「ドクロちゃん」シリーズの番外編
長々と続いてきた「ドクロちゃん」連続感想だが、先週の第10巻にていよいよ完結か!と思われたが、実はあともう一冊だけあるのだ。もうちょっとだけお付き合い頂きたい。
『撲殺天使ドクロちゃんです!』は2006年刊行。
アニメ版『撲殺天使ドクロちゃん』のセルDVD用封入特典「隔月刊ドクロ本」に掲載されていた短編四編(執筆者:高橋弥七郎・ハセガワケイスケ・成田良悟・時雨沢恵一)に、新たに書き下ろし四編(執筆者:築地俊彦・鎌池和馬・谷川流・水島努)を加えた競作ドクロちゃん作品集なのである。
ちなみに、登場する作家陣の当時の刊行作品はこんな感じ(水島努はそもそも作家ではなくてアニメーション監督なので除いている)。
- 高橋弥七郎『灼眼のシャナ』
- ハセガワケイスケ『しにがみのバラッド。』
- 成田良悟『デュラララ!!』
- 時雨沢恵一『キノの旅』
- 築地俊彦『まぶらほ』
- 鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』
- 谷川流「涼宮ハルヒ」シリーズ
当時の売れっ子作家をこれだけ集めてこられたのは、電撃の企画だったとはいえ相当凄いことだと思われる。
更にCLAMP・いとうのいぢ・駒都えーじ・渡辺明夫・しゃあ・若月神無・氷川へきるらのカラーイラストまでおまけに付いてくるという豪華版。おかゆまさきも偉くなったものです(笑)。というか電撃の商売の巧さを讃えるべきか。ドクロちゃんファン、もしくはトリビュートしている作家のファンなら買い?かな。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
ゼロ年代の電撃文庫を支えた人気作家たちの文体模写芸を楽しみたい方、おかゆまさき以外の作家が書いた「ドクロちゃん」を読んでみたい方におススメ。
あらすじ
教室に駆け込んだ桜クンが見たものは着替え中のドクロちゃん。いつものありがちな展開だけど、でも今回は少し違う。幾たびもリピートされていく平穏とは言い難い奇妙な日常。果たしてその原因とはいったい?おかゆまさき自ら編集長に就任。ライトノベル界のそうそうたる面々を集めて綴るドクロちゃんのトリビュート作品集。遂に登場。
ここからネタバレ
各作家の文体模倣に注目
八編の物語はいちおうそれなりのつながりは持っていて、それ相応のオチもついてはいるのだけど、だから何?という程度の関連性である。企画先行の本だから仕方ないけど。
とはいえ、それぞれの作家本来の文体の癖と、おかゆまさき的ドクロちゃん文体をどう混淆させているかは、きっと見所の一つなのでは無いかと思う。プロが本気で遊ぶとこうなるのか!という面白さが堪能できるはずである。
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