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『聖遺の天使』三雲岳斗 探偵の名はレオナルド・ダ・ヴィンチ

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三雲岳斗、初の一般レーベル作品

2003年刊行作品。双葉社のミステリ雑誌「小説推理」誌の2002年7月号から2003年4月号にかけて連載されていた作品を加筆修正の上で単行本したもの。

三雲岳斗(みくもがくと)って、電撃文庫や、角川スニーカー文庫みたいな、ライトノベルレーベルで作品を出す作家なのかと思っていたけれども、一般誌にも連載持っていたのか!と当時驚いた記憶がある。

双葉文庫版は2006年に登場。カバーデザインはかなり雰囲気が変わった印象である。

聖遺の天使 (双葉文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

レオナルド・ダ・ヴィンチに興味がある。実在の歴史上の人物が探偵役を務めるタイプのミステリ作品がお好きな方。ルネサンス世界が好き、15世紀のイタリアを舞台とした小説作品を読んでみたい方におススメ。

あらすじ

15世紀のイタリア。聖遺物、奇跡の香炉を巡るミラノとフィレンツェ両教会の暗闘。高名な建築家アッラマーニが、自ら設計し建造した城館で事件は起きた。城の外壁に吊されたアッラマーニの遺体。それは犯罪なのかそれとも神の怒りなのか。ミラノ宰相ルドヴィコは事態を打開すべく一人の男を送り込んだ。その男の名はレオナルド・ダ・ヴィンチ。

ここからネタバレ

ダ・ヴィンチが意外に常識人?

歴史上の有名人物を探偵役にという趣向はよくあるパターンだけど、今回は若き日のレオナルド・ダ・ヴィンチが登場。万能の天才という名に恥じない変人ぶりを期待したいところだが、御手洗潔とか京極堂みたいなひねくれ者を見慣れてきてしまうと、あれ、意外と普通の人って感じでちょっと物足りなかった。思ったよりも常識人にダ・ヴィンチが描かれていて意外。

ライトノベルレーベルであればいざしらず、一般向け作品ということで、あまり無茶なキャラ設定にはしなかったか?せめて、ダ・ヴィンチを主人公に使ったのだから、美術ネタや建築方面の蘊蓄をもっと充実させて欲しかったな。というのは、さすがに欲張りすぎか。

まさかの物理トリック

オチとしての物理トリックは大がかりに過ぎて、誰か気付けよってツッコミを入れたくなるところだけど、宗教>>>>科学の時代としては、こんなものだろうか。この時代ならではの要素と言えないこともない。

それから、これもないものねだりになってしまうけど、城館の立面図を作中のどこかに入れて欲しかった。平面図だけだと納得感がイマイチなのである。

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