方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

宇月原晴明、二作目は「聚楽 太閤の錬金窟」(新潮社)、こちらも快作にして怪作!

宇月原晴明の二作目は太閤秀吉と秀次

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

 

とりあえず、宇月原作品をしばらくは取り上げてみる予定。

本作は2002年刊行。第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』に続く宇月原晴明の二作目。分量にして約二倍、568ページ長大ボリュームに今回も唸らされる。

あらすじ

殺生関白と呼ばれ暴虐の限りを尽くす豊臣秀次。しかし太閤秀吉はいっこうに秀次を罰しようとしない。そして茶会に徳川家康を招いた秀吉は、将来の豊臣家滅亡を懇願する。果たしてその理由は?無数の少女たちを拐かし、イエズス会の破門神父を招き入れ、不可解な儀式に熱中する秀次。聚楽第の地下に隠されている戦慄の秘密とは……。

外連味に溢れた世界観が素晴らしい

寡作だけど、いいよねこの作家。山田風太郎や隆慶一郎に迫れるだけのポテンシャルを十分に秘めている。そのベクトルは絢爛たる妖かしの世界を描くことに偏っていて、正義のヒーローみたいな存在は微塵も存在しないところが特徴的。聚楽第の地下が錬金術の魔窟になっていてそこでは禁断の人体錬成が!美少女を狩り集めて部品を蒐集。それで錬成されるのは信長とお市のアンドロギュノスだという壮絶な突き抜けっぷり。妄想もここまで来れば立派。伝奇小説かくあるべしといったところか。

伊賀忍者平六、イエズス会神父ガーゴ、矮人曽呂利新左衛門この三人の超人バトルは壮絶に燃えるし、秀吉や家康みたいな功成り名遂げたオッサンたちの秘めたるロマンティシズムがこれまた地味に泣けたりしてソツがない作り込みぶり。適度にまともな史実も織り込んで、見てきたような嘘に、程よいホントっぽさが練り込まれているのもいい匙加減だよね。