ネコショカ

小説以外の書籍感想はこちら!
『刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機』
女真族の襲来と軍事貴族たちの台頭

2025-01-01から1年間の記事一覧

『ナイフ投げ師』スティーヴン・ミルハウザー 幻想、不穏さ、謎の歴史、他では読めない独特の世界

ミルハウザーの第三短編集 オリジナルの米国版は1998年に刊行されており原題は「The Knife Thrower」。 作者のスティーヴン・ミルハウザー(Steven Millhauser)は1943年生まれのアメリカ人作家。デビュー作は1972年の『エドウィン・マルハウス―あるアメリカ…

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 成瀬あかり史を島崎と一緒に見届けたい!

低浮上が続いておりますが、生きてます。小説読めない期に入ったので、出現頻度低めですが、いずれ復活すると思うので、気長にお待ちください。 宮島未奈のデビュー作&本屋大賞受賞作! 2023年刊行作品。作者の宮島未奈(みやじまみな)は1983年生まれの小…

『冬期限定ボンボンショコラ事件』米澤穂信 「小市民」シリーズ四部作、最後の季節、高校時代の終わり

祝☆「冬期」もアニメ化!ということで、こちらも上げておきます。「秋期」のアニメ化結構よかったですね。終始漂う不穏な感じと、終盤にもたらされる負のカタルシスがなんとも言えず良かった。 「小市民」シリーズついに”冬期”が登場 2024年刊行作品。『春期…

『室町少年草子 獅子と暗躍の皇子』阿部暁子 室町ファン感涙、コバルト文庫で南北朝時代!

『カフネ』での本屋大賞受賞おめでとうございます(って、読んだけど、まだ感想書いてない。。。)。とうとう、阿部暁子が世の中にバレてしまったかと思うと、ファン的には嬉しいですね。ということで、過去記事ですが、阿部暁子のコバルト時代の作品を再プ…

『秋期限定栗きんとん事件』米澤穂信 「小市民」シリーズ三作目。欠落と補完、需要と供給、唯一無二の理解者

祝『秋期限定栗きんとん事件』アニメ化!と言うことで、こちらの記事をあげておきます(最近更新滞り気味でスミマセン)。 本ブログは基本ネタバレありで書いている、今回は『秋期限定栗きんとん事件』だけでなく、『春期限定いちごタルト事件』『夏期限定ト…

『ワインズバーグ、オハイオ』シャーウッド・アンダーソン いびつな者たちの群像劇

シャーウッド・アンダーソンの代表作 『ワインズバーグ、オハイオ』は、1919年にアメリカ人作家シャーウッド・アンダーソン(Sherwood Anderson)によって書かれた連作短編集である。原題は『Winesburg, Ohio』。 日本国内では戦前より邦訳が出ており、まずは1…

『死にたがりの君に贈る物語』綾崎隼 小説家と物語を愛するもののお話

綾崎隼の40冊目! 2021年刊行作品。綾崎隼(あやさきしゅん)は2010年のデビュー以来、数々の作品を上梓してきたが、40冊目の著作となるのが本書『死にたがりの君に贈る物語』である。表紙イラストはorieが担当している。 綾崎隼の作品を読むのは二作目。先…

『クラインの壺』岡嶋二人 30年以上前に描かれたバーチャルリアリティモノの傑作

岡嶋二人、最後の作品 1989年刊行作品。最初の単行本は懐かしの新潮ミステリー倶楽部からの登場だった。 クラインの壷 (新潮ミステリー倶楽部) 作者:岡嶋 二人 新潮社 Amazon 新潮文庫版は1993年に登場。個人的にはこのカバーデザインがいちばんしっくり来る…

『感応グラン=ギニョル』空木春宵 たぐいまれな奇想、傷みと呪縛からの解放をえがく

空木春宵、初の作品集 2021年刊行作品。東京創元社のミステリ誌『ミステリーズ!』や、アンソロジーシリーズ「GENESiS」、Webメディアの「Webミステリーズ!」などに掲載されていた作品を単行本化したもの。早川書房の『SFが読みたい! 2022年版』の「ベストSF…

