お待たせしてしまったが(さいきんはもっぱら図書館派なのだ)、グインサーガ続篇145巻『水晶宮の影』の感想をお届けしたい。
グインサーガ40周年、栗本薫没後10年
グインサーガの第一巻『豹頭の仮面』が刊行されたのは1979年である。そして栗本薫が世を去ったのが2009年だ。つまり2019年はグインサーガ刊行40周年であり、栗本薫の没後10年のメモリアルイヤーということになる。
ちなみに、続篇グインサーガとして、本作は15冊目にあたる。
あらすじ
カン・レイゼンモンロンによる陰謀を阻止したスカール、ブランの一行はようやくヤガをあとにする。一方、グラチウスらを伴ったスーティは、囚われの身となった異母弟ドリアンの行方を探す。そして監禁されていたワルスタット選帝侯妃アクテを解放したグインは、一路クリスタルを目指す。魑魅魍魎の棲むクリスタルパレスへの潜入したグインは、意外な人物に出会うことになるのだが……。
この巻で起きること
メモリアル巻なので、今回の表紙はグイン。ヤガ編のエピローグと、沿海州でのヴァレリウスたちの話、そしてワルスタット問題の解決、さらには魔宮と化したクリスタルパレスでのグインの冒険行が描かれる。
ヤガ編ついに完結!
栗本薫時代から続いているヤガでのエピソードがようやく完結!ヤガ編って、確か124巻の『ミロクの巡礼』あたりから始まってる話だから、なんと21巻かけてようやく決着!さすがに引っ張りすぎなのではと思わないでもないところだが、ここは冷静にヤガ編で起きたことを整理してみよう。
ヤガ編の成果その1)仲間が増えた
ババヤガが なかまに くわわった。
イグ=ソッグが なかまに くわわった。
ソラ・ウィンが なかまに くわわった。
ヤモイ・シンが なかまに くわわった。
アニルッダが なかまに くわわった。
仲間というと語弊があるけど、まあ、こちら側陣営のキャラにはなってくれたかなという感じ。併せて、『七人の魔導師』組の、タミア、ルールバ、エイラハといった連中はリサイクル利用も終わってお役御免に。
ヤガ編の成果その2)ミロク教との因縁が深まった
これからのヤガを見ていくうえで、新登場したアニルッダの出番が今後増えていくのではないかと。
ミロク教については、栗本薫時代からやたらにイシュトヴァーンとフラグを立てている印象がある。さすがにこのままでは終わらないと思うので、今後もミロク教との因縁は続くものと思われる。
ヤガ編の成果その3)ブランがメインキャラに昇格!?
時にイグ=ソッグ肉襦袢に身を包み、はたまたジャミーラ(タミア)に誘惑され、ミロクの高僧たちには翻弄されと、扱いは散々であったが、ヤガ編の実質的な主人公はブランであるといっても過言ではあるまい。タイス編だけのちょいキャラだと思っていたが、意外に世界観に馴染んで居て、後半から出てきたキャラクターの中では、立派にメインキャラの一角を担い始めていると思うのだがいかがだろうか?
ヤガ編の成果その4)ヨナをクリスタルから引き離す
二度目のバンデモニウムと化したクリスタルから、ヨナを疎開させることに成功した。あのままクリスタルに残っていたら、まともな人生は送れなかったはずなので、それなりに意味があったはずである。
ということで、いたずらにただただ長いと思われていたヤガ編にも、それなりの意義はあったのではないかと思われる。五代ゆうによる伏線回収に期待したいところである。
スーティ、ドリアン奪還を諦める
もはやグラチウスがすっかり便利キャラに成り果てている件。スーティが相変わらずスーパー赤子であるのは、もう諦めるとして、せっかく助けに来たドリアンをアストリアスの説得に耳を傾けて奪還を逡巡するとは意外。三歳児の判断力とは思えぬ。
アストリアスと、アリサ・フェルドリックちゃんには地味にフラグが立っているような気がするので、幸せになっていただきたい。この人たち不幸続きだったしね。
スカール一行がヴァレリウスたちと合流
黄昏の国ワープが便利過ぎる!ヤガから一気にヴァラキアまでワープである。
ようやくカメロンの死を知ったブランが闇堕ちしそう。マルコ、ブラン、スカールで、イシュトヴァーン許すまじトリオが結成される日も近いか。
沿海州の最新事情も明らかになり、相変わらずアンダヌス先生が暗躍している模様。というか、レンティアの王座は未だ空位なのか?アウロラちゃんは、外国をうろうろしていて大丈夫なのか心配になる。
この先は、スーティを追うスカールと、クリスタル奪還へ動くヴァレリウス&ヨナたちとで、二組にパーティが分かれそうだね。
「あのお方」が遂に登場!
ワルスタットの動乱はあっさり終了。ラカント伯爵は、もっと長く使うのかと思ったら、わりとあっけなかったですな。「あのお方」らしい使い捨て感ではある。
それにしても、今や、中原で最高レベルの危険地域にアウロラちゃん連れて行くのはどうなの?アモンの時みたいに、絶対グイン単身で潜入した方が安全だと思う。アウロラちゃんは作者贔屓補正が働くにしても、モブの二人(カリスとルカス)は絶対死にそう。
さて、本編のラストでようやく「あのお方」=アルド・ナリスが登場。グラチウス言うところの「竜王の人造人間」がナリスなのか?いろいろ気になるけど、続きは次巻で!
ということで、続篇グインサーガの感想も、外伝含め、ようやく最新刊に追いついた。少し時間かかるかもしれないが、これまでのまとめ的なエントリを書くつもり。「グインサーガは40年でここまで話が進んだ!」みたいなやつを書く。気長にお待ち頂きたい。
※2019/10/17追記
グイン・サーガ続篇146巻『雲雀とイリス』の感想はこちら から。
40年目のまとめ記事も書きました!
グイン・サーガ40周年!各キャラの状況を国別にまとめました。