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『撲殺天使ドクロちゃん』おかゆまさき ゼロ年代に異彩を放ったライトノベル作品

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最近、毎週火曜日の当ブログでは、懐かしのライトノベル作品の感想を配信している(そんな流れになってしまった)。今週からは全11回(本編+トリビュート)にわたって、ゼロ年代を代表する?怪作ライトノベル作品『撲殺天使ドクロちゃん』の全巻レビューをお届けしたい。

ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪

2003年刊行。メディアワークスの小説誌「電撃hp」の20号と21号に掲載された二作に、書き下ろしを二作追加して文庫化したのが本書。

撲殺天使ドクロちゃん (電撃文庫)

作者のおかゆまさきは1979年生まれ。本作がデビュー作となる。電撃文庫を中心に活動を継続していたが、ここ数年は作品が世に出ておらずちょっと心配。

 

あらすじ

机の引き出しから突如として現れた謎の美少女ドクロちゃん。未来からやってきた彼女は、登場するやいなや主人公の桜クンを棘付き鋼鉄バッド「撲殺バッドエスカリボルグ」によって撲殺。でも、惨殺された桜クンも、不思議な呪文「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」によって瞬時に蘇生。事なきを得ます。迷惑極まりない居候との苛烈な日々を綴るほのぼのギャグストーリー。

ギャグテイストのラノベ作品としては異例のヒット作

もともとは第二回電撃hp短編小説賞への応募作であったらしい。選には漏れたものの「電撃hp」の誌面には掲載されて、それがスマッシュヒット。各方面に衝撃を与え、電撃文庫として単著作品と刊行されることになった。

その後、謎の快進撃を遂げ、文庫は10巻まで刊行され、最終的にはトリビュート本まで登場してしまった。更にはコミカライズや二度のアニメ化、ゲーム化まで成し遂げてしまう、異例のヒット作品となった。ギャグ主体のライトノベル作品がこれだけメディア展開を果たすのはけっこう珍しいのではないだろうか。

「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪」ゼロ年代のラノベ読みであれば、この呪文には反応せざるを得ないはずである。

圧倒的なドクロちゃんのヒロイン力

なんといっても、ヒロインのドクロちゃんのあり得ない程に力強い、怒濤のヒロインぶりが第一の魅力である。

出てきた瞬間に主人公を撲殺してのけるヒロインはこの子くらいだろう。妙に萌えの守備範囲がおっさん臭い不幸な主人公の語り口がいい味だしていることもあって、冒頭部でのつかみは完璧といってもいい位の衝撃度だ。意外に、ライトノベルでギャグをメインでやっている作品が少ないだけにこの作品は貴重なのであった。

撲殺天使ドクロちゃん (電撃文庫)

撲殺天使ドクロちゃん (電撃文庫)

  • 作者:おかゆ まさき
  • 出版社/メーカー: メディアワークス
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