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『黄泉がえり』梶尾真治 よみがえる死者たち、彼らの正体、目的は?


梶尾真治の一般知名度を高めた作品

2000年刊行作品。ハートウォーミングなエスエフを書かせたら当代随一の梶尾真治が地元熊本を舞台に書き上げたのが本作。草彅クンの映画で有名になったから、一般的にはカジシンの出世作と呼ぶことが出来そうだ。もっとも映画版の方は全然違う話らしいので、原作と同じモノを求めて見るとショックを受けるらしいので注意が必要。

新潮文庫版は2002年に刊行されている。

黄泉がえり (新潮文庫)

本作には続編的な立ち位置の『黄泉がえりAgain』が2019年に登場している。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

死んでしまった大切な人たちが突然、元気な姿で帰ってきたら?というテーマで書かれた物語に興味がある方。熊本県を舞台にした作品を読んでみたい方、熊本が好き!という方。ハートウォーミングでちょっと切ない物語がお好きな方におススメ。

あらすじ

熊本県熊本市を中心に発生した死者の復活現象。何事もなかったかのように生前そのままの姿で家族の前に姿を現す死者たち。怖れ、戸惑いながらも、人々はいつしか黄泉がえりを受け入れていく。彼らはどうして再びこの世に現れることが出来たのか。彼らは本当に人間なのか。幾多もの悲喜こもごもを巻き起こしつつ、運命の日は近づいていた……。

ここからネタバレ

地元への愛を感じる

偶然熊本には三回訪れたことがあったので、非常に親近感を持って読み進めることが出来た。実在する地名がバシバシでてくるし、有名スポットも頻出する。東京に住んでいるとこうした地方都市での暮らしって憧れる。熊本弁もいい感じ。淡々と黄泉がえりを受け入れている熊本の人たちはちょっと変なのだが、ま、そこでギャーギャー騒ぐとホラーになっちゃうからなあ、終始コメディタッチでホラーやエスエフの要素を極力抑えたのは、一般読者の受けを考えると正しい選択だったのかもしれない。

巧みな群像劇

いつもながらカジシンは群像劇を書くのが巧い。登場人物が多い分、ひとりひとりの描写が薄くなってしまうのは致し方の無いところか。かりそめの命を終えた、黄泉がえりたちが家族に別れを告げ旅立っていくシーンはこのお話の一番の泣き所。オッサン作家のロマン炸裂で非常に恥ずかしい展開でありながらも、王道的展開はやっぱり泣いてしまう。マーチン絡みのエピソードは、ありきたりながらやっぱり感動的なシーンなのだった。とりえあえず映画も見てみるかな。

映画版はかなーり違う

映画版は2003年公開で、主演は草彅剛で、監督は塩田明彦。原作からはかなり改変されて、エスエフ感が弱まっている。それでも、かなりヒットしたらしく、興行収入は30億円を超えたのだとか。

なんとゲーム版もあった

全然知らなかったのだけど、2004年にはプレイステーション版ゲームも出ていた。発売元はディースリー・パブリッシャー。こちらもほぼ別物といっていいくらい、内容は異なる様子。

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