ネコショカ

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基本ネタバレありなので注意してね

『糞袋』藤田雅矢 タイトルが強烈過ぎる!!


藤田雅矢のデビュー作

1995年刊行作品。第七回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作である。ちなみにこの年のファンタジーノベル「大賞」は該当作なしであった。

糞袋

なお、『糞袋』はもちろん「くそぶくろ」と読む。糞袋とは、糞を包んでいる袋、つまり人間自身を表す。「人間なんて所詮糞袋である」。禅の世界では、古くから使われてきた言い回しであるようだ。

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文庫化はされていなかったが、2018年に電子出版レーベルの惑星と口笛ブックスより、電子書籍版が刊行されている。この怪作が21世紀になっても読めるとは!

糞袋

糞袋

 

作者の藤田雅矢(ふじたまさや)は1961年生まれ。受賞時に「本作以上の作品を書かなければ一生"糞袋の藤田"と言われ続けることになる」と語り、自身のその後の作家生命に大きくプレッシャーをかけていたが、寡作ながらも継続して作品は発表しているようだ。現在でも現役の作家である。

あらすじ

江戸時代中期の京都。孤児であった少年イチは肥取りを日々の生業としていた。嫌でたまらなかったこの仕事だったが、田島屋のご隠居との出会いがその運命を変えていく。糞尿も使い方次第では商売道具になる!奇想天外なアイデアで、イチの商売は大成功を収める。京の都を舞台に繰り広げられる空前絶後のスカトロ小説。

江戸時代を舞台とした糞尿小説

着想の勝利というか、着想してもこれをネタにして小説は書かないだろう。書いても賞には応募してこないだろう。そう考えるとこれを通した審査員はいい度胸している。新潮社なんていかにも堅そうな会社だけど、改題させずにこのタイトルでよくぞ出版したものである。

糞尿集めの縄張り争いに嫌気がさした主人公。それならばとイベント会場に本邦初の公衆便所を設置。労せずして良質な糞尿を集めることが出来、成功の足がかりをつかむ。遊女の糞尿を都のスカトロマニアに販売する計画は軌道に乗り。続いて仕掛けた肥料作りや、品評会も大成功……。

うわ、書いててうんざりしてきちゃったよ。でも余人が到底直視しえないであろうネタをとことん追求してきたその勇気は称賛されてしかるべきなのである。

惜しいのは終盤の展開。いささか急ぎすぎというかあまりに唐突。幕府絡みの話はまだいいとしても、妹の話はいきなりすぎる。あれだけの財産を持っていた主人公が妹の身請けのことを考えないのはあまりに不自然じゃないか?もう少し頁数増えてもいいから、最後は綺麗に決めてほしかった。

糞袋

糞袋