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『女彫刻家』ミネット・ウォルターズ 血まみれのオブジェを作り上げた女の秘密

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ミネット・ウォルターズ、二番目の作品

1995年刊行作品。『氷の家(The Ice House)』に続く、ミネット・ウォルターズ(Minette Walters)の第二作。オリジナルの英国版は1993年に刊行されていて、原題は『The Sculptress』。アメリカ探偵作家クラブによるエドガー賞の長編賞部門を受賞。デビュー二作目にして、早くも人気作家としての地位を確立した一作である。

日本国内では、1996年の「このミス」海外部門第一位作品に輝いている。

創元推理文庫版は2000年に登場している。わたしが読んだのはこちらの版。

女彫刻家 (創元推理文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

とっても濃ゆい、暗黒オーラ出まくりのメッチャヤバい犯人像にビビりたい方。主人公より犯人の方が目立ってない?的な作品がお好きな方。グロ描写があっても泣かない方。ミネット・ウォルターズの代表作品を読んでみたい方におススメ!

あらすじ

実の母と妹を切り刻み、血まみれのオブジェを作り上げた女オリーヴ・マーティン。フリーライターのロズは依頼を受けオリーヴのルポを書くことになる。調査していくうちに次々と浮かび上がる疑惑。彼女の精神鑑定は全くの正常。にもかかわらず一切の弁護を拒絶。黙々と無期懲役の刑に服しているのだ。事件の真実を追い求めるロズの前に意外な真相が明らかにされる。

ここからネタバレ

「女彫刻家」の暗黒感オーラが凄い

そんなに出番は多くないのに、主人公を凌駕する強烈な存在感を示す「女彫刻家」オリーヴ・マーティン。このとてつもなく「濃い」キャラクターの暗黒波動が、行間からものすごい勢いで主張してきて、読み手を戸惑わせる(笑)。レクター博士やボーン・コレクターにもこれほどの嫌悪感は感じなかったのに、このどんより感は凄い!(褒めてる)。想像したく無いのに、いろいろ勝手に想像してしまい、読後に異常なほど消耗している自分を発見してしまったりする。

枝葉が多すぎる気がする

しかし長いというか冗長というか読んでてお腹一杯になってしまうのが、わたし的ミネット・ウォルター観なのだけど、本作もその例に漏れていない。非常に魅力的なテーマだし、結末も毎回ひねりが効いていて楽しめるのだが、いかんせん枝葉が多すぎる。もう少し、すっきりと話を整理できそうな気がする。でも、この冗長さこそが、ミネット・ウォルターズなのかなあ。

本作は英国にてテレビドラマ化されている。日本ではVHSビデオ版は出たものの、DVD版は発売されなかった模様。このパッケージ見ているだけでも、かなり怖い。

 

ただ、本国ではきちんとDVD化されているみたい。

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