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『PATRONE(パトローネ)』伊豆平成のオリジナルシリーズ

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伊豆平成の架空王国ファンタジー『PATRONE』

本日紹介するのはこちら。伊豆平成の『PATRONE(パトローネ)』シリーズである。伊豆平成は(いずのひらなり)と読む。

ノベライズでの実績が物凄く豊富な作家さんで、『ケロロ軍曹』あたりが特に有名だろうか。ファンが読みたいであろうネタ元作品の良さを、いい感じで拾い上げて読ませてくれる稀有な作家の一人だと認識している。

本作はそんな伊豆平成の貴重なオリジナル作品である。第一巻の『PATRONE 護民官ルフィ&ワイリー』は2000年に刊行されている。

PATRONE―護民官ルフィ&ワイリー (角川スニーカー文庫)

『PATRONE 護民官ルフィ&ワイリー』あらすじ

ロマヌアの悪魔と呼ばれた男ワイリー・マイスを護送せよ。それが新米護民官ルフィに与えられた任務だった。任地へ赴きワイリーの身柄を引き取ったルフィだったがその道中はいきなりピンチの連続に。次から次へと襲いかかる刺客たち。その背後にはワイリーの偽物の姿が仄見える。ルフィが暴き出す事件の意外な真相とは。

護民官=(岡っ引き+保安官)/2

護民官と聞くとローマ時代の高位官職を想像される方が多いかもしれない。だが、本作中での護民官という職制は岡っ引きと保安官を足して二で割ったようなもの。ローマ帝国もどきの架空王国を舞台とした銭形平次みたいな話と言えば分りやすいかな?

主人公のルフィは鬼のヘイズォト(通称『鬼ヘイ』)と呼ばれた名護民官の娘なのだそうで、いきなり力が抜けてくるけど。大丈夫なのか?でもそんな読者の心配は杞憂に終わるのだ。

もともとストーリーテリングに長けた作家だったが、本作でもその本領は十分に発揮されている。巧みなミスリード、二転三転する真相としっかりキャラを立てながら見事に読ませてくれるのだ。OKAMAのイラストもなかなかに、作品の世界観によく馴染んで居て良い感じ。

PATRONE―護民官ルフィ&ワイリー (角川スニーカー文庫)

PATRONE―護民官ルフィ&ワイリー (角川スニーカー文庫)

 

架空王国ファンタジー第二弾

そしてPATORNEシリーズ第二弾。『PATRONE 仮面の少女』は2001年に刊行されている。前作よりもミステリ濃度が更に高まっている印象。

PATRONE(パトローネ)―仮面の少女 (角川スニーカー文庫)

『PATRONE 仮面の少女』あらすじ

ルフィは港町ルストの護民官。その助手を務めるワイリーはかつてはロマヌアの悪魔と呼ばれた大泥棒だ。このところうまく噛み合わない二人の前に飛び込んできた殺人事件。事件の第一発見者であったワイリーはそれが元で仮面を付けた少女に命を付けねらわれることになる。一方ルフィは事件に意外な勢力が暗躍していることを突き止める。

ファンタジーの殻をかぶったミステリ

このシリーズって実はファンタジーの殻をかぶったミステリであったりもするのだけど、ファンタジー世界の描写をしつつ、ミステリとしての伏線を埋めていって、更にルフィとワイリーの恋のどたばたや、仮面の少女の復讐譚なんてあたりまで盛り込もうとすると、ちと詰め込み過ぎでページが足りない!感が出てしまうのが惜しい。紙面の制限とかあるんだろうなあ。

PATRONE(パトローネ)―仮面の少女 (角川スニーカー文庫)

PATRONE(パトローネ)―仮面の少女 (角川スニーカー文庫)

 

『PATRONE』の続編が出ていた!

本作は書籍として刊行されたのは二巻まで。以後、続篇は出ておらず残念……と書いてこのエントリを終わりにしようと思ったのだが、ググってみたところ続篇がnoteにて執筆されている模様! 魅力的な世界観の物語だけに、続きが出てくれるのは嬉しい。

しかし、なんと本文が消えてしまったとのこと!!

※※※緊急事態※※※
 実は、今年の4月に、原因不明の不具合でここの文章が全て消えてしまいました。本文も全てです(上の説明文も、最近になって書き直したものです)。
 バックアップを、去年書き進めた分しかとっていなかったのが迂闊でしたが……。
 現在は、そのバックアップ分だけが読める状態です。
 申し訳ありません。

PATRONE ~死人の宿~より

バックアップ分でどのくらい読めるのだろうか。気になる。