『蒲生邸事件』宮部みゆき 普通の人間がまっとうに生きていくことで生まれる感動

SFにしてミステリ、宮部みゆきの20年過ぎても色褪せない名作 1996年作品。『蒲生邸事件』は「がもうていじけん」と読む。「サンデー毎日」に連載されていたもの。第18回(1997年)の日本SF大賞受賞作品。単行本版は毎日新聞社から。 蒲生邸事件 作者:宮部 み…

『満願』米澤穂信 人の世のままならなさ、願い、心の闇を描く短編集

史上初!ミステリ系ランキング三冠達成作品 2014年刊行作品。新潮社の小説誌「小説新潮」「すばる」等に掲載されていた作品をまとめたミステリ短編集。タイトルの『満願』は「まんがん」と読む。 本作は第27回の山本周五郎賞を受賞している。また、早川書房…

『あの図書館の彼女たち』ジャネット・スケスリン・チャールズ 戦時の図書館で働いた女性たちの物語

ジャネット・スケスリン・チャールズの大ヒット作 本日ご紹介する『あの図書館の彼女たち』は、2022年刊行作品。訳者は髙山祥子。オリジナルの米国版は2020年刊行で、原題は『The Paris Library』。 作者のジャネット・スケスリン・チャールズ(Janet Skeslien C…

『探偵大戦』似鳥鶏 特殊能力を持つ探偵たちの競演

似鳥鶏の最新作は異能探偵バトル 2021年刊行作品。2007年『理由あって冬に出る』でのデビュー以来、市立高校シリーズ、戦力外捜査官シリーズ他、多数の作品をリリースし続けている似鳥鶏(にたどりけい)の最新作である。 推理大戦 作者:似鳥鶏 講談社 Amazo…

『なんて素敵にジャパネスク8<逆襲編>』氷室冴子 「帥の宮」編完結、明らかになる哀しい真実

なんて素敵にジャパネスクシリーズの最終巻 1991年刊行作品。ナンバリング的には「8」となっているが、シリーズ的には十冊目。毎回書いてきたので最後まで書いちゃうけど、読む順番的には1→2→アンコール→続アンコール→3→4→5→6→7→8の順がベスト。時系列的には…

『ほねがらみ』芦花公園 カクヨム発で書籍化されたホラー小説

芦花公園の第一作 2021年刊行作品。作者の芦花公園(ろかこうえん)は生年不明の覆面作家。『ほねがらみ』がデビュー作となる。 ほねがらみ 作者:芦花公園 幻冬舎 Amazon 幻冬舎文庫版は2022年に刊行されている。一年で文庫化って早くない? もともとは小説…

『廃遊園地の殺人』斜線堂有紀 廃園に追い込まれたテーマパークで再び起きる惨劇

廃墟を舞台とした殺人事件 2021年刊行作品。作者の斜線堂有紀(しゃせんどうゆうき)は2017年のメディアワークス文庫『キネマ探偵カレイドミステリー』がデビュー作。以後、コンスタントに作品を上梓してきたが、2020年の『楽園とは探偵の不在なり』が、この…

『なんて素敵にジャパネスク7<逆襲編>』氷室冴子 瑠璃姫最大のピンチからの逆転劇

新年あけましておめでとうございます(←遅い)。今年もよろしくお願いいたします。 恒例の年間ベストは、2024年に読んだ本の紹介がひととおり終わってからページを作成する予定なので、もうしばらくお待ちを。 瑠璃姫VS帥の宮、ついに佳境に 1991年刊行作品…

『アイアムハウス』由野寿和 高級住宅地で起きた殺人事件と家族の絆

今回も著者の由野寿和(ゆうやとしお)さまより、ご著書をご恵投いただきました。感想を書くのが遅くなってしまい申し訳ないです。 由野寿和の第二作が登場 2024年刊行作品。幻冬舎メディアコンサルティングから発売されている。作者の由野寿和は2022年の『…