ネコショカ

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小川一水『ハイウイング・ストロール』年上の女性との冒険行


ソノラマ文庫時代の小川一水作品

2004年刊行作品。

1996年に『まずは一報ポプラパレスより』でデビューした小川一水は、その後ゼロ年代の前半までは、朝日ソノラマのソノラマ文庫を主要な作品発表媒体としていた。本作はそのうちの一作である。

ハイウイング・ストロール (ソノラマ文庫)

本作は空を飛ぶ巨大生命体浮獣を狩ることで生計を立てる翔窩(ショーカ)たちの物語だ。すごいぞ、この話。主人公は15歳で身長155センチ。一方のヒロインは20歳で身長175センチ(当然スタイル抜群である)。駄目な人は全く駄目かもしれないけど、指向性が合う人間なら悶絶しそうな程の垂涎ものの設定だと思う。自分的にはモロにストライクゾーンであった。

昨今、小川一水作品に関して、旧作の再刊が進行中。本作も2019年にハヤカワ文庫版が登場している。

ハイウイング・ストロール (ハヤカワ文庫JA)

ハイウイング・ストロール (ハヤカワ文庫JA)

 

 

あらすじ

重素の厚い雲に覆われ、一部の高地以外には居住することができなくなってしまった未来の地球。15歳の落ちこぼれ少年リオは強引なスカウトを受け、空に棲む浮獣を狩る翔窩(ショーカ)の一員となる。相棒のジェシカは年上の美人。しかも凄腕。厳しい実戦の日々をくぐり抜けていくうちに成長していくリオ。二人は次第にこの世界の秘密に近づいていく。

姉属性持ちには堪らない設定

浮獣を狩るための見習いに抜擢された主人公が、パートナーのヒロインに日々、叱られて、怒鳴られて、鍛えられながら立派な青年に成長していくまでを描く。

翔窩は複座型の飛行機に乗り込んで出撃していくのだが、前席は操縦と主火器を担当。後席は通信やら副武装を担当する。狭いコクピットに背中合わせで座るので、後席は当然前が見えず、勘と経験と背中越しに伝わってくる前席の人間の微妙な動きだけが頼りとなる。童貞の15歳の少年をピチピチの20歳のお姉さんと密着させて、同じ飛行機に乗せて飛ばす設定がとにかく反則技である。

なお、あくまでも浮獣であって、淫獣ではないので気を付けておきたい(マジで空目していたのはわたしだけではない筈である)。

RPG感覚のストーリー展開

最初はショボイ機体。ショボイ武装。だから弱い敵しか出ないところでチマチマ稼ぐ。お金が貯まって、錬度が上がったら装備を強化して、河岸を変えて更にレベルアップ。ちょっと手に余る敵が出てきたら同業者とパーティ組んでみたりと、それなにかのゲームですかと突っ込みたくなる程のRPG的な展開。ゲーム世代には分かり易くていいけど、せっかく凝った設定にしてある世界観が安っぽく見えてしまうのがちょっと残念。

後半は詰め込み過ぎ

それから後半の展開が詰め込みすぎであることも惜しいポイント。主人公の挫折⇒成長という流れと、この世界が抱える秘密、この二つを終盤で同時に描き切るには枚数が足りないのだ。もう一冊くらいあって良かった。

スニーカーや、電撃文庫と異なり、この時期のソノラマ文庫は単巻ものが多い印象で、一部の有名作家、人気シリーズ以外はほとんどが最初の一冊で終わっていた記憶がある。ソノラマ時代の小川一水作品は魅力的な設定、世界観を持つものが多く、それだけに一冊で終わってしまっているのは惜しい。

ハイウイング・ストロール (ソノラマ文庫)

ハイウイング・ストロール (ソノラマ文庫)