北方謙三版「水滸伝」第七弾!
2002年刊行作品。毎週月曜日にお届けしている、北方謙三版「水滸伝」のレビュー、先週の第六巻に続いて、本日は第七巻である。
集英社文庫版は2007年に刊行されている。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★★★(最大★5つ)
中国史、特に宋代の歴史が好きな方、意外なキャラが思わぬ活躍する展開が好きな方、意外性のある「水滸伝」を読んでみたい方、とにかく長い歴史小説をじっくり読みたい方におススメ!
あらすじ
宋江の行方を追い続けていた聞煥章は遂に一行を太原府山中に追い詰める。敵は官軍一万数千。僅か五人の宋江主従は如何に戦う。急報を受けて梁山泊は朱仝と雷横、飛竜軍、そして林冲の騎馬隊を救援に送る。彼らは果たして間に合うのか。一方、史進率いる少華山にも青蓮寺の差し向けた軍勢が迫る。大軍を前にして史進が下した決断とは。
ココからネタバレ
宋江がまたしても大ピンチ!
江州で一度痛い目に遭っているのにそれでもぶらり旅を続行した宋江主従に更なるピンチが到来。宋江さんチーム五人VS官軍一万数千編である。陶王旺の石積能力が最強すぎる(笑)。僅か五人で山中の洞窟に立てこもる宋江たちを攻めあぐむ官軍。
っていうか、陶王旺の能力はチート入りすぎなのでは?農民出身で、僅かな土地に棚田を作って生活をしていた陶王旺は、知らず知らずのうちに石積の達人に。積むも崩すも自由自在なのであった。突入してはトラップにかかって壊滅する官軍の皆さんが可哀想だ。
死亡フラグを忠実に再現
世の中の創作物の常として、あまりメインでは無いキャラクターに急にスポットが当たった時は死亡フラグ。その法則は本作でも生きていた。
例外も多数あるけど、口絵部分で描かれると死亡確率が上がる気がするよ。どう見ても宋江の我が儘の巻き添えなんだけど、雷横の最期は格好いい。この手の修羅場を描かせるとさすが北方謙三は上手い。武人の礼をもって勇者の死を送る官軍の名もなき兵たちの姿も良いではないか。
阮小五のビックリ展開!
と、ひとしきり感動させておいて、阮小五!マジですか。おいおいこれは容赦がなさ過ぎる。これまでの描写はなんだったの?地道に新軍師として育てていくんじゃなかったのかよ。中堅以上のキャラクターでも前半でバッサバッサ死んでいくので、北方水滸伝は本当に侮れない。予想を次々に裏切られる快感を感じ始めてきた今日この頃なのであった。