※2021/1/16追記 文庫版がリリースされたので再読の上で、感想を追記しました。これで最終巻が読める!
新本格魔法少女りすかシリーズの第三弾
2007年刊行。『新本格魔法少女りすか』『新本格魔法少女りすか2』に続く、「りすか」シリーズの三作目。2005年刊のファウストのVOL.5~VOL.6(SIDE-A/SIDE-B)に収録されていた作品をまとめたもの。未完状態で長らく放置されていたが、2020年から連載が再開されている。
文庫版は2020年12月に刊行!表紙イラストは西村キヌの描きおろしだが、ノベルス版ではあった本文中イラストは省略されてしまっている。残念。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
能力バトルモノが好きな方。弱者が強者に対して知恵と勇気で立ち向かっていく系のお話が好きな方。デビュー当初の西尾維新の作風に興味がある方。九州民。特に、佐賀県民、長崎県民の方におススメ。
あらすじ
繋場いたちを仲間に加え、三人チームとなった創貴とりすか。水倉神檎の送り出した「六人の魔法使い」たちとの死闘の日々が続く。二人目の地球儀霙を退けた彼らであったが、最後の魔法使い水倉鍵の登場で戦況はにわかに一変する。魔法を一切使えない鍵の能力は「魔法封じ」。完全閉鎖の密閉空間に閉じこめられてしまった創貴たちの運命は……。
ココからネタバレ
頭脳戦優位の異能バトル
どう見ても小学生には見えないひねくれ主人公の供儀創貴(くぎきずたか)クンが、けっこう格好良く見えてきた。「ツナギ」を加えてパーティとして機能し始めている三人。ジョジョ第二部的な頭脳戦優位の能力バトルが面白いのだ。
それにしても「六人の魔法使い」が早くもかませ犬にしか見えなくなっている件。『刀語』における、まにわにの皆さんと同じ境遇かよ。
でも焦点を水倉鍵一人に絞ったのは正解。物語的には次巻で完結らしい。となれば分量を考えてみるとここいらで中ボスを出しておくのは正しい判断だろう。しかしまだ神檎クンは登場していなんだけど、残り一冊で本当に完結まで持っていけるのだろうか。
以下、各エピソードの感想をザックリと。
第七話 鍵となる存在!!
英題:DICE & BINGO
福岡県博多市、キャンドルシティを訪れた創貴たち一行は、「六人の魔法使い」の二番手、回転木馬こと、地球木霙(ちきゅうぎみぞれ)と対決。しかし、地球木霙は単なるかませ役に過ぎず、本命の六人目が登場する。
キャンドルシティは、福岡県きってのショッピングモール。これはキャナルシティ博多がモデルではないかと思われる。
地球木霙のスペックはこんな感じ。
- 地球木霙(ちきゅうぎみぞれ):「魔法使い」
- 称号:回転木馬
- 能力:己の肉体を戦いやすいように改造してしまう
- 属性:肉
- 種類:増殖
直接戦闘系のスキルセットだが、際限なく何でも食べてしまうツナギさんの能力の前にあっさり敗北。りすかと戦わせてさえ貰えなくて可哀そう。完全な引き立て役である。
本命は、「六人の魔法使い」最後の一人、水倉鍵(みずくらかぎ)だ。外見年齢は8歳ながら、実年齢は2000歳を超えているという、神話級の存在である。彼のスペックはこんな感じ。
- 水倉鍵(みずくらかぎ) 人間?
- 称号:ネイミング
- 能力:15メートル以内の相手の魔法を完全無効化する
実際には魔法使いには分類できないが、相手の魔法を無効化してしまうので、切り札としては圧倒的な力を持つ。『文豪ストレイドッグス』における太宰さんみたいな能力。水倉神檎直属の配下であり、「六人の魔法使い」を実質的に統率している。
供儀創貴VS水倉鍵のファーストバトル、ビンゴを使った知能戦が楽しい。そして明かされる「箱舟計画」の全貌、”大陸移動説”(笑)。神檎さんが無茶し過ぎてヤバい。こういう大風呂敷はさすがの西尾維新作品である。大好き。
第八話 部外者以外立ち入り禁止!!
英題:Keep Out
水倉鍵が創貴たちに仕掛けた罠。それは、りすかとツナギの魔法能力を無効化する大胆な策であった。閉鎖環境に閉じ込められた三人。焦燥感だけが高まる中で、創貴はとある決断を下す。
第七話から間髪入れずの連戦である。「六人の魔法使い」の三人目、蠅村召香(はえむらしょうか)が登場する。彼女(女性だった!)のスペックは以下の通り。
- 蠅村召香(はえむらしょうか):「魔法使い」
- 称号:泥の底
- 能力:物体を固定する
- 属性:土
- 種類:操作
りすかは片腕を失った状態で魔法の発動を封じられ瀕死の状態に。ツナギの魔力も失われ、窮地に陥った創貴たち。ここでは、創貴とりすかの強力な絆が描かれる。りすかの創貴に対する信頼。想像以上に頑張り屋さんだったりすか。自力で時間を遡り、単身で、蠅村召香の首を取って戻ってくるメンタルのタフさに燃える。これはかなり熱い展開である。
第九話 夢では会わない!!
英題:Air Castle
蠅村召香を退けた創貴たちだったが、水倉鍵の仕掛けた罠は続く。並行世界(パラレルワールド)の檻に封じ込められた彼らは果たして生還することが出来るのか。
この巻はひたすらに連戦。水倉鍵率いる「六人の魔法使い」との戦いが続く。今回は白き暗黒の埋没こと、塔キリヤが登場する。スペックはこちら。
- 塔キリヤ(とうきりや):「魔法使い」
- 称号:白き暗黒の埋没
- 能力:絶対矛盾。運命干渉系&精神感応系。パラレルワールドを作り出す。
- 属性:夢
- 種類:創世
りすか&ツナギが肉体戦ではほぼ無敵のようなコンビになってしまったので、今回は精神系の戦闘シーンが多めに設定されている。
供儀きずながまだ生きている心地よい世界。「やりたいことをやるのは蛮勇」「やりたいことをやらないのは勇気」。「もう頑張らなくていいんじゃない」。そんな誘惑的な言葉に対して「ぼくは何も諦めない」「ぼくは全てを選ぶ」と、誘いを跳ねのける創貴が格好いい!
塔キリヤが、創貴の両親、創嗣ときずなの力によって撃退される展開も痺れる流れである。もちろん、創貴がしっかりと覚悟を示したからこそ、両親二人の力が顕現化したのだろうけど、この親子愛の発露はしんみり来る。
次回、遂に最終巻!
既刊三巻の再読がようやく終わったのでこれでやっと最終の第四巻が読める!一巻から数えると十六年もかかっているので、内容は完全に忘れてしまっていた。再読しておいて良かった。読み終え次第、四巻の感想もアップするのでしばしお待ちを!
『新本格魔法少女りすか』シリーズの感想はこちらから
- 『新本格魔法少女りすか』
- 『新本格魔法少女りすか2』
- 『新本格魔法少女りすか3』 ←今ココ!
- 『新本格魔法少女りすか4』