ネコショカ

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『疾走!千マイル急行』小川一水 列車砲、装甲列車が登場する冒険活劇


超豪華特急を舞台とした架空世界モノ

2005年刊行作品。夢の超豪華特急を舞台とした架空世界モノ。この手の架空世界の設定造りがこの作家はホントに大好き。

本作は19世紀のイギリス的な世界観をベースに、故国を失った少年少女たちが、国の命運をかけて大国と張り合う冒険活劇である。

疾走!千マイル急行〈上〉 (ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈上〉 (ソノラマ文庫)

 
疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

 

当初はソノラマ文庫から上下巻構成で刊行されたが、ソノラマノベルスの創刊に伴い、ノベルス版の方が後から出るという珍しい形を取った。こちらは2007年に登場。合本化されて一冊になっている。

疾走!千マイル急行 (ソノラマノベルス)

疾走!千マイル急行 (ソノラマノベルス)

 

更に、2019年にはハヤカワ文庫版が登場している。最近はソノラマ時代の作品の再文庫が増えて来たね。それだけ小川一水の人気が高まっているということなのだろう。

疾走!  千マイル急行 上 (ハヤカワ文庫JA) 疾走!  千マイル急行 下 (ハヤカワ文庫JA)

あらすじ

ジオール大陸随一の栄華を誇る都市エイヴァリー。この街を起点として東の大都市采陽までの1000マイルを駆け抜ける夢の超特急がTME(Thousand Miles Express)だ。エイヴァリー都市鉄道の社長令息のテオはTMEに乗り込み向学の旅に出る。しかし、不気味な装甲列車「メイドン・カースル」が連結された時、彼の人生は大きな軌道修正を強いられる事になるのだが……。

鉄道での逃亡劇をどうやって成立させる?

レールの上を走るしかない列車を使ってどうやって逃亡劇を成立させるのか。車両ごと船で運んじゃったり、時には軌道の幅まで変えてしまったり、はたまた幻の支線を探してきたり、果てには線路が無かったら工兵が敷設までしてしまうというバリエーションの豊富さ。尽きることのない豊穣なイマジネーションにいつもながら脱帽させられるのである。

燃える列車砲!装甲列車!

そしてなんと言ってもこの物語の見所は列車砲!装甲列車!!

これは燃えるしかないだろう。航空兵器も自動車も存在しないこの世界では鉄道は最速にして最強の存在なんですな。第二次大戦ではたいして活躍出来なかったこの兵器も、このシチュエーションであれば十分に能力を発揮できる!列車砲VS列車砲とか涙が出そうなナイスな展開。燃えるぜ。

国家の存亡を子どもに託すのはどうなの?

が、TMEや列車砲の素敵過ぎる設定に較べると、物語としての出来は今ひとつ。国家の存亡レベルのお話に対して、その命運を子供に託してしまうというというのがよくわからない。それは責任放棄でしょ>>大人の人たち。死んで詫びてどうすんの。そもそもエイヴァリーは滅亡まで追い込まれるまでに、もっとすることがあったんじゃないの?と、ついつい無粋なツッコミをしてしまいたくなるのだった。この点はかなり残念。

疾走!  千マイル急行 上 (ハヤカワ文庫JA)

疾走! 千マイル急行 上 (ハヤカワ文庫JA)

 
疾走!  千マイル急行 下 (ハヤカワ文庫JA)

疾走! 千マイル急行 下 (ハヤカワ文庫JA)

 

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