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『海底密室』三雲岳斗 深海4000メートルを舞台とした理系ミステリ


三雲岳斗の「エスエフ×ミステリ」作品

2000年刊行作品。『M.G.H 楽園の鏡像』 で第1回日本SF大賞新人賞を受賞した三雲岳斗(みくもがくと)のSFミステリの第二弾。この時点では9作目の作品。『M.G.H 楽園の鏡像』 の前日譚的な内容となっている。

イラストは大本海図(おおもとかいと)が担当している。今は亡き、徳間書店のライトノベルレーベル、徳間デュアル文庫からの登場だった。

三雲岳斗は、このレーベルからは、2001年に『ワイヤレスハートチャイルド』を上梓。更に『M.G.H 楽園の鏡像』 も2006年に徳間デュアル文庫入りしている。

なお、2021年に本作は徳間SFコレクションとして、徳間文庫から再文庫化されている。加筆修正が入っているようなので、気になる方は要チェックである。解説は福井健太が担当している。

海底密室 徳間SFコレクション (徳間文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

エスエフ設定を使ったミステリを読んでみたい方。密室トリックを使ったミステリが好きな方。初期の三雲岳斗作品を読んでみたい方。森博嗣的な、理系ミステリを読みたい方におススメ。

あらすじ

水深4,000メートルもの深海に構築された実験施設<<バブル>>。科学雑誌の記者鷲見崎遊(ゆとり)は取材のために現地を訪れる。応対するスタッフの不審な行動から、彼女は謎の死を遂げた研究員の存在を知る。事件は自殺として処理されていたが、外界から隔絶された<<バブル>>の中では新たな死体が発見される。遊は持ち前の探求心から事件の謎に迫っていく。

ハードな理系ミステリ

雑誌記者のヒロインが、電子人格の相棒と共に密室の謎に迫るエスエフでミステリな作品。この作者の他作品に較べるとキャラ立ちは皆無で、ライトノベルっぽさは陰を潜めている。SF大賞新人賞受賞後初の徳間作品ってことで、エスエフ寄りの固い内容が求められていたのかも知れない。

密室。そしてその周囲は人間を寄せ付けない深海。二重の意味で密閉された空間で起きた殺人事件。ミステリではお馴染みの嵐の山荘的な状況設定だが、謎解きの過程で科学的なネタがふんだんに盛り込まれているのがとても新鮮。萌絵と犀川先生が出てこない初期森博嗣作品のようなイメージ。このオチが本当に実現可能なのかは、どこかで再現して欲しいな。絵としては非常に綺麗で美しい。

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