「西の善き魔女」シリーズの四作目
1998年刊行。シリーズ四作目。
オリジナルの中央公論社版C★NOVELSファンタジア版は1998年刊行。その後2003年版に新装版が登場している。
人気作であったこの作品は、2001年には愛蔵版の単行本シリーズが登場。
続いて、2005年には中公文庫版が刊行された。
これだけでも随分とたくさんの版が存在する作品だが、更になんと、2014年には角川文庫版まで登場している。往年の名作が手軽に読めるのは良いことである。
あらすじ
南方の小国カドウェルからの要請に応じ、グラールは伝統に従い竜騎士団を派遣する。一隊を率いるユーシスを追って南へと向かうフィリエル。ユニコーンを駆り過酷な竜との戦いに身を投じて行くユーシスたちだったが、危機に陥ったフィリエルを救ったのは行方をくらましていたルーンその人だった。深刻化していく事態を打開するため、二人は南のはての壁を目指すが……。
世界の輪郭が見えてきた
ちらほら見え隠れしていたこの世界の秘密が次第に明らかになっていく。フィリエルはとうとう瞬間移動までやっちゃったからなあ。ファンタジー仕立ての作品が一気にエスエフ寄りになってきた。謎の吟遊詩人も登場してくるけど、詳細は明かされず。詳しくは次の五巻でということなのだろう。東の帝国ブリギオンの活発な動きとあいまってかなり盛り上がる展開になってきた。
とはいえ、野暮と承知でツッコムけど、フィリエルがユーシスを追ってカドウェルに行くのはどう考えても無理があるような……。ルーンの消息についてもっと明確な指針があるのならまだしも。しかも危険地帯を10代の女の子が二人で旅出来てしまうのもご都合主義に過ぎるかと。大事な物語の転換点なのだから、もう少ししっかりした構成にして欲しかったところである。