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『ゲッベルスの贈り物』藤岡真 平成初期の良作ミステリ


藤岡真、最初の一冊

作者の藤岡真(ふじおかしん)は1951年生まれのミステリ作家。1992年「小説新潮」12月号に掲載された『笑歩』が小説新潮新人賞を受賞し、作家デビューを果たしている。

本業は、広告代理店に勤務。刊行当時は現役の博報堂社員だった。CMディレクターとして多くの実績を残している。

『ゲッベルスの贈り物』は1993年刊行作品。単著として刊行されたものとしては、藤岡真最初の著作にあたる。

ゲッベルスの贈り物

ゲッベルスの贈り物

 

2001年に創元推理文庫版が登場。こちらも既に20年前の文庫本だが、現在読むならばこちらの版になるだろう。

ゲッベルスの贈り物 (創元推理文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

平成初期のテイストを感じるミステリ小説を読んでみたい方。第二次世界大戦が絡んだ、スケールの大きなミステリを読みたい方。マスコミ、業界人の世界を舞台とした作品を読んでみたい方におススメ。

あらすじ

人気絶頂のトップアイドル<ドミノ>。しかし彼女に会った者は一人としていない。制作会社のプロデューサー藤岡はビデオ上の存在でしか無かった<ドミノ>の捜索を命じられる。僅かな手がかりを元に真実に迫っていく藤岡。それはやがて、第二次大戦中、Uボートと共に沈んだ軍事機密"ゲッベルスの贈り物"へとつながる大事件に発展していく。

埋もれていた良作

『ゲッベルスの贈り物』は、単行本が角川から出たものの、角川からの文庫化は見送られており、幻の作品であった。知る人ぞ知る傑作として、噂だけが一人歩きしていたのだが、2001年に東京創元社から文庫版が出て、ようやく世に知られるようになった。東京創元社の、旧作発掘系の動きはいつものことながらありがたい。

ココからネタバレ

古さは感じてしまうが……

戦前に日本の技術将校がUボートで持ち込もうとしたゲッベルスの贈り物とは何なのか?国際謀略から始まって、有名人の連続自殺事件、謎のアイドル<ドミノ>の正体探し等など、多数の要素を惜しげもなく盛り込んだ贅沢な作品。CMディレクターが本職であっただけに、本編中のテレビ業界ネタは実に生き生きとしていてリアリティがある。

ただ、詰め込みすぎて、やや消化不良気味なのが惜しい。発表年代のせいなのか、作者の年齢のせいなのかは断じがたいが、どうしても内容に古さを感じてしまうのも残念な部分。携帯電話の普及がミステリ界に与えた影響の大きさは計り知れないのものがあるのだなと、なんとなく思ってみたりもする。

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