ネコショカ

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悪霊シリーズ新旧読み比べ(2)『悪霊がホントにいっぱい!』と『ゴーストハント2』


更新遅れてスミマセン

第二弾は五月中に!とかなんとか言いつつ、結局六月になってしまった。ゴメンナサイ。小野不由美の悪霊シリーズを、旧作、新作両方読んだ上でレビューするシリーズの二回目。今回はシリーズ第二作『悪霊がホントにいっぱい!』(ゴーストハント2)をご紹介したい。前作『悪霊がいっぱい!?』(ゴーストハント1)の感想はこちらからどうぞ。

ゴーストハント (2) 人形の檻 (幽BOOKS)

悪霊シリーズの全巻レビュー二冊目!

『悪霊がホントにいっぱい!』は1989年刊行作品。『悪霊がいっぱい!?』に続くシリーズ二作目である。今は亡き講談社X文庫のティーンズハートレーベルからの登場であった。既に30年も前の作品かと思うと驚きを隠せない。

悪霊がホントにいっぱい! (講談社X文庫―ティーンズハート)

悪霊がホントにいっぱい! (講談社X文庫―ティーンズハート)

 

 「悪霊シリーズ」は1989年から1994年にかけて全七作(八冊)が刊行された。その後、本シリーズは入手困難な時代が続くが、2010年に入って、メディアファクトリーから全面改稿となる新装版のリリースが開始された。

新版となる『ゴーストハント2』は2011年刊行である。

ゴーストハント (2) 人形の檻 (幽BOOKS)

ゴーストハント (2) 人形の檻 (幽BOOKS)

 

あらすじ

ナルこと、渋谷一也が所長を務める「渋谷サイキックリサーチ(SPR)」でアルバイトをすることになった麻衣。ある日訪れた女性の依頼は、屋敷に起こる怪奇現象の解決だった。古い洋館で頻発するポルターガイスト。自動発火。原因は八歳の少女礼美(あやみ)が所有する、古びた人形にあるのか?ミミーと名付けられた人形の怪異がSPRの面々を追い詰めていく。

悪霊シリーズはここからがガチ

前作ではさまざまな怪奇現象、それっぽい雰囲気づくり、個性豊かで多種多彩な心霊界の専門家たちを取り揃え、いかにも「出そう」な予感を漂わせておきながら実は……という変化球作品で、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の「枯れ尾花」部分を楽しむ作品であった。

それに対して第二作である本作からは、本格的な心霊現象を取り扱っている。古びた洋館、アンティックドール、忌まわしい因縁、埋められた古井戸と、舞台設定的には申し分なし。祓っても、マントラを唱えても一向に退散しないミミーにまつわる怪奇現象は、小野不由美ならではの謎解きの要素も加わって、上質なホラーエンターテイメントに仕上がっているのである。

旧版との違いは?

今回も雑な比較で恐縮だが、X文庫ティーンズハート版のページ数は250頁。そして新装版はなんと401頁である。頁あたりの文字数が違うので正確な比較は出来ないが、40%以上頁数が増えている計算になる。

細かいツッコミとして、旧版冒頭の「ちょうど全国の公立学校が夏休みに入った日」とある部分が、新版では「ちょうどあたしの通う学校が夏休みに入った日」に改められていた。全国の公立学校が同日一斉に夏休みに入ることはない筈なので、ここは無難な変更かな。

最大の違いは、新版ならでの新キャラクター曾根さんが登場することだろう。曾根さんは地元の古老格のキャラクターである。旧版ではSPRの面々が手分けして調べてきた屋敷にまつわる因縁話を、新版では彼の口から聞くことになる。本作は、古くから続く陰惨な出来事を背景としているだけに、伝聞情報でなく、実際の登場人物から真相を知るという形にしたことで「それっぽさ」が増すことになった。また、いかにも怪しそうな登場の仕方をするので、こいつが真犯人なのか!?的なミスリードを狙う意味もあったのではないだろうか。

また、終盤の、ナルと真砂子の関係を麻衣が疑うシーンで、旧版ではナル自身が「誤解である」と弁解しているところを、新版では夢の中の優しいナル(二巻の時点ではそう呼んでおく)が弁解をしている。これは、後々の展開に備えたつじつま合わせだろうか?

コミック版もあるよ

タイトル名『ゴーストハント』にて、いなだ詩穂によるコミカライズ版が講談社より刊行されている。『悪霊がホントにいっぱい!』のエピソードは2巻に収録されている。また、コミック版オリジナルのミニエピソード「公園の怪談!?」も収録されている。

コミカライズ版は当然、ティーンズハート版をベースにした内容となっているが、尺を縮めるためなのだろうか、お手伝いの叔母さんが出てこなかったり、ジョンと真砂子の登場が同時だったり、ホテルに移った礼美たちが襲撃されるシーンが割愛されていたりと、細かな違いが存在する。

ゴーストハント(2) (なかよしコミックス)

ゴーストハント(2) (なかよしコミックス)

 

縮刷版の講談社漫画文庫は2004年に登場。

こちらでは2巻に『悪霊がホントにいっぱい!』のエピソードは収録されている。原作第三エピソードの『悪霊がいっぱいで眠れない』(放課後の呪者)と、コミック版オリジナルの「GO!GO!ゴーストハンターズ!」も併載。

ゴーストハント(2) (講談社漫画文庫)

ゴーストハント(2) (講談社漫画文庫)

 

 怖さを実感できるのはアニメ版

アニメ版ではDVDの第二巻(FILE2)に『悪霊がホントにいっぱい!』のエピソードが収録されている。こちらはコミック版をベースにした内容となっている。惜しむらくはミニーのアンティックドール感があまり出ていないところかな。ミニーは寝かせると目を閉じる構造になっているはずなのに、閉じるときと閉じない時があったのが謎。

とはいえ、やはり動きや音が入ると格段に怖くなるのでおススメ。

ゴーストハント FILE2「人形の家」 [DVD]

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