北方謙三版「水滸伝」第八弾!
お題「#おうち時間」に便乗。大型連休中ではあるが、かれこれ一か月半ひきこもっているわたしは無論、通常進行である。こういう時は、家で本読んでるのがイチバンだよね。
ということで、月曜日恒例、北方謙三版「水滸伝」の連続レビュー。 先週の第七巻に引き続き本日で第八巻の感想をお届けしたい。『水滸伝8 青龍の章』は2002年刊行作品。
集英社文庫版は2007年に登場している。もうかなりのボリュームをこなして来ているような気がするのだが、まだこれで半分も話が進んでいないのだから怖ろしい。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★★★(最大★5つ)
大規模な決戦シーンが好きな方、血沸き肉躍る華々しい戦闘シーンを堪能したい方、英傑たちの名セリフを楽しみたい方におススメ!
あらすじ
青蓮寺が遂に大軍を動かす。梁山泊の一大拠点となりつつある、二竜山、桃花山、清風山の中間地点祝家荘に軍勢を集結。拠点間の連絡を絶ち勢力を分断する策に打って出る。それは明白な官軍の「誘い」だった。これを撃たねば梁山泊は潰れる。事態を重く見た晁蓋は決戦に打って出る。大軍を擁し、要塞化された祝家荘を墜とすことが出来るのか。
ここからネタバレ
祝家荘の戦い
さて今回は祝家荘の戦い編である。遂に本気モードの戦いに移行なのだ。
聞煥章は官軍十万余を動かし、梁山泊勢力の只中に軍事要塞を出現させる。次第に大兵力を運用出来るようになってきたとはいえ、それでも最精鋭の禁軍中枢は動かせないのがもどかしいところ。宮仕えの哀しい性で常に手足を縛られた状態からスタートしなくてはならないのが官軍側の弱みなのだ。対する梁山泊が動かせるのは僅かに1万5千(それでも凄いけど)。圧倒的な不利を覆すべく祝家荘側の切り崩しに燃える呉用先生がイカス。
見どころ満載の戦闘特化巻
全編戦闘シーンと言っても過言ではない本巻なので見せ場には事欠かない。「死ねば土」「男の勝負だ。息が絶えるまでわかるものか」何気に名台詞の多い李応。「いねえな」の李逵。格好良すぎ。王和(笑)。貴重な女子戦闘キャラ扈三娘も見逃せないが、それを事も無げに放り投げて、全身骨折に追い込む林冲は容赦なさ過ぎ。そしてスプラッターモード突入の李富。これはエグい。馬桂は最期の台詞さえも無し。相変わらず女性キャラに冷たい北方謙三である。
死んだはずの嫁の噂話を流布されて動揺する林冲。それ、孔明の罠だから(違)!北方水滸伝は林冲クラスのキャラでも容赦なく殺しそうだから真剣にこの先が非常に心配。そしてこれまで敗れた自陣営の武将を容赦なく死罪にしてきた聞煥章のその後はもっと心配。九巻早々に殺されてそうな予感がするよ。