方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

碩学・大瀧啓裕がガチで読み解く「エヴァンゲリオンの夢」

あの大瀧先生がTV版「エヴァ」をガチで解読

エヴァンゲリオンの夢―使徒進化論の幻影

エヴァンゲリオンの夢―使徒進化論の幻影

 

2000年刊行。TV版の『新世紀エヴァンゲリオン』が放映されていたのは1995年~96年にかけてだからなんと5年も前のアニメ作品に関しての評論本なのである。もちろんこの時点では「新劇場版」は影も形もない。頁数は400ページを越え、価格は3,400円。しかも版元は東京創元社なんてまるでアニメとは畑違いの出版社である。わざわざこのタイミングになって出してくる辺りにそんじょそこらの、ブーム便乗にした謎本群との気合いの違いを感じざるを得ない。

大瀧啓裕は、個人的には「ラヴクラフト全集」の印象が強すぎて、怪奇系の翻訳家という印象が強いのだけれど、プロフィールを見てみるともともとSFガチ勢の方なのね。これはメッチャ期待できそうと、気合を入れて読んでみた次第。

大瀧啓裕 - Wikipedia

内容はこんな感じ

日本アニメション史に残る名作『新世紀エヴァンゲリオン』。数多くの難解な謎を残して完結したこの作品に、碩学大瀧啓裕が挑む。二年余りの歳月をかけ、二段組み400頁強を費やして徹底的に読み解かれたエヴァンゲリオンの真実の姿とは。

目から鱗が落ちまくる

オープニングについての解題からして既に圧巻で目から鱗が落ちるというより、鱗があったこと自体ここで初めて知らされるありさまでほとほと感服させられてしまう。この調子でテレビ版の1話~最終話、映画版の25、26話について微に入り細をうがった怒濤の分析が続いていくのである。

これほどの評論を受け止めるにはこちらもそれなりの礼儀を持ってせねばなるまい(笑)。ということで、初読時は、TV版を全話見直しながら、いきつ戻りつしながら読んでいたので、読了まで1ヶ月もかかってしまった。

なんだかわかったような気にさせられる

零号機コア=赤城ナオコ説や、レイは全て同一人物説、トリックスター葛城ミサト説、使徒は全てカヲルに収斂する説等々、導きだされる結論の数々にただただ圧倒させられるのでした。あのわけわかんなかった映画版もなんだか判ったような気になってきたぞ。

決して皮相的な捉えかたをせず、細かい描写の数々に徹底的にこだわって検証していく真摯な取り組みかたが印象的でとても好感が持てた。これも有り得べき解釈の一つに過ぎない訳だけど、かなり完成度の高い解答で大満足なのであった。

大瀧先生に「新劇」の考察も書いて欲しいけど、さすがにもう無理かな……。