『ヤーンの虜』の感想はこちらから。

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