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『なんか島開拓誌』原岳人 第三回日本ファンタジーノベル大賞、優秀賞受賞作


原岳人唯一の作品

1991年刊行作品。第三回日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作。ちなみにこの年の、大賞は佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』である。

最終候補作には恩田陸の『六番目の小夜子』と沢村凛の『リフレイン』があがっており、両作は選に漏れながらも商業出版された。ファンタジーノベル大賞歴代の中でも、特にレベルの高い戦いが繰り広げられた年であると言える。

筆者の原岳人(はらがくじん)は1961年生まれ。千田草介の名義でも活動しているようだが、原岳人としては本作受賞後の作品刊行は無し。本作は、単行本版のみで、文庫化もされていない。

なんか島開拓誌

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

脱力系のファンタジー作品を読んでみたい方。恩田陸『六番目の小夜子』を退けたほどのファンタジーノベル大賞、優秀賞受賞作がどんな作品か知りたい方。島モノ、島を舞台としたファンタジー作品が好きな方におススメ!

あらすじ

明治末期。大陸に渡る移民船が難破する。船のボーイだった吉堀喜一はその最中、頭を強く打ち付けてしまい、なぜか生神様として覚醒する。漂流する生存者十五名を引き連れて上陸したのは南洋の孤島「なんか島」。困難を極めるかと思われた孤島での生活だったが、キイチサンの巻き起こす奇跡が次々と事件を解決していく。

なんともとぼけた作品なのである

わりと劇的な事件も起きているし、ラストはけっこう大変なカタストロフィもあったりするのだけど、いっこうに緊迫感は伝わってこない。オールマイティな生神様。キイチサンの絶対的な存在があるが故なのだろうけど、終始のんびりとした長閑な雰囲気が全編にただよう不思議な作品だ。

枠にはめるのが難しい作品

日本ファンタジーノベル大賞が受容する「ファンタジー」の枠はとにかく広い。学園七不思議系から、歴史改変モノ、中華風架空王朝、怠惰な大学生の日常までと、クオリティさせ担保されていればなんでもアリなのである。『なんか島開拓誌』も、既存の枠に入れるには少々無理があるタイプのファンタジー作品だろう。

ストーリーテリングの妙を誇るようなタイプの作品では全くないのだけれども、一度読み始めるとついつい先を読みたくなってしまうのもこれまた不思議。惜しい点をあげるとすると、無理に実際の歴史との帳尻を合わせようとしたこと。おかげで後半はちょっと書き急いでしまって物語の密度が薄くなってしまったのは残念かな。

なんか島開拓誌

なんか島開拓誌

 

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