ハーラン・エリスンの代表作
1979年刊行作品。オリジナルの米国版は1969年刊行で原題は『The Beast that Shouted Love at the Heart of the World』。
作者のハーラン・エリスン(Harlan Ellison)は1934年生まれのアメリカ人エスエフ作家。2018年に他界されている。数多くの作品を残しているが、知名度では断トツで本作がナンバーワンになるだろう。
『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ版)の最終回サブタイトル「世界の中心でアイを叫んだけもの」や、ゼロ年代を代表する片山恭一による恋愛小説『世界の中心で、愛をさけぶ(セカチュー)』の元ネタになったので、その筋の方には有名な作品かな。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
1960年代~1970年代のアメリカエスエフを読みたい方。ちょっとレトロな雰囲気のエスエフ作品が好きな方。『新世紀エヴァンゲリオン』もしくは『世界の中心で、愛をさけぶ』のファンで、なんとなく気になっている方。タイトルを見てピンと来た方におススメ。
あらすじ
核戦争後の世界。人語を解する犬と少年の日々を描いた『少年と犬』、突然誰からも認識されなくなってしまった男の悲劇を描いた『聞いていますか?』、あまたの星々で虐殺を続ける男の姿を描く『殺戮すべき多くの世界』、宇宙から来た訪問者たちの意外な正体を描く『満員御礼』など、表題作を含む15編の短編集。
ちなみに表題作「世界の中心で愛を叫んだけもの」のあらすじは、わたしの筆力では書ける気がしないので省略。是非、本作を読んでその無茶ぶりを理解して頂きたい。
ココからネタバレ
さすがに古さを感じるが
表題作は1969年のヒューゴー賞短編部門の受賞作品。
本作収録作品の発表年代は60年代後半~70年代後半。ネタ的にも訳にしても古さを感じてしまうことは否めない。あらゆる小説は時間の洗礼という奴を受けざるを得ないわけだけど、エスエフというジャンルは特にそのダメージが強いジャンルだと思う。
当時は衝撃的だったのかもしれないが、今更宇宙人の侵略だとか、ハイテクカーでのカーチェイスだのを描かれると、今となっては懐かしさを覚えてしまうから不思議である。
なお、登場人物がこれまたどいつもこいつもクズばかりなのはわたし好み。作中に溢れかえる暴力の波動がものすごいのも、ブチ切れていて好みだったりする。邦訳版が出て四十年が経つので、そろそろ新訳版を考えても良いのではないだろうか。
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