ネコショカ

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『DOOMSDAY 審判の夜』津村巧 第22回メフィスト賞受賞作


津村巧のデビュー作

2001年刊行作品。第22回のメフィスト賞受賞作である。著者HPによると、応募時タイトルは『SURVIVOR―生存者―』。残念ながらノベルス版のみで、文庫版は刊行されていない。

DOOMSDAY―審判の夜 (講談社ノベルス)

作者の津村巧は1970年生まれ。本作以前に、光文社主催の公募アンソロジー、1997年の『本格推理10 独創の殺人鬼たち』に「SNOW BOUND ―雪上の足跡―」が、そして1998年の『本格推理12 盤上の散歩者たち』には「DEATH OF A CROSS DRESSER ―女装老人の死―」が掲載されている。

本格推理〈10〉独創の殺人鬼たち (光文社文庫―「文庫の雑誌」)

本格推理〈10〉独創の殺人鬼たち (光文社文庫―「文庫の雑誌」)

 
本格推理〈12〉盤上の散歩者たち (光文社文庫―文庫の雑誌)

本格推理〈12〉盤上の散歩者たち (光文社文庫―文庫の雑誌)

 

しかしこちらは荻生亘という別名義なので、津村巧として、単著としては本作がデビュー作であると書いてしまって問題ないだろう。

あらすじ

アメリカ北西部の片田舎フラートン。元海軍特殊部隊所属のコウイチ=ハヤシは刑期を終えてこの街に流れてきた。未だ白人至上主義の気風が残るこの街で、東洋系のハヤシへの風当たりは厳しかった。しかし突如として現れた二体のエイリアンが平穏な田舎町を地獄につき落とす。あらゆる反撃を受け付けず殺戮の限りを尽くす異星人たち。悪夢のようなサバイバルゲームが始まろうとしていた。

SF作品がメフィスト賞!

ミステリ界のAO入試、一芸にさえ秀でていればそれで良しとするメフィスト賞。第22回はとうとうSF作品の登場である。

ありがちなアメリカの田舎(超保守的)の光景+エイリアンという無茶な組合わせの化学反応を愉しむべき作品だ。

なかなか日本人作家がアメリカを舞台にした作品は手がけにくいと思うのだけど、プロフィールを読む限りでは作者は実際に北米での生活経験があるっぽい。民間人の銃器使用や、主人公に対しての差別意識なんてのは日本が舞台だったら無理のある話になっていたと思うので、舞台設定としては正解かな。

大作だけど読みやすい

人死にまくり。救いゼロ。この暗澹たる結末は好みだ。500頁を越える大作ながらも、長い話をサクサク読ませるリーダビリティの高さはは新人ながら認めても良いのではないかと思う。わたしはカタカナ名前を覚えるのが苦手な方だけど、書き分けがしっかりしているので、かなりの人数に及ぶ作中人物たちを把握するのにも混乱は無かった。欲を言えば主人公のキャラクター造形をもう少し丁寧に掘り下げてくれれば、よりラストの絶望感が深まったであろうにと、この部分は少々物足りなかった。

DOOMSDAY―審判の夜 (講談社ノベルス)

DOOMSDAY―審判の夜 (講談社ノベルス)

 

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